阿部由羅弁護士へのインタビュー「低コストでリスク回避」

2024年07月26日

低コストで出来る景表法対策とは!?

インタビュー日 2024年7月4日

「No.1」や「初」などの表記によって商品・サービスをPRする際には、景品表示法(以下景表法)の規制に留意しなければならない。景表法対策は、コストがかかる。初期投資として多くのコストを割けられないと考えている事業者も多くいるだろう。小規模の事業者が低コストで出来る対策について何か無いか、様々なベンチャー企業が数多く存在する領域で数々の企業法務に携わってきた、ゆら総合法律事務所の阿部由羅弁護士に話を聞いた。

ゆら総合法律事務所

https://abeyura.com/

企業法務から一般民事まで幅広いリーガルサービスを提供。企業法務・景表法にも精通している大手法律事務所での経験を活かし、法人・個人問わずきめ細かなお客様に寄り添った相談を得意とする。

低コストで出来る4つの景表法対策

ベンチャー企業やスタートアップ企業はリソースが限られている。そのためどの程度の対策を講ずべきか、事業者によって見解も実施内容も大きく異なる。しかし、ここ数年消費者庁の景表法に対する考えが厳しくなったからこそ、小規模の事業者でも次の4つのアクションは最低限必要と阿部弁護士は考える。次に紹介するアクションは低コストで出来る対策ばかりだ。景表法対策にコストを割けられない事業者は参考にして欲しい。

その1 措置事例からNo.1や初に関する知見を身につける

現在リリースしている商品・サービスが認知された段階で、「No.1」を打ち出して魅力をアピールしたいと考える事業者もいるだろう。その際、トラブルを避けるためにNo.1の措置事例の確認を推奨する。阿部弁護士によれば、フロンティアジャパンに対するものなど、2024年2月から3月にかけて行われた一連の措置命令が、No.1表記について問題のある事例として参考になるとのこと。

「フロンティアジャパンに対する措置命令の事案では、『北海道エリア太陽光発電業者 満足度3冠達成』など、北海道地域における太陽光発電業者の中で満足度がNo.1であることを示す表記が問題と指摘されました。しかし、「No.1」の客観的な裏付けはなく、全て実体験に基づいていないイメージ調査を元に表記をした点などが問題視され、消費者庁の措置命令を受けてしまいました。「満足度」などの抽象的な評価項目については、ベンチャー企業やスタートアップ企業のWEBページによく見られる一方で、「No.1」の客観的な裏付けを得ることが難しい側面がありますので、小規模の事業者さんが注意しておくべき事案ですね」(阿部弁護士)

小規模事業者がWEBサイトを作成する際、マーケティング会社のアドバイスを受けて集客の施策を検討するケースが多い。その際、自社のサービスに関して何らかの「No.1」を表記すると良いと教えられた場合、措置命令の対象となっているようなイメージ調査を元にしたNo.1が可能かという相談するケースは少なくないという。

「「この表記ならNo.1を表記できます」と営業する調査会社の言葉を真に受けて検討してしまうと、安直で簡単なアンケート調査を行なって抽象的な満足度No.1と謳ってしまい、消費者庁から指摘が入るリスクが高いと思います」(阿部弁護士)

No.1表記は簡単に出来る表記ではない。まずはそのことを念頭に起き、事業者は対応する必要があると心得ておくべきだ。

その2 関連業界の措置命令事例をチェックする

事業者は必ず関連業界の措置事例も併せて確認しておくと良いとのこと。

「私がよく相談を受ける金融関連の事業者さんには、キャッシュバック、ポイント付与関連の措置事例を見ておくようにとアドバイスすることがあります。No.1や初とは異なる事案ですが、キャッシュバックやポイント付与は条件を一般消費者に分かりやすく示しておかないと、広告表記について消費者庁から指摘を受ける可能性が十分考えられます」(阿部弁護士)

実際に、キャッシュバックの条件に関する記載が不十分であったことなどを理由に、金融サービス事業者が消費者庁から措置命令を受けた事例もあるという。事業者の展開したいサービスに関連している業界において、過去に措置命令を受けた事例をチェックしておくことが重要だ。

