消費者庁インタビュー「No.1調査における景品表示法」その2

2024年04月25日

景品表示法違反から学ぶ注意点

以前実施した、消費者庁インタビューにおいて、命令措置、課徴金、行政指導がどのような過程で行われるのかについて解説した。今回はさらに踏み込み、消費者庁がどのような基準で命令措置、課徴金納付命令、行政指導等の対象かを判断しているのかについて解説する。

消費者庁が方針としているものは、平成20年に公正取引委員会が発表した「No.1表示に関する実態調査報告書」だ。現在も様々な調査を行っている。

報告書の中で特に重要視している点は次の通りである。

  • 一般消費者が他の商品に比べて有利であると誤認される表示は不当表示の対象となる。
  • 顧客満足度、サービスの内容、入学試験の合格率・合格者数,商品の効果・性能、商品の内容に関するものは一般消費者の商品等の選択に与える選択肢が大きい。

一般消費者がNO.1の表示を参考にする可能性が高い商品やサービスに関しては、調査結果と実際の差異がある場合、消費者庁による調査を進める可能性が高いということを理解しておくと良いだろう。

報告書はあくまで対象となるものは何かを抽象的に示したものであり、具体的にどのような表示がいけないか、判断できないケースも多い。

広告主が判断する際の指針がないか消費者庁 表示対策課 指導係に問い合わせたところ、「知り合いに表示を見せて正しい判断できるかが重要」と判断基準のヒントを得ることができた。

消費者庁は全ての表記に対して景品表示法違反かどうかを調査しているのではなく、一般消費者・競合他社からの指摘を受け、社会に及ぼす影響力を鑑みて調査を実施する傾向にある。 命令措置の対象となる表記は、一般消費者が誤解する可能性があるかどうか。一般人がその表示を見て正確に理解できない表記は、将来的に景品表示法の対象になる可能性が高いと考えておくべきだ。

2023年に成立した改正景品表示法は2024年中に施行される予定で、景品表示違反に該当すれば罰則対象となる可能性が高い。広告主に問われる責任はますます大きくなるため、社会の信用を失わないためにも、No.1の調査過程を確立するだけでなく、表記自体に本当に問題がないかチェック体制を見直しておくことが求められる。

これまで広告表記の適否を社内のみで判断していた場合は、消費者の感覚に近い第三者にも確認し、誤解を招かない広告表示にするための努力も必要だ。

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