森田多恵子弁護士インタビュー「景品表示法の基本」

2024年03月29日

NO.1(検証)調査×アンケートについて

「顧客満足度NO.1」等の表記を行うためには、客観的な根拠を提示するためのアンケート収集が必要不可欠だ。

適切な調査結果を提示するためにはどの程度のサンプル数が必要なのかについて、ビジネス法分野を得意とする西村あさひ法律事務所・外国法共同事業 森田多恵子弁護士にお話を伺った。

森田弁護士によれば、「NO.1」と表記するために必要な適切なデータ数を具体的な数値では示せないとのこと。商品・サービスによって求められるサンプル数が異なるため、いくつ集めれば良いとは言い切れないのだ。

では、相当数のサンプルを集めるにはどうすれば良いか。一般社団法人 日本マーケティングリサーチ協会が定めたガイドラインを参考にすると、「サンプル数」と「範囲」がNO.1調査において重要であることが分かる。

  • NO.1表示の内容が客観的な調査(関連する学術界又は産業界において一般的に認められた方法又は関連分野の専門家多数が認める方法によって実施されている調査)
  • 社会通念上及び経験則上妥当と認められている方法で実施されている調査

サンプル数の注意すべきポイントとして、森田弁護士によれば、ごく限られた数ではなく、無作為抽出で相当数のサンプルが必要と指摘する。また、「範囲」では商品・サービスの販売規模も考慮しないといけない。

森田弁護士によれば、特定地域だけのサンプルで良いのか、全国レベルでアンケートを収集すべきか、広告を行う地理的範囲や、表記したい内容によって変化するとのことだ。依頼者は、調査会社に調査依頼をする前に、適切なサンプル数と範囲を割り出すために、あらかじめ競合他社が行ったサンプル調査の結果を確認しておくことをおススメする。

もちろん競合他社のサンプル数が絶対に正しいとは言えない。調査会社が杜撰な調査を行った調査であることも考えられる。森田弁護士によれば、サンプル数も重要であるが、調査結果が不適切にならないよう、モニタリングを事業者がしっかりしておくことも重要とのことだ。

サンプル数は調査対象によって変化するため、依頼者は調査会社の結果の報告を受けるに当たり、自分たちが意図した方法でなされているか確認することも重要だ。調査会社が行ったNO.1調査結果がおかしいと感じるようであれば、専門家に客観的にチェックを受けておくと良いだろう。

森田弁護士によれば、適切なサンプル数に関する質問を受けることも 比較的多いとのことである。弁護士や第三者機関に依頼をする際は「どのような表記をしたいのか」明確な意図を持って相談することをおススメする。

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