その3 広告チェックは最低限受けておく

消費者庁の調査は交通切符と同じとも言われている。景表法違反に該当する表記をしている事業者の中には、たまたま運がよく見つかっていないケースもある。バレなければ良いという考えで景表法を軽視している事業者もいるが、この考え方は非常に問題だと阿部弁護士は指摘する。

「事業の規模が大きくなると、消費者庁からこれまで見逃されていた表記を指摘されることがあります。そのタイミングで消費者庁の措置命令の対象となれば、事業者がこれまで獲得してきた一般消費者の信頼を一気に失ってしまう恐れがあります。可能であれば、新たなウェブページや広告をリリースするたびに、リーガルチェックを受けておくことをお勧めします」(阿部弁護士)

広告のリーガルチェックを受けることで、別のメリットもあるという。

「リーガルチェックは誤った表記を見つけるだけでなく、弁護士の話を通して景表法の知見が身に付くようになります。セミナーや勉強会に参加することで知見を獲得出来ますが、事業者が自分自身で勝手に解釈をした状態で進めてしまうと掲載予定の表記が実は問題だったということも考えられます。第三者の視点で確認してもらうという観点からお薦めのアプローチだと思います」(阿部弁護士)

No.1や初の表記は、事業者の思い入れが強く「一般消費者はきっとこの表記をこのように解釈してくれるはずだ」と思い込んでしまうことがある。偏った考え方のまま表記をしないよう、広告掲載前のリーガルチェックが最善策と言えよう。

その4 情報のアップデートは定期的に行う

事業者における景表法を踏まえた広告の取り扱いや、事業者が独自に定めた景表法ガイドラインについては、定期的な見直し・アップデートが必要であると阿部弁護士は指摘する。

「景表法の規制は抽象的な表現で構成されているため、No.1のようにこれまで措置命令・課徴金納付命令まで至らなかった表記が、突如問題として取り上げられてしまうこともあります。また、景表法や関連法令が将来的に改正されることも想定されます。そのため、事業者における公告の取り扱いや、事業者が独自に構築した景表法ガイドラインは定期的に見直すことが必要です」(阿部弁護士)

法務担当者と現場担当者が連携して、最新の措置命令事案や法改正の動向を常にチェックするのが良いとのこと。

No.1の表記で例に挙げると、2024年秋頃に新たな実態報告書が発表されると言われている。既にNo.1に関する運用ガイドラインを作成した事業者であれば、新たな実態報告書が発表されたタイミングで、事業者自身のガイドラインを見直すと良いだろう。適切なタイミングでアップデートを行えば、比較的負担を少なくして運用を行うことが出来るだろう。

顧問契約でサポートを受ける

以上紹介した4つのアクションが事業規模の小さい事業者でも出来る対策だ。勿論事業者自身で出来るものとそうでないものがあるだろう。自社だけで解決出来ないものは、弁護士の顧問契約でサポートを受けることをお勧めする。

「資金力がなくリソースが限られている事業者は、弁護士にスポットで相談する方法が考えられます。しかしスポットで相談する場合は、その都度1から事情を説明しなければならないのが難点です」(阿部弁護士)

顧問契約は何でも気軽に相談できるだけでなく、事業者の情報が弁護士事務所に蓄積されていくため、事業の実態に合ったアドバイスを受けられるメリットがある分、費用が高くなるケースが多いが、弁護士事務所を比較検討すれば、顧問契約の費用を抑えることも可能だ。

ゆら総合法律事務所では、固定費のないタイムチャージ制(時給制)の顧問契約を提案している。弁護士が稼働した時間に応じて報酬が発生するため、相談事が発生しなければ費用が発生しないというメリットがある。これは負担を極力抑えたい小規模の事業者にとって嬉しいサービスだ。

景表法の規制は、小規模事業者であっても決して無視できない。企業規模が小さくてもできるNo.1表記や景表法対策がある。そのことを踏まえて運用を心がけると良いだろう。

