2024年03月18日
No.1表記の関連法規と「広告表示」「(検証)調査」する際の注意点・リスク、過去の訴訟や裁判凡例 など
今回は、初めて第三者(調査機関)に「No.1」「国内No.1」などの「No.1調査」を依頼する企業にとって役立つ情報として、関連法規と「広告表示」「(検証)調査」する際の注意点・リスク、過去の行政処分などについて紹介する。尚今回の記事を作成するにあたり、法律事務所ZeLo・外国法共同事業の早乙女明弘弁護士へのインタビューを実施した。
No.1調査では、広告主が調査を依頼する「依頼者」となり、依頼を受けて調査をする側が「実施者」となる。景品表示法に準拠して広告を作成する場合、責任を問われるのは「依頼者」だ。早乙女弁護士によれば、「商品やサービスに「No.1」と表記して宣伝をしても、No.1の中身が実態と大きく差があれば、景品法表示違反に該当し行政処分の対象となる可能性が高い」と指摘する。広告主としても調査会社に調査を任せっぱなしにすることはリスクが伴うのだ。
誰の目から見ても「No.1」と示すためには以下の3つのポイントが重要だ。
- 適切な調査結果を導くための質問の設計
- 許容誤差を考慮したサンプル数の設定
- 対象者の選び方
この3つを調査時に意識をすることで、自社調べの調査結果であったとしても優位性を示すことができる可能性が高い。しかし、これだけでは調査結果に偏りが生まれてしまう可能性もあり、調査方法の中身(何が具体的に問題とされるのか)を詳しく知っておかなければならない。
実際に2023年6月13日ドッグフード会社への措置命令の対象となったものは、「食べやすさ」「愛犬におすすめ」など計7つの項目の「顧客満足度No.1」だ。客観的な評価ができないという理由で措置命令の対象となった。
この時に行われていた調査方法は、日頃から商品に接する機会の多い当該事業者の会員が回答者となっており、質問内容もウェブサイトの印象を問うものに過ぎず、客観的な調査方法とは認められないという指摘があったのだ。
※https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2023/jun/230614kyushu.html
外部の調査機関に依頼をしても調査自体に問題があるケースも存在する。第三者機関に調査を丸投げするのではなく、第三者機関の調査方法に対しても依頼者がチェックをしておくことも重要だ。
とはいえ素人ではどのような点をチェックすべきか判別が難しいだろう。次のポイントをチェックすることで、信頼できる第三者調査機関かどうかを判別できるだろう。
- 誘導質問になるような質問の仕方
- 対象者の住まいが東京都のみなどエリアが限定されているケース
- 回答者の属性に偏りがあるケース
- 調査団体・協会の自主規則に則って調査を行っているかどうか
上記のポイントをクリアしている団体であれば、信頼に値すると言える。上記以外に注意すべき点はないか、早乙女弁護士によると「例えばですが『貴社のためにNo.1を獲得します』と謳っている企業は注意が必要など、どういった広告宣伝をしているかという点は重要ですし、法令違反が生じないようどういった取り組みをしているのか、業界のガイドライン等を遵守しているのか、といった点も重要です。また、調査結果を踏まえて実際にどう表示するか、といった段階では弁護士に確認することが重要といえます」
調査結果は依頼主が責任を負うものであることと自覚し、依頼者が調査機関をコントロールすることも重要なのだ。