No.1調査の費用は?費用だけで選ばない方がいい理由とは

2025年04月10日

No.1調査の費用は?費用だけで選ばない方がいい理由とは

マーケティングや店舗経営において、「No.1」「業界初」といったPRワードは非常に強力な訴求力を持っています。しかし、その裏側には必ず根拠となるリサーチや調査結果、信頼性の高いデータが必要です。

本記事では、企業担当者が安心して活用できるNo.1調査の基礎知識や費用感、注意すべきリスク、正しい調査会社の選び方まで徹底的に解説します。消費者から信頼されるブランド作りのためにも、公正なNo.1調査についてぜひ知っておきましょう。

本コラムで得られる情報

No.1調査の費用相場

No.1調査の費用を確認するときの注意点

No.1調査会社を選ぶポイント

本コラムは、市場調査業界で多くの実績を誇る未来トレンド研究機構が監修しております。
情報収集の重要性が、日に日に増している昨今、少しでも皆様のお力になれればと思い、市場調査やマーケティングに関しての基礎知識や考え方などを紹介しております。

No.1調査とは

No.1調査とは、製品やサービス、ブランドなどが特定の市場や調査対象のなかで「一番」であることを客観的な調査によって証明し、その根拠をPRに活用するための調査です。たとえば、顧客満足度、売上シェア、価格満足度など、さまざまな切り口で実施されます。

特に昨今では、単なる自社発表ではなく、第三者が客観的に検証・分析したデータの信頼性が重視される時代になってきました。信頼性が高いリサーチ会社が消費者アンケートや競合分析、売上データ調査などを行い、その結果を根拠としてNo.1を表示する必要があります。逆にいえば、No.1調査を行いしっかりとした裏付けをとることで、企業や製品の強みを具体的な数字でアピールできるようになるのです。

 No.1表示

No.1調査によるPRに効果はあるのか?

No.1調査を使ったPRは、消費者の購買心理に非常に大きなインパクトを与えます。「一番売れている」「顧客満足度No.1」と明示することで、商品やサービスに対して安心感や信頼感を抱いてもらいやすくなるためです。特に初めて購入を検討している人や、競合製品と比較しているタイミングでは、No.1という根拠がある訴求が大きな後押しになります。さらに、グラフや調査データをあわせて提示すれば、より具体的に説得力のある情報として受け取ってもらえるでしょう。

一方で、根拠やデータの信頼性が不十分なNo.1表記は、逆にブランドイメージを損なうリスクもあります。嘘が発覚すれば、いわゆる「炎上」するリスクも高いです。確度が高い裏付けがない限り、No.1を表示するのはリスクが高いです。

「No.1」の表示が購入の意思決定に与える影響

費用をかけて実施する価値はある

しっかりと費用をかけてNo.1調査を実施する価値は十分にあるといえます。信頼できるデータや調査結果があることで、「うちは本当にNo.1です」と胸を張ってPRできるからです

適当な調査では、調査対象が偏っていたり、データの根拠が曖昧になったりしがちです。その結果、消費者や取引先からの信頼性が下がるだけでなく、最悪の場合は消費者庁などから指摘や摘発を受けるリスクもあります。逆に、しっかり費用をかけて丁寧にリサーチを行えば、社内外のステークホルダーにも納得してもらえる強い根拠が得られます。

No.1調査は、単なる宣伝文句ではなく、「安心できるエビデンス」を作るための重要な投資なのです。

No.1調査の費用

No.1調査の費用は、調査の内容や規模、調査対象や方法、データ分析の範囲によって大きく異なります。一般的な消費者アンケートなら50万円~100万円程度がひとつの目安ですが、対象が広範囲の場合や、現地調査・専門家分析などを伴う場合はさらに高額になることもあります。単なる料金の安さだけで調査会社を選ばず、リサーチ内容や根拠、データの信頼性をしっかり検証することが大切です

 

そもそも固定の料金案内は難しい

No.1調査の費用については一概にいくらとは言い切れません。調査対象や製品、調査規模や手法によって必要なリサーチ工数が全く異なるためです。たとえば、全国規模の消費者アンケートと、首都圏限定の競合店舗調査では必要なデータ数も分析方法も大きく違います。

調査設計やサンプル数、解析手法、必要な根拠のレベルなどをヒアリングし、個別見積もりとなるのが一般的です。事前に「なぜその費用になるのか」という根拠を説明してくれる会社を選ぶと、納得感のある調査結果につながります。

  • 調査対象国

  • 調査対象数
    (企業数・人数)

  • 調査手法

  • 調査項目数

  • 難易度

  • 報告書レベル

No.1の種類によって異なる調査方法

No.1調査は「何のNo.1を目指すか」によって大きく調査方法が変わります。調査手法は消費者アンケートやWebリサーチ、競合調査なら売上データや店舗訪問、現地での覆面調査などさまざまです。よって、料金もどの調査方法を用いるかによって大きく変動するのです

製品のシェアNo.1を証明したい場合は、統計分析や市場データの集計が欠かせません。アンケート調査でも、訪問型・郵便型・オンライン型など実施方法によって費用が変わります。調査の「根拠」をどのレベルまで求めるかによっても、必要なサンプル数や検証の厳密さが変化します。

販売数/売上高

  • 販売数No.1
  • 業界売上No.1

市場シェア

  • シェアNo.1
  • 業界シェアNo.1

満足度

  • 顧客満足度No.1
  • ユーザー満足度No.1

イメージ

  • 利用したいサービスNo.1
  • 期待できるサービスNo.1
 

30~50万を相場とする業者には要注意

そもそも市場調査において信頼性が高い結果を出すには、十分なデータ数や分析時間、場合によっては専門家による検証も必要です。ずさんな調査を行ったがために、後で「根拠が不十分」「データの信頼性がない」と指摘されるケースも増えています。費用だけでなく、調査設計やデータの内容を必ず確認しましょう