阿部由羅弁護士(埼玉弁護士会)
https://abeyura.com/

弁護士登録後、西村あさひ法律事務所入所。不動産ファイナンス(流動化・REITなど)・証券化取引・金融規制等のファイナンス関連業務を専門的に取り扱う。民法改正・個人情報保護法関連・その他一般企業法務への対応多数。
同事務所退職後は、外資系金融機関法務部にて、プライベートバンキング・キャピタルマーケット・ファンド・デリバティブ取引などについてリーガル面からのサポートを担当。弁護士業務と並行して、法律に関する解説記事を各種メディアに寄稿中。

(記者 山口 晃平)

㈱未来トレンド研究機構の方針

㈱未来トレンド研究機構では、調査会社(累計25年のキャリア・実績)としての豊富な経験を活かして、今後も「No.1」検証調査、「初(世界・アジア・日本・業界)」検証調査に関する受託業務を本格的に展開していく。クライアント企業のお悩みや課題、不安を一つ一つ解消し、「No.1」検証調査や「初(世界・アジア・日本・業界)」検証調査事業の可能性を広げていく方針である。引き続き、「No.1」検証調査、「初(世界・アジア・日本・業界)」検証調査それぞれで300件/年の受注を目指していく方針である。

㈱未来トレンド研究機構における「No.1」検証調査 受託業務の強み・ポイント

1)累計1000件(テーマ)以上、年間平均100件(テーマ)/年 の受託件数
2)No.1(検証)調査は、30年以上のキャリアを持つベテラン・リサーチャを中心に徹底調査 ※シェアNo.1、販売数量実績No.1など
3)レポート体制
・インタビュー・ヒアリングチーム
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4)プロのコンシェルジュが無料相談!
5)徹底した事前相談対応(無料)!
6)丁寧な調査・ヒアリング!
7)記録技術(会話速記)/テープ起こし(レポート
8)レポート品質UPに対する強い意識!
9)フォロー・サポートはエンドレスに!
10)ご依頼頂いた内容の守秘義務は徹底致します!
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12)「No.1調査」×B2B分野(メガトレンド分野)では業界No.1
13)常に調査記録をバックアップ・テープ起こし(会話速記を徹底化)

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8)レポート品質UPに対する強い意識!
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11)累計25年以上の豊富な調査キャリア
12)「初(世界・アジア・日本・業界)調査」×B2B分野(メガトレンド分野)では業界No.1
13)常に調査記録をバックアップ・テープ起こし(会話速記を徹底化)

(個別相談窓口)

株式会社 未来トレンド研究機構 「No.1」検証調査 業務担当

問い合わせ・相談先 E-mail info@miraitrend.com
問い合わせ・相談先 TEL 03-6801-6836

【会社概要】

会社名 株式会社 未来トレンド研究機構
https://www.espers.co.jp
所在地 東京都千代田区九段南一丁目5番6号 りそな九段ビル5階 KSフロア
設立 1999年8月19日
代表者 代表取締役 村岡 征晃(むらおか まさてる)
事業内容 (世界初、アジア初、日本初、業界初)検証調査、No.1(検証)調査、海外調査、競合調査、未来予測のご用命は”未来トレンド研究機構(略称:未来トレンド)”へ!

【未来トレンド研究機構 中核サービス】以下5つのサービス↓↓↓

  • No.1<検証>調査Ⓡ<商標登録 第6763351号> ※No.1調査、ナンバーワン調査(年間売上・販売数量実績<累計or年間>・シェア・伸び率など)
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  • 初(世界・アジア・日本・業界)<検証>調査Ⓡ<商標登録 第6763352号> ※世界初調査、アジア初調査、日本初調査、業界初調査
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    (競合調査・公開調査・知財調査など)
  • 競合調査Ⓡ<商標登録 第6763354号>
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    (SWOT分析・競合戦略分析・4P&3C分析など)
  • 海外調査Ⓡ<商標登録 第6763353号>
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    (グローバル調査:主要プレイヤー・ベンダへのヒアリング調査/顕在&潜在ユーザーへのアンケート調査:パネルヒアリングなど)
  • %(パーセンテージ)調査、シェア調査、市場占有率調査Ⓡ<商標登録 第6800111号>
    (%調査、パーセンテージ調査、シェア調査、市場占有率調査など)

本件に関する報道関係からのお問い合わせ先

窓口 株式会社 未来トレンド研究機構 「No.1」検証調査 担当部門
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