森大輔弁護士へのインタビュー「事業者が知るべき不実証広告規制」

2024年06月03日

『森大輔法律事務所 森大輔弁護士へのインタビュー』これからのNo.1表記〜事業者が知るべき「不実証広告規制」と「改正景表法に向けた心構え」とは〜

インタビュー日 2024年5月23 日

No.1、初の表記をする際、景品表示法(以下 景表法)に精通している弁護士の多くは「不実証広告規制」に則った対策ができるかどうかが重要と考える。No.1、初表記を行う際にポイントとなる「不実証広告規制」とは一体どのようなものかについて、様々な企業の顧問相談を務め景表法に関するセミナーを積極的に実施している森大輔法律事務所の森弁護士に話を聞いた。

<森大輔法律事務所紹介>

https://moridaisukelawoffices.com/

2015年7月に銀座に開業。複雑化・多様化する社会を背景に、複数の法律分野にまたがる横断的かつ多面的な問題を解決すべく、企業法務を専門とする弁護士で構成された法律事務所。人事・労務、景品表示法、債権回収、M&A、契約書作成、知的財産、クレーム対応、事業承継など、多数の企業法務案件を扱っている。

1.No.1も不実証広告規制の対象に

不実証広告規制とはNo.1や初の表記を行った広告事業者が調査対象となった際、消費者庁に対して表記の裏付け(合理的根拠)となる資料を提出しなければ、不当表示に該当するという制度だ。

森弁護士によれば「不実証広告規制は、著しく優良かどうかを広告事業者の方で合理的根拠を示して立証するという構造になっており、結果的に立証責任が広告事業者に課せられていることになります」とのこと。事業者はNo.1表記に対し、客観的な合理的根拠を示せなければ、措置命令・課徴金納付命令の対象となると考えて良いだろう。

「No.1や初の評価の中で無限定なものは立証が難しく、確かな根拠を調査するだけでも至難の業です」(森弁護士)

学習塾Aが「高校生が選ぶNo.1学習塾」という表記を正しく行う場合漠然とした表記ではなく、以下のポイントを押さえておく必要がある。

  • どのような学習塾の中での1番なのか
  • 実際にアンケート対象の学習塾を利用したことのある高校生か
  • いつの時点の調査なのか
  • 調査内容のうち質問事項などが公平な構成となっているか

表記の根拠となる証拠を示す事が出来れば、No.1表記について、客観的な調査に基づいて調査を実施したと評価出来るだろう。
事業者がAという商品の広告で「アフターサービス満足度No.1」と表記したいとしよう。この表記を見た一般消費者は、実際に商品を利用し他の商品と比較をして調査をした結果、Aという商品がNo.1だと判断してしまう。

事業者が上記の表記を達成するためには、商品の利用者を対象にアンケート調査を実施しなければならない。実際には商品を購入し利用したことのない人からのアンケート結果を提示しているのであれば、消費者が受け取る印象と大きくかけ離れた表記となり、措置命令対象となってしまう。アンケート結果と表記したいものがかけ離れないようにすることが、正しいNo.1表記では重要だ。

No.1表記では調査過程を事業者側が説明できるようにしておかなければならない。その際、注意が必要なのが「この調査はあながち嘘ではない」と説明するケースだ。

「業界の知識が一定以上ある事業者は、あながち嘘じゃないと説明をする依頼者もいます。しかしこの説明は景表法では全く通用しない理論です」(森弁護士)。客観的な判断基準は一般消費者だ。業界の知識を基準にするのではなく、一般消費者の目線で表記を判断するように心掛けるのが賢明だ。

2.広告表記にも配慮をする

適切なNo.1や初の表記を実現するために、客観的な調査を意識していれば良い訳ではない。

この表記を見てどのように感じるだろうか。消費者庁が推奨する客観的な根拠をNo.1表記の近くに配置し、適切な表記を心掛けているように思える。しかし、この表記はかなり問題な表記だ。

「客観的な根拠を示しているという観点であれば問題のないような配置です。ですが、打ち消し表記となる文字は背景と同化するような色で表記していますよね。No.1だけが目立ち、一般消費者が必ずしも商品を購入した訳ではないという表記を見落として、『主婦が選ぶNo.1化粧品』と誤解をしてしまう可能性があります」(森弁護士)

