山田瞳弁護士へのインタビュー「No.1表記の予防法務」

2024年07月04日

元消費者庁出向弁護士に聞く!「○○No.1」、「○○初」表記をする事業者が取り入れるべき予防法務の考え方

インタビュー日 2024年6月21日

広告に「No.1」表記、「初」表記を検討している事業者は、景品表示法(以下景表法)を適切に遵守するための対策が必要不可欠だ。事業者は掲載した表記に対し、当局の調査対象とならないための対策(予防法務)が重要だ。本記事では予防法務の重要さを知るべく、政府、インハウスロイヤーが多く所属するのぞみ総合法律事務所所属で、消費者庁総務課・法規専門官として同庁の訟務を担った経験のある山田瞳弁護士に話を聞いた。

のぞみ総合法律事務所

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「高い専門性」「迅速かつ柔軟な解決力」「依頼者に寄り添う協調力」「明るく前を向く推進力」。のぞみ総合法律事務所は、この4つの柱からなる「のぞみの理念」を胸に、常に質の高いリーガルサービスを提供すべく、日々業務に取り組む。

不当表示についての当局の考え方を知る

事業者自身が景表法に則ったガイドラインを構築する際、どのような対策をしなければならないのか。各事業者により優先すべき対策が異なるが、何から取り組むべきか分からなければ、消費者庁の視点で不足している要素は何かをチェックすると良いだろう。消費者庁はどのような視点で表示を見ているのか、山田弁護士は次のように分析する。

「当局による不当表示の考え方のポイントは、その表示を見た一般消費者がその表示についてどのような受け止めをするかという点です。ここで重要なのは、その表示において現に示されている文言やイラストといった表記そのものではなく、それらの表記全体から一般消費者が受け止める内容を想定して捉えているということです。その「受け止め内容」と商品やサービスの「実際」とを比較して、重大な乖離がある場合には、優良誤認表示や有利誤認表示に該当し、当局による調査対象となる可能性があります」

問題の表示に対して責任を負うのは事業者だ。万が一「No.1」や「初」の表記を伴う表示が当局の調査の対象となれば、事業者はこれらの表記の客観的・合理的根拠資料を提示して、表示に裏付けがあることを示さなければならないが、裏付けと認められるためのハードルは高い。

「事業者の提出する資料が表示の裏付けと認められるか否かを判断するに際して当局が重要視するポイントの1つは、事業者が提出する裏付け資料の内容が、その表示による一般消費者の「受け止め」の内容と適切に整合しているかどうかです。いくら事業者として客観的で合理的だと考える資料を提出したとしても、その資料が示す内容が、広告による一般消費者の「受け止め」の内容と整合していなければ、不当表示として行政処分の対象となる可能性が十分考えられます」

「例えば、「目に良い」とタブレット型の健康食品Aの広告に「健康食品売上No1」等と表記している時には、一般消費者の「受け止め」の内容は「Aは(ジャンル、形態や媒体を問わず)最近流通する健康食品の中でも最も人気が高い」といったものとなり得ますが、これに対して、事業者が提出する調査結果の内容が「目に良いと謳う健康食品のジャンル中の、タブレット型の形態のもので、かつ、特定のリアル店舗Xで販売を行っているものを対象とした月間売上ランキングにおいて1位になったことがある」というものだったとすると、資料が示す内容は「受け止め」の内容と整合していません」(山田弁護士)

「No.1」や「初」の表記について事業者が保有する調査結果については、その調査方法がいかに専門家から正当性があると評価されたものであっても、その表示による一般消費者の「受け止め」とズレていれば、表示の裏付け資料とはならないことを理解しておく必要があるだろう。

保有する調査結果を正確かつ適正に引用した「No.1」・「初」表記を

一般消費者の「受け止め」内容と調査結果内容とが整合するように、広告上で留意すべき点は何か。
「「No.1」や「初」が与えるインパクトは大きく、しかもその範囲は抽象的です。そのため、これらの表記は、一般消費者に、事業者が意図するよりも広い範囲で謳われる実績があるとの「受け止め」をさせがちです。そうならないよう、これらの表記を用いる事業者は、行った調査結果に則して、広告表示上も、例えば、①対象となる商品やサービスの範囲、➁地理的な範囲、➂調査期間・時点、調査の出典といった事項を受け手が明確に認識できるように表記することで、「受け止め」の範囲が調査結果を超えないように留意する必要があります」(山田弁護士)

