石川弁護士へのインタビュー「消費者庁対策|見落としがちな3つのポイント」

石川弁護士へのインタビュー

2026年07月18日

弁護士プロフィール

牛島総合法律事務所

石川 拓哉 弁護士

いしかわ たくや

略歴

石川拓哉弁護士(第二東京弁護士会所属)
https://www.ushijima-law.gr.jp/attorney/takuya-ishikawa/

企業(上場・非上場)のガバナンス・コンプライアンスに関する対応や、海外関連の事案など、幅広い企業法務を担当する。相談者に対し、きめ細かいヒアリングを実施するだけでなく、難しい案件を分かりやすく説明する。

一般企業法務
企業(上場・非上場)における法律問題に関するアドバイス
企業のガバナンス・コンプライアンスに関するアドバイス
M&A・組織再編(会社分割・株式交換・事業譲渡等)に関するアドバイス
医薬品・医療機器の法規制に関するアドバイス

セミナー実績
【法改正ステーション#31】No.1表示に関する実態調査報告書の企業への影響(LegalOn Technologies)

本文

消費者庁に指摘を受ける表示には、事業者に共通して見られる「落とし穴」が存在する。

  • 同業他社も展開しているので問題ない
  • 打ち消し表示で案内しているから問題ない
  • 運用変更の見落とし

この3つは様々な表示で発生する可能性のあるもので、事業者が事前に注意したり、運用を適切に管理したりすることで対策が出来るものばかりだ。今回は、これら3つのポイントについて、事業者はどのように見落としてしまうのか、石川弁護士に話を聞いた。

同業他社も展開しているので問題ない

問題のある可能性がある表示と気づいても、「同業他社も実際に同じようなWEB広告として掲載しているから、消費者庁は注目しないだろう」と考える事業者もいる。実はこの状況にはかなり注意が必要なケースがあると石川弁護士は指摘する。

「消費者庁が同時期に同種の表示を行っていた複数の事業者をまとめて摘発し、措置命令を下す事例がありました。このようなケースは様々な執行事例の表示でも見られます。例えば期間限定キャンペーンの執行事例では、今年の3月、「HOT PEPPER Beauty」というウェブサイトで複数のエステティックサロンが『期間限定クーポン』を出していたが、いずれもキャンペーン期間後も実施されていたというものです。似たような事例が複数社あり、同じ時期に処分の対象になりました」

この事例で1社は確約認定となり、残り3社が措置命令を受ける事になったが、同じ時期に違反事例として処分の対象となった。これは裏を返せば、消費者庁は潜在的に複数の事業者を調査していた事を窺わせる。

「複数の競合他社がグレーゾーンの表示を掲載している時こそ注意が必要です。消費者庁がまとめて調査し、措置命令を下す恐れがあるので、注意が必要です」

「他社が展開しているから問題ない」と考えるのではなく、自社の表示運用体制において「問題のある表示」と感じた場合は、速やかな対策が必要と言えるだろう。

打ち消し表示

例え攻めた表示であったとしても、打ち消し表示をしていれば消費者を誤解させないだろうと解釈している事業者もいる。この考え方も注意が必要だ。

「No.1表示や初表示でも、打ち消し表示をして誤解を与えないように努める事業者もいますが、その打ち消し表示が意味をなさない事もあります。また、キャンペーン期間を延長する場合がある事を打ち消し表示で説明したとしても、どのような場合に延長するのかが消費者に分かりにくい場合、掲載後の延長は措置命令の対象となってしまう可能性があります。打ち消し表示は万能なものではないので注意が必要です」

最近では、動画内で打ち消し表示等も測定されているケースもある。「個人差があります」など、打ち消し表示が常態化している場合は、改めて見直す必要があるだろう。

運用者の変更

適切な運用体制を敷いている事業者でも、見落としがちなのが「運用者の交代」に伴うミスだ。

「例えばキャンペーン価格の場合、当初運用者が想定していた時点では問題なかったものの、担当者が変更となって、後任者の判断でキャンペーン期間を延長した場合は、知らないうちに違法なキャンペーン期間の延長となってしまう事があります」

このような事例はキャンペーン価格だけではない。「〇〇産」を売りにしている商品でも同様のミスが発生する可能性がある。実際に、外国で生産された商品であったにも関わらず、原産国を「国内」と表示し、措置命令を受けた事例がある。調達担当者が別の国から輸入していたことが共有されなかったことで、原産国の表示が誤ったものになってしまうリスクもある。

「運用者が交代するタイミングは、表示のトラブルが発生しやすく、違法な表示となった場合は消費者庁の調査対象となってしまうこともあります。このような場合は注意するようにしましょう」

うっかりミスを防ぐために出来る事

こうしたミスは事業者が上記に述べたポイントに注意をしていれば防ぐ事ができるものばかりだ。未然に防ぐために、事業者はどのような事をすべきか。

「管理措置指針に沿って、担当者を明確に決めて、期間限定キャンペーンについての確認プロセスを設けるなど、対策を検討しておく事が重要です。指針に沿って運用を心掛けていれば、担当者が交代するタイミングで、どのようなトラブルが発生するかあらかじめ想像する事ができます。消費者庁の調査においても、管理措置指針に沿って運用がなされているかどうかも確認対象として重要です。改めて確認しておくと良いでしょう」

不安があればまずは管理措置指針に沿って対策が出来ているか、事業者自身として改めて見直しておくことが良いだろう。

まとめ

表示のトラブルの多くは、担当者によるうっかりミスだ。過去の執行事例を見ていると、ケアレスミスのようなものが多く、表示に対して精通している担当者であれば防ぐ事が出来る可能性のあるものもある。この点を意識して表示運用を改めて見直してみてはいかがだろうか。

本インタビューの監修者

未来トレンド研究機構 
村岡 征晃

1999年の創業以来、約25年間、IT最先端などのメガトレンド、市場黎明期分野に集中した自主調査、幅広い業種・業界に対応した市場調査・競合調査に携わってきた、事業発展のためのマーケティング戦略における調査・リサーチのプロ。

ネットリサーチだけなく、フィールドリサーチによる現場のリアルな声を調査することに長け、より有用的な調査結果のご提供、その後の戦略立案やアポイント獲得までのサポートが可能。

そんな我々が、少しでもマーケティング戦略や販売戦略、新規事業戦略にお悩みの皆さんのお力になれればと思い、市場調査やマーケティングに関しての基礎知識や考え方などを紹介しております。

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