今回の配色は極端な例であるが、広告のデザインが景表法違反に該当する事例もある。調査過程だけでなく誤解を生む表現になっていないかを担当者がチェックしておくと良いだろう。

3.改正景表法に向けて事業者が把握しておくべきこと

改正景表法が施行されれば、今以上に厳しい罰則が待っている。適切な表記を意識するために事業者は「調査会社による恣意的な調査の見極め」「各部署を超えた社内の連携強化」の2つのアクションが重要だ。

調査会社を活用する事業者が注意しなければならないことは、恣意的な調査を実施する調査会社の見極めだ。

森弁護士によれば、「このNo.1のように、表記が可能といった形で結論ありきでNo.1表記を提案する場合は、恣意的な調査に基づいてアンケートが実施される可能性が高いです」とのこと。

No.1や初という表記は必ずしも事業者が望む結果が出る訳ではない。恣意的な調査を防ぎ調査会社と適切に付き合うにはどうすれば良いか。

森弁護士によれば「適切な表記を目指すためにも調査会社と連携して制度設計を行うことが重要」とのこと。そのために、事業者自身も景表法に対して知識を蓄えなければならない。

森弁護士によれば「景表法の知識を社内全体に浸透させるために、まずは直近の措置命令を例に社員に対し危機意識を持ち、社内全体で連携を取ってもらうことが重要」とのこと。

なぜ連携が必要なのか。ここ直近の措置命令及び課徴金納付命令を受けた大手企業のプレスリリースを確認すると、「再発防止に向けた管理体制の強化」という言葉が必ず登場する。大手企業の法務部であれば社内全体をうまく管理できるように思えるが、なぜ出来ないのか。森弁護士によれば「法務部が景表法について精通していないからではなく、各部署を超えた連携不足が原因となるケースが多いのではないか」と分析する。

景表法は法務部だけが関わっていてもコントロールできる訳ではない。広告を出稿するマーケティング部、販売する営業部も景表法の知識をある程度把握することが必要だ。

景表法に則った表記を心掛けるよう法務部が注意喚起をしても、営業部が「これでは顧客獲得に繋がらないので表記を変えるべきだ」という声が大きくなれば、事業者が伝えたい魅力的な表記になるよう恣意的な調査が実施される可能性も考えられる。

事業者が景表法に則った表記を目指すためには、今以上に社内で景表法に対してどのように向き合うのかを考えておくことが重要だ。アップデートの方法が分からなければ森弁護士を始めとした景表法に精通している弁護士への相談を推奨する。

★記事のポイント

  • 事業者は自社の広告に対する適切な合理的根拠となる裏付けを確保する
  • 事業者の視点ではなく一般消費者の視点が必要
  • 社内全体で景表法に対する知見を増やす

弁護士プロフィール 森大輔弁護士(東京弁護士会)

2009年の弁護士登録以来、企業問題に取り組む。森大輔法律事務所を開所し、労働分野や広告、景品表示案件を中心に多くの顧問先をサポートしている。講演実績は多数あり、企業向け・社会保険労務士向けの労務問題セミナーを定期的に開催している。

<講演実績>

2024年 2月  社労士事務所向けセミナー「未然に防ぐ職場のパワハラトラブルセミナー」 
2023年12月  2023年をまとめて振り返る景表法違反事例&ステマ規制対応ポイント解説セミナー
2023年 7月  これからの企業に求められるステマ規制対応 徹底解説セミナー
2022年12月  今年を振り返り注目するべき「景表法違反事例」まとめて徹底解説オンラインセミナー制の概要と対応の実務~」

(記者 山口 晃平)

㈱未来トレンド研究機構の方針

㈱未来トレンド研究機構では、調査会社(累計25年のキャリア・実績)としての豊富な経験を活かして、今後も「No.1」検証調査、「初(世界・アジア・日本・業界)」検証調査に関する受託業務を本格的に展開していく。クライアント企業のお悩みや課題、不安を一つ一つ解消し、「No.1」検証調査や「初(世界・アジア・日本・業界)」検証調査事業の可能性を広げていく方針である。引き続き、「No.1」検証調査、「初(世界・アジア・日本・業界)」検証調査それぞれで300件/年の受注を目指していく方針である。

