弁護士プロフィール
小林・弓削田法律事務所
神田 秀斗 弁護士
かんだ ひでと
知的財産法務を専門とし、特許・著作権・ブランド保護などの紛争対応や契約交渉を多数経験。
日本法だけでなく英国/欧州GDPRを含む個人情報保護法制に精通し、法的に正しいだけでなく、IPとデータを守りながら、企業の収益と競争優位につなげる法務を提供。
英国SQE合格・香港/中国での実務経験を基盤に、英文契約、海外進出・撤退、M&Aなどの国際案件を一気通貫でサポート。
特に「コンテンツ × 海外展開」を強みとし、中国での模倣品対策や香港での事業支援に注力しています。
本文No.1表示を調査する際、調査会社が根拠資料を適切に調べても、競合相手の選定が間違っていれば、適切なNo.1表示とは言えない可能性がある。 このような場合、表示会社が調査会社の責任を追及出来るのかについて、複数の弁護士に見解を求めた。
今回は神田弁護士の見解をまとめた。以下の事例において、調査会社に責任を問えるかどうかを検証する。
- 調査会社に競合相手の選定を依頼すると費用が高くなるため、事業者自身が選定した
- 調査会社の根拠資料を元にNo.1表示をしたが、指摘が入った
調査会社が責任を負う場合
調査会社に対して責任を負わせる事は出来るのか。神田弁護士によれば、表示会社と調査会社との契約内容次第だという。
「表示会社と調査会社との間で調査範囲について明確に限定する内容の契約を締結していた場合、その調査範囲以外の項目で広告に問題点が発覚したとしても、調査自体に問題があったとはそもそも言えません。他方、契約上の調査範囲に含まれる調査に問題があり、かつ調査会社の調査が杜撰なものであった場合には、調査会社が債務不履行責任を負う可能性があります」
調査対象となる競合事業者を、事業者自身で選んだ場合には、その選定過程に問題があったとしても調査会社の調査内容にそもそも含まれておらず、調査会社が責任を負う事はないであろう。
他方、調査会社が表示会社から提示された事業者全てを調査せず、代表的な事業者のみ部分的に調査したに過ぎない場合には「杜撰な調査」と認められる可能性がある。
調査責任を問えない場合
多くの場合、調査会社が責任を負わない旨が書面に記載されている。その事を理解した上で調査会社を利用する事が重要だ。
では、調査会社に対して調査責任を問えないのはどのような事例か。
結論から言えば、調査会社が「杜撰な調査」を行わない限り、調査結果に問題があっても責任を問う事は難しいと考えるべきだ。
「表示会社が調査会社に調査を依頼する際、契約書を締結していることが多いと思います。その契約書において、例えば『調査会社の故意又は重過失による場合を除き損害賠償責任を負わない』という文言があれば、責任追及は相当程度困難です。一般的な調査会社に要求される調査水準を著しく下回る調査しかしなかったことを表示会社が立証する必要があるからです」
指摘が入れば調査会社に責任を負わせる、という考え自体が誤っている可能性もある。慎重に検討しておくべきだ。
事業者自身が出来る事
では、競合相手を適切に選定するために事業者自身が出来る事は何か。
網羅的に競合相手を選ぶ事も重要だが、No.1表示の動機に立ち返って競合相手の選定をする事が重要だと説明する。
「事業者がNo.1表示をする場合、そもそも何に関するNo.1なのか、ターゲットを絞って表示をする事が多いでしょう。特定地域のNo.1か、売上数のNo.1か、特定の時点のNo.1か、表現の方法は様々です。競合相手を選定するのが先ではなく、No.1 として訴求したい商品・サービスの機能、地理的範囲、時点等の詳細を確定させてから、その範囲においてより優れた競業他社がいないかと考えるのが筋ではないでしょうか」
調査会社に出来る事は、恣意的な競合相手の選定にならないよう中立な視点で選ぶ事だ。競合相手の選定が難しい場合は、調査会社に相談をするのも手だ。
未来トレンド研究機構の場合、事業者から要望があれば競合相手を選定する事も可能だ(有償作業)。業界の有識者への意見聴取や専門家による調査を実施するため、通常のNo.1表示費用よりも高額になるが、確実な結果は出る。自信がない場合は専門家に意見を問うのが良いだろう。
最終的な表示の責任は事業者が負うという認識を
調査会社との向き合い方も重要だが、最も重要な視点は「広告表示について事業者自身が対外的責任を負う」という事だ。
「消費者庁に説明を行う際、『調査会社の調査過程の杜撰さを見抜けなかった』と言い訳をしても通用しません。景品表示法はあくまで消費者を守る法律です。消費者がその表示を見てNo.1と誤認してしまった場合には、いくら調査会社に責任があったとしても、表示会社が矢面に立ち、対外的責任を負います。この視点を忘れない事が重要です」
表示に責任を持つ事が、全てのトラブルを回避するための第一歩だ。競合相手の選定において、責任を負うのが事業者か調査会社かは、契約内容によって異なり一概には言い切れない。しかし、表示の対外的責任は事業者にあるという意識をもって広告運用に当たる事が重要だと認識しておくべきだ。
本インタビューの監修者
未来トレンド研究機構
村岡 征晃
1999年の創業以来、約25年間、IT最先端などのメガトレンド、市場黎明期分野に集中した自主調査、幅広い業種・業界に対応した市場調査・競合調査に携わってきた、事業発展のためのマーケティング戦略における調査・リサーチのプロ。
ネットリサーチだけなく、フィールドリサーチによる現場のリアルな声を調査することに長け、より有用的な調査結果のご提供、その後の戦略立案やアポイント獲得までのサポートが可能。
そんな我々が、少しでもマーケティング戦略や販売戦略、新規事業戦略にお悩みの皆さんのお力になれればと思い、市場調査やマーケティングに関しての基礎知識や考え方などを紹介しております。
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2026年06月02日





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