弁護士プロフィール
松田綜合法律事務所
小倉 佳乃 弁護士
おぐら かの
小倉佳乃(東京弁護士会)
https://jmatsuda-law.com/members/kano-ogura/
株式会社ファーストリテイリングでの企業法務経験を活かし、企業法務〜景表法など様々な領域を担当。「依頼者が満足し、笑顔になれる丁寧な接客」をモットーに。依頼者目線の寄り添った相談を行っている。
<経歴・主な業務>
| 東京大学法学部卒業 | |
| 東京大学大学院法学政治学研究科法曹養成専攻修了 | |
| 2015年12月 | 松田綜合法律事務所 |
|---|---|
| 2020年5月 | 株式会社ファーストリテイリング 法務・コンプライアンス部 グローバル法務チーム |
| 2024年1月~ | 松田綜合法律事務所 |
本文No.1や初の表示を掲載するにあたり、事業者は調査会社に依頼をして調査を実施する。その際、最終的な表示の責任は原則として事業者が負う事になるが、調査会社に景表法上の責任を負わせる事は出来るのだろうか。複数の弁護士に様々な見解を伺うシリーズ。今回はインハウス弁護士として活躍した経験のある小倉弁護士に話を伺った。
最終的な責任は事業者が負う
大前提として、景表法上、不当表示に関する行政上の責任は、原則として事業者が負う。
「景品表示法は「自己の供給する商品又は役務の取引について表示した事業者」に対して不当な表示を禁止しています。そのため、行政からNo.1や初の表示の裏付け調査について指摘を受け責任を負うのは、調査会社ではなく原則として事業者となります」
では、調査会社が恣意的な裏付け調査を実施した場合はどうか。
「『No.1実態調査報告書』にも、不適切な調査を実施する調査会社の存在は指摘されていますが、調査会社が表示の裏付け調査を行っていたとしても、『不当なNo.1 表示等についての責任は広告主にある』ので、やはり行政上の責任を負うのは事業者となってしまいます」
調査会社を利用する際は、事業者自身が責任を持って表示を確認し、運用しなければならない事を改めて認識しておくと良いだろう。
事業者が出来る事
では、第三者である調査会社が調査を行う場合でも、事業者が指摘を受けないようにするためには、どのような事を実施すべきだろうか。
「「他社も同じ調査会社を利用しているから大丈夫」と安易に考えずに、どういうサンプルを選定し、どのような調査を調査会社に依頼し実施したのかという調査の内容やプロセスを把握して、表示の根拠を十分に確認する事が重要です。調査会社から、根拠資料を取得して保管しておくと良いと思います」
では、調査の内容について説明が出来れば、仮に表示が指摘された場合でも、事業者の責任にならないのだろうか。
「調査の内容や方法について適切に説明できる事は重要ですが、それだけで事業者の責任がなくなる訳ではありません。調査手法が不適切であったり、表示内容と調査結果が適切に対応していなかったりする場合は問題となる可能性があります。そのため、単に調査を実施するだけでなく、表示の根拠として妥当な内容になっているかを事業者自身も確認する事が重要です」
景品表示法以外の法律にも注意する
調査会社に調査を依頼する場合、景表法だけに気をつければ良いという訳ではない。例えば事業者が化粧品を扱う場合は、景品表示法だけでなく薬機法等に関しても注意が必要だ。
「薬機法では、医薬品等の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、虚偽又は誇大広告が禁止されています。医薬品等適正広告基準では、効能効果等又は安全性について、「最高の効き目」等の最大級の表現が虚偽又は誇大な広告であると解釈されていますので留意が必要です。また、この基準では「医薬品等の品質、効能効果、安全性その他について、他社の製品を誹謗するような広告を行ってはならない」とされており、明示的、暗示的を問わず他社製品との比較広告は行わないこが求められています。そのため、他社と比較をするような表示は、避けるべきです」
重要な点は、一般消費者がどのような視点でその表示を見るかという事だ。
「適切な調査を実施したとしても、表現が適切でなければ、一般消費者が理解する内容と乖離が生じ、薬機法で定めているような虚偽又は誇大広告となる恐れがありますので、表現には慎重になる必要があります。医薬品等適正広告基準の解説では、「新発売」のような表示であれば、製品発売後12ヵ月間を目安に使用できるとされていますが、〇〇成分では業界初といった表現は他社製品と比較していると評価される可能性があるため、慎重な検討が必要です」
景品表示法上問題のない表示でも、薬機法や医療法等の他の法令で問題のある表現となる可能性もある。表示を運用する際にこのような視点を持つ事も重要だ。
事業者が運用の際に確認すべき事
では、事業者はどのような事に注意すべきか。小倉弁護士は事業者として基礎に立ち返る事が重要だと強調する。
「事業者が表示を適切に管理するために講ずべき必要な措置を示すものとして、管理措置指針があります。不当表示に関する調査の中で、表示の根拠資料だけでなく社内の確認体制等の管理措置について説明を求められる事があるため、管理措置指針に沿った運用を日頃から整備しておく事が重要です」
調査会社への責任を問う前に、まずは事業者自身が表示内容や表示の根拠資料を適切に管理・確認できる体制を整えているかを見直す事が重要だ。調査会社を利用する場合にも、調査会社に任せきりにするのではなく、どのような方法で調査が行われたのか、表示の根拠として十分な内容かを事業者自身が確認する姿勢も欠かせない。
未来トレンド研究機構では、調査会社として調査業務を行うだけでなく、事業者にとって参考となる景品表示法の情報を(法律の専門家に対するインタビュー記事として)発信している。管理措置指針の考え方は勿論の事、事業者が取り組むべき事等の情報も発信している。調査会社を選定する際には、景品表示法への理解、情報提供の内容なども一つの判断材料となるだろう。
本インタビューの監修者
未来トレンド研究機構
村岡 征晃
1999年の創業以来、約25年間、IT最先端などのメガトレンド、市場黎明期分野に集中した自主調査、幅広い業種・業界に対応した市場調査・競合調査に携わってきた、事業発展のためのマーケティング戦略における調査・リサーチのプロ。
ネットリサーチだけなく、フィールドリサーチによる現場のリアルな声を調査することに長け、より有用的な調査結果のご提供、その後の戦略立案やアポイント獲得までのサポートが可能。
そんな我々が、少しでもマーケティング戦略や販売戦略、新規事業戦略にお悩みの皆さんのお力になれればと思い、市場調査やマーケティングに関しての基礎知識や考え方などを紹介しております。
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2026年06月16日





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