㈱未来トレンド研究機構における「No.1」検証調査 受託業務の強み・ポイント

1)累計1000件(テーマ)以上、年間平均100件(テーマ)/年 の受託件数
2)No.1(検証)調査は、30年以上のキャリアを持つベテラン・リサーチャを中心に徹底調査 ※シェアNo.1、販売数量実績No.1など
3)レポート体制
・インタビュー・ヒアリングチーム
・アシスタント
・テープ起こしスタッフ
・レポート・スタッフ
4)プロのコンシェルジュが無料相談!
5)徹底した事前相談対応(無料)!
6)丁寧な調査・ヒアリング!
7)記録技術(会話速記)/テープ起こし(レポート
8)レポート品質UPに対する強い意識!
9)フォロー・サポートはエンドレスに!
10)ご依頼頂いた内容の守秘義務は徹底致します!
11)累計25年以上の豊富な調査キャリア
12)「No.1調査」×B2B分野(メガトレンド分野)では業界No.1
13)常に調査記録をバックアップ・テープ起こし(会話速記を徹底化)

㈱未来トレンド研究機構における「初(世界・アジア・日本・業界)」検証調査 受託業務の強み・ポイント

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2)初(世界・アジア・日本・業界)検証調査は、30年以上のキャリアを持つベテラン・リサーチャを中心に徹底調査 ※世界初、アジア初、日本初、業界初など
3)レポート体制
・インタビュー・ヒアリングチーム
・アシスタント
・テープ起こしスタッフ
・レポート・スタッフ
・知財専門スタッフ
4)プロのコンシェルジュが無料相談!
5)徹底した事前相談対応(無料)!
6)丁寧な調査・ヒアリング!
7)記録技術(会話速記)/テープ起こし(レポート
8)レポート品質UPに対する強い意識!
9)フォロー・サポートはエンドレスに!
10)ご依頼頂いた内容の守秘義務は徹底致します!
11)累計25年以上の豊富な調査キャリア
12)「初(世界・アジア・日本・業界)調査」×B2B分野(メガトレンド分野)では業界No.1
13)常に調査記録をバックアップ・テープ起こし(会話速記を徹底化)

(個別相談窓口)

株式会社 未来トレンド研究機構 「No.1」検証調査 業務担当

問い合わせ・相談先 E-mail info@miraitrend.com
問い合わせ・相談先 TEL 03-6801-6836

【会社概要】

会社名 株式会社 未来トレンド研究機構
https://www.espers.co.jp
所在地 東京都千代田区九段南一丁目5番6号 りそな九段ビル5階 KSフロア
設立 1999年8月19日
代表者 代表取締役 村岡 征晃(むらおか まさてる)
事業内容 (世界初、アジア初、日本初、業界初)検証調査、No.1(検証)調査、海外調査、競合調査、未来予測のご用命は”未来トレンド研究機構(略称:未来トレンド)”へ!

【未来トレンド研究機構 中核サービス】以下5つのサービス↓↓↓

  • No.1<検証>調査Ⓡ<商標登録 第6763351号> ※No.1調査、ナンバーワン調査(年間売上・販売数量実績<累計or年間>・シェア・伸び率など)
    https://espers.co.jp/no-1/
  • 初(世界・アジア・日本・業界)<検証>調査Ⓡ<商標登録 第6763352号> ※世界初調査、アジア初調査、日本初調査、業界初調査
    https://espers.co.jp/first-research/
    (競合調査・公開調査・知財調査など)
  • 競合調査Ⓡ<商標登録 第6763354号>
    https://espers.co.jp/competitor/
    (SWOT分析・競合戦略分析・4P&3C分析など)
  • 海外調査Ⓡ<商標登録 第6763353号>
    https://espers.co.jp/global-research/
    (グローバル調査:主要プレイヤー・ベンダへのヒアリング調査/顕在&潜在ユーザーへのアンケート調査:パネルヒアリングなど)
  • %(パーセンテージ)調査、シェア調査、市場占有率調査Ⓡ<商標登録 第6800111号>
    (%調査、パーセンテージ調査、シェア調査、市場占有率調査など)

本件に関する報道関係からのお問い合わせ先

窓口 株式会社 未来トレンド研究機構 「No.1」検証調査 担当部門
TEL 03-6801-6836  FAX : 03-6801-6066
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