例えば「全国売上販売実績No.1」という表記をする場合、特定の地域にある販売店の販売実績ではなく、全国の販売実績を元に調査をしなければ整合性が取れるデータを集めたと主張出来ません。
さらに事業者自身が「この表記を見た消費者はこう受け取ってくれるはずだ」という主張も、それが一般消費者の「受け止め」と合致していなければ、通らないことも注意しておくべきことだ。
「表示の「受け止め」の主体は事業者ではなく一般消費者です。当局は、一般消費者であればその表示をどう受け止めるかという視点で表示を評価しているのです。そのため、事業者の側でも、表示の制作の過程で、その表示が、その商品やサービスについて詳しい知識を有しない一般消費者にどういう印象を与えるのか、どう「受け止め」られるのかという視点を常に持つことが重要です」(山田弁護士)
一般消費者目線を欠いた事業者都合の理解のまま広告を実施すれば、これに接する実際の一般消費者は想定とは違う捉え方をするかもしれない。その表示を見た一般消費者がどう感じるのだろうかという視点を持って、自らの広告を検証することを推奨する。

事業者に出来ること

適法な「No.1」表記、「初」表記を実現するために事業者が出来ることは、整合性の取れた資料を作成するノウハウを構築するだけでなく、裏付け調査の段階と、それに基づいて行おうとする表示の制作段階のそれぞれで、景表法の遵守が徹底されるような体制づくりが必要だ。このような体制を構築する事ができれば、予防法務の体制が構築されるだろう。理想の体制を構築するためには、例えば、次のような事項が事業者側に求められる。

  • 企業内で景表法の遵守の重要性、違反によるリスクや基本的な考え方を周知徹底し、違反に対する危機意識を持つ
  • 事業者自身が表示制作の各過程(「No.1」表記、「初」表記であれば、実態調査の仕様の決定過程や表記内容の決定に至るまでの過程)におけるルールや社内フローを定めたマニュアルを構築
  • 表記に対しての最終チェックができる担当者を配置

「企業の表示の企画・制作担当者は、その商品やサービスについての知識や情熱が深いがゆえ、制作した表示の「受け止め」の想定が、結果的に一般消費者のものとは異なっていたということが生じがちです。そのため、企業の中でも、その商品やサービスについての知識をさほど有しない、一般消費者により近い部署の第三者的視点で表示を審査するといったフローを入れ込むことも有益です」(山田弁護士)
制作する表示の一般消費者の「受け止め」をどう想定すべきかについては、外部の弁護士にその表示がどう見えるかの意見を聞き、アドバイスを受ける方法も予防法務の1つだ。
No.1表記や初表記の裏付けとなる根拠となる資料作成後でも構わない。調査結果を持ち込み「この調査結果で〇〇初、〇〇No.1と表記したいが問題ないか」と相談をするのも良いだろう。
重要なポイントは、広告を出稿する前に立ち止まる機会を設けることだ。初期段階で立ち止まる機会を設けておけば、表記後のミスに気づき措置命令等の行政処分を未然に防ぐことが可能だ。

また、今行っているビジネス以外で事業者が新たな領域で商品・サービスをリリースするのであれば、その広告に際しては、有識者の意見を聞きどのようなチェックが必要かを確認しておくと良いだろう。 「例えば、健康食品や健康グッズを通信販売するに当たっては、特商法も適用の対象となりますし、広告上の商品の謳い方によっては、景表法だけでなく、特商法、薬機法等にも注意が必要です。特に、昨今、通信販売による定期購入(いわゆるサブスク)取引に対しては、特商法による表示の規制や取締りが強化されており、違反に対しては業務停止命令等の重い処分が下される可能性もあります。景品法が問題ない場合でも、別の法律違反の可能性が否定できないため、別途確認しておく必要があります」(山田弁護士)

コンプライアンスを浸透させる企業風土の作り方

コンプライアンスは事業者が制度を構築しても、内部の人間に浸透しなければうまく機能しないものだ。
意識改革をしても担当者が異動となれば、体制がリセットされてしまう恐れもあり、万全な体制とは言い切れない。
景表法の最も効果的な意識改革は「失敗」かもしれない。一度景表法違反に該当し、措置命令・課徴金納付命令を経験すると、事業者にとってどれほどマイナスなものかを肌で痛感出来るだろう。無論、この手法は非現実的であり、どの事業者も避けたい事態だ。そこで、他社の「失敗」例から学ぶことが有益だ。
「景表法による措置命令や課徴金納付命令は、当局のウェブサイトで公表されており、誰でもその内容を閲覧できます。実際の命令書をみれば、その事業者がどのような表示を行っていたか、当局はその表示の一般消費者の「受け止め」をどう認定したか、実際は表示とどう違っていたのかを把握することができます。他社の失敗例を自分事のリスクと捉え、ここから適切な表示のあり方を習得することはコンプライアンスの実現のために非常に有益です」(山田弁護士)

