消費者庁インタビュー「No.1調査における景品表示法」その2

2024年04月25日

網羅的な調査結果に必要な3つの調査とは

No.1調査、初調査いずれも、表記を行うことで商品・サービスにおいて優位性を保つことができるが、調査方法を誤ってしまうと景品表示法違反に該当してしまう。「No.1」「初」と表記するためには、網羅的かつ客観的な調査方法の提示が必要だ。どのような過程で調査を行うべきかを知るため、消費者庁 表示対策課 指導係に問い合わせを行った。

消費者庁 表示対策課 指導係によれば、客観的な調査として妥当と言えるのは「知財調査」「公開調査」「深掘調査」の3つの調査を経たものだ。3つの調査では、それぞれどのような調査が行うのかを紹介する。

初期段階の知財調査では、これから表示したいNo.1や初の表記をしている競合がないかを調査する。初調査では知財調査時に表示したいものに対して、特許申請していないかを確認する。

知財調査を行い表記に問題がないと判断した後は、公開調査を実施する。公開調査では、競合他社が同様の表記をしていないかを調べるためにホームページを1社ずつ細かくチェックする。ここでよくある失敗例は、ネット検索の上位表示のみで判断をしてしまうことだ。

検索上位にヒットした数社をピックアップしても網羅的な調査だとは言えない。検索ワードでヒットした全ての企業を1つずつ丁寧に調べなければ、網羅的であるとは言えないのだ。公開調査を終えた後は、検索キーワードを変更し最終段階の深掘調査を行い、網羅的な結果を行い、問題がなければ表記することが可能だ。

ここで注意すべき点は、消費者庁は客観的に妥当と判断できる調査資料を求めているのであって、完璧なデータを提示させようとしている訳ではないことだ。情報収集には限界があるため、完璧な検証結果を導くことは不可能だ。どのような過程で調査を行ったのか、過程を明示できるかどうかが重要だ。

適切な調査方法を行っている調査会社は、この3つの調査を必ず実施するため、「No.1」、「国内初」いずれの表記でも打ち合わせ時に必ず説明があるだろう。一方、ずさんな調査を行っている調査会社は、調査過程を企業側に示さず、結果だけを示すケースも多い。調査会社の調査過程を検証せずに表記を行うと、景品表示法違反に該当した企業と同様、措置命令、課徴金納付命令の対象となる可能性も十分考えられるだろう。

現在の景品表示法では責任を負うのは広告主だ。企業のレピュテーションリスクを回避するためにも、調査会社がどのような調査を実施しているか、おおまかな概要だけでも理解しておく必要がありそうだ。

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