森田多恵子弁護士インタビュー「景品表示法の基本」

2024年03月29日

NO.1(検証)調査や初(検証)調査におけるリスクの認識

NO.1(検証)調査や初(検証)調査を依頼するにあたり事業者が知っておくべき法律は「景品表示法」だ。

景品表示法違反をすると、どのようなペナルティがあるのかについて、ビジネス法分野を得意とする西村あさひ法律事務所・外国法共同事業 森田多恵子弁護士にお話を伺った。

ここ1年以内の措置命令・課徴金納付命令をいくつかリストアップしてみた。

  • 2023年8月1日 オンライン家庭教師事業を営むA社に6346万円の課徴金納付命令 
  • 2024年2月27日 太陽光発電システム機器等の販売施工業者2社に措置命令
  • 2024年2月28日 大手Wifiレンタルサービス会社B社に措置命令

いずれも、「NO.1」の表記方法に問題があり、景品表示法違反に該当してしまったケースだ。

森田弁護士によれば、「NO.1」表示を表記するにあたり、正しく調査されていないものが、優良誤認に該当するケースが昨年から今年にかけて多くなっていると指摘する。

景品表示法違反に該当してしまった件に共通点はあるのだろうか、森田弁護士によれば、「NO.1」を表記するために調査依頼をした調査会社の根拠の取り方が杜撰であるものが多いとのこと。

改めて消費者庁が発表した措置命令を元に、優良誤認になってしまった事例の調査方法を調べると、実際の利用者ではない人物に対しアンケートを集計し、「利用者満足度NO.1」、「顧客満足度NO.1」と表記するケースが多いことが分かった。

景品法表示違反にはペナルティが存在する。掲載している広告の取り下げや表記の改善、一般消費者への周知をするように求めるなどの「措置命令」や、違反行為が見られた商品・サービスの売上高の3%分を支払う「課徴金納付命令」だ。

それ以外のマイナス面は何があるのか、森田弁護士にお伺いしたところ「全国紙や自社のホームページで、景品表示法違反をしたことを報告することで、会社に関する信用やブランドの価値を失うレビュテーションリスクがある」とのことだ。

森田弁護士によれば、「調査会社に委託をすること自体が客観的な証拠になるという訳ではなく、事業者自らがどのような要件を元に調査をしたのかはっきりと提示できるよう備えておく必要がある」とのこと。第三者調査機関に丸投げをするのではなく、依頼者自らが主体的になって調査先を選ぶことも重要だ。

ページ: 1 2 3 4