事業者の失敗例を多く知る有識者に、過去の処分例やそれについての意見を聞くのも良いだろう。
景表法に強い弁護士は、過去の処分例から、当局の考え方を習熟しているだけでなく、景表法で失敗する事業者の傾向も心得ている。
山田弁護士のような消費者庁側の視点を持つ弁護士に、表記に対するアドバイスだけでなく、過去の処分例を聞けば事業者の危機意識を持つ事が出来るだろう。
No.1表記に対する当局の取締りが厳しくなっている今だからこそ、様々な事例を熟知している弁護士との連携が必要不可欠となるのだ。

山田瞳(第二東京弁護士会)

https://www.nozomisogo.gr.jp/attorneys/of_counsel_hitomi_yamada
2019年から2021年までの消費者庁への出向経験に基づく景品表示法、特定商取引法等の消費者保護関連法の専門知識を活かし、幅広いリーガルサービスを提供。景品表示法だけでなく、医療法務、ヘルスケア関連の法務など、幅広い業種が必要な領域に対応している。

(記者 山口 晃平)

㈱未来トレンド研究機構の方針

㈱未来トレンド研究機構では、調査会社(累計25年のキャリア・実績)としての豊富な経験を活かして、今後も「No.1」検証調査、「初(世界・アジア・日本・業界)」検証調査に関する受託業務を本格的に展開していく。クライアント企業のお悩みや課題、不安を一つ一つ解消し、「No.1」検証調査や「初(世界・アジア・日本・業界)」検証調査事業の可能性を広げていく方針である。引き続き、「No.1」検証調査、「初(世界・アジア・日本・業界)」検証調査それぞれで300件/年の受注を目指していく方針である。

㈱未来トレンド研究機構における「No.1」検証調査 受託業務の強み・ポイント

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・インタビュー・ヒアリングチーム
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10)ご依頼頂いた内容の守秘義務は徹底致します!
11)累計25年以上の豊富な調査キャリア
12)「No.1調査」×B2B分野(メガトレンド分野)では業界No.1
13)常に調査記録をバックアップ・テープ起こし(会話速記を徹底化)

㈱未来トレンド研究機構における「初(世界・アジア・日本・業界)」検証調査 受託業務の強み・ポイント

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・インタビュー・ヒアリングチーム
・アシスタント
・テープ起こしスタッフ
・レポート・スタッフ
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4)プロのコンシェルジュが無料相談!
5)徹底した事前相談対応(無料)!
6)丁寧な調査・ヒアリング!
7)記録技術(会話速記)/テープ起こし(レポート
8)レポート品質UPに対する強い意識!
9)フォロー・サポートはエンドレスに!
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(個別相談窓口)

株式会社 未来トレンド研究機構 「No.1」検証調査 業務担当

問い合わせ・相談先 E-mail info@miraitrend.com
問い合わせ・相談先 TEL 03-6801-6836

【会社概要】

会社名 株式会社 未来トレンド研究機構
https://www.espers.co.jp
所在地 東京都千代田区九段南一丁目5番6号 りそな九段ビル5階 KSフロア
設立 1999年8月19日
代表者 代表取締役 村岡 征晃(むらおか まさてる)
事業内容 (世界初、アジア初、日本初、業界初)検証調査、No.1(検証)調査、海外調査、競合調査、未来予測のご用命は”未来トレンド研究機構(略称:未来トレンド)”へ!

【未来トレンド研究機構 中核サービス】以下5つのサービス↓↓↓

  • No.1<検証>調査Ⓡ<商標登録 第6763351号> ※No.1調査、ナンバーワン調査(年間売上・販売数量実績<累計or年間>・シェア・伸び率など)
    https://espers.co.jp/no-1/
  • 初(世界・アジア・日本・業界)<検証>調査Ⓡ<商標登録 第6763352号> ※世界初調査、アジア初調査、日本初調査、業界初調査
    https://espers.co.jp/first-research/
    (競合調査・公開調査・知財調査など)
  • 競合調査Ⓡ<商標登録 第6763354号>
    https://espers.co.jp/competitor/
    (SWOT分析・競合戦略分析・4P&3C分析など)
  • 海外調査Ⓡ<商標登録 第6763353号>
    https://espers.co.jp/global-research/
    (グローバル調査:主要プレイヤー・ベンダへのヒアリング調査/顕在&潜在ユーザーへのアンケート調査:パネルヒアリングなど)
  • %(パーセンテージ)調査、シェア調査、市場占有率調査Ⓡ<商標登録 第6800111号>
    (%調査、パーセンテージ調査、シェア調査、市場占有率調査など)

本件に関する報道関係からのお問い合わせ先

窓口 株式会社 未来トレンド研究機構 「No.1」検証調査 担当部門
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