 

成果報酬型にも要注意

近年「No.1が取れたら料金が発生する」など成果報酬型の調査サービスを提供する調査会社が増えています。一見合理的に見えますが、これは“意図的にNo.1を作り出す”という不正な調査につながる危険性も含んでいます。「どんな小さなカテゴリでもいいからNo.1が欲しい」という要望に無理やり応えようと、恣意的な調査や根拠の薄いデータ操作が行われがちです。

こうした調査をもとにしたNo.1表示は消費者庁のガイドラインにも抵触しやすく、後から行政指摘を受けるリスクが高まります。成果報酬型のサービスを検討する際は、必ず調査の透明性や方法を確認してください

低コストでのNo.1調査のリスク

安易にコストだけを優先したNo.1調査は、重大なリスクを招きます。調査結果やデータの信頼性が担保できないと、消費者や業界関係者から疑念を持たれるおそれがあります。万が一根拠の薄いNo.1表記をしてしまうと、行政指摘やブランド毀損にもつながりかねません。ここからはNo.1のコストを削減するリスクについて考えていきましょう。

 

消費者庁に指摘される可能性

低コストで不十分な調査は、消費者庁から「不当表示」として指摘されるリスクが非常に高いです。調査対象が不適切である、調査結果に根拠がないとみなされれば、広告の差し止めや是正命令を受ける可能性もあります。No.1調査は単なる宣伝ではなく、法的リスクにも配慮して実施する必要があります。

景品表示法 要件
(1) 優良誤認表示

① 以下のいずれかに該当すること (a) 実際のものよりも著しく優良であると示すもの
(b) 事実に相違して競争関係にある事業者に係るものよりも著しく優良であると示すもの

② 一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められること

(2) 有利誤認表示

① 以下のいずれかに該当すること
(a) 実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの
(b) 競争事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの

② 一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められること

不当表示に当たる場合のペナルティ
措置命令 広告の差止めや修正命令、再発防止のために必要な措置の命令(景品表示法7条)
課徴金納付命令 違反行為の売上高に応じて算定される罰金で、原則として、違反広告をしていた期間における売上額の3%(景品表示法8,9条)
刑事罰 場合により「100万円以下の罰金」「2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」など
 

ユーザーの信頼を損なう

調査内容や結果の信頼性に疑問が生じると、ユーザーからの信頼を一気に失います。「データに根拠がない」「調査方法が不透明」と指摘された場合、ブランドイメージや製品そのものの価値まで傷つきかねません。正直なリサーチと十分な検証が、もっとも大切です。

 

商品やサービスの売り上げに影響する

No.1の根拠があいまいだと、売り上げやブランド成長にもマイナスの影響が出ます。今や消費者が“情報の裏側”まで調べることができる時代です。ずさんな嘘はネットやSNSで簡単にバレ、不正行為をしていたことが一気に拡散されてしまいます。納得できる調査データがあってこそ、初めて「選ばれる」製品やサービスになれるのです。安易なNo.1表記は、長期的な利益を失う危険もはらんでいます。

頻繁に行われている消費者庁の摘発

近年消費者庁によるNo.1調査や満足度調査に関する摘発事例が後を絶ちません。理由は、根拠の曖昧なNo.1表記や、不適切な調査設計による不当表示が増えているからです。たとえば「日本一売れている」「No.1顧客満足度」などの文言を掲げた広告で、実は対象範囲や期間、サンプル数が限定的だったケースなどが多数報告されています。

消費者庁の動きは年々厳しくなっており、摘発を受けた企業には広告取り下げや再発防止命令、場合によっては大規模なイメージダウンやステークホルダーからの訴訟リスクが及ぶこともありえます。No.1調査をPRに使うなら、常に最新のガイドラインや摘発事例を意識し、透明性と正確性を徹底しましょう。

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消費者庁のMo.1調査に対する見解

消費者庁は「No.1」「満足度No.1」などの広告表現について、明確な根拠や調査データ、調査主体の信頼性がなければ景品表示法違反とみなしています。近年は調査対象や時期、調査方法、サンプル数、集計基準など、細かい表示ルールやガイドラインも整備されています。

「No.1」表記を正当に使うためには、広告や販促物に調査方法の詳細を明記する、調査会社や分析者の情報を開示するなど、消費者が検証可能なレベルの透明性が求められます

恣意的な調査を行う業者に注意

残念ながらNo.1調査を実施する会社のなかには、意図的に調査対象や分析方法を限定し、恣意的に「No.1」を作り出す悪質な業者も存在します。こうした業者は消費者庁からの摘発事例でも頻繁に名前が挙がります。信頼性の低い業者に任せてしまうと、せっかくのリサーチや広告予算が全く意味のないものになってしまうどころが、最終的に依頼企業も大きな損失を被ることになるのです。

調査設計や分析方法、データ開示の姿勢をしっかりチェックし、「安易なNo.1」だけを売り物にする会社には十分注意しましょう

 

No.1だけではない

詐欺的な業者が扱うのはNo.1だけではありません。たとえば「%シェア調査」「顧客満足度調査」「日本初」「世界初」などの調査結果も、実態を正確に検証しない、信憑性の低い調査結果を基にPRに利用するケースが後を絶ちません。 こうした表記は一時的には強い訴求力がありますが、消費者や業界関係者は“本当にそうなのか”と根拠を求めてきます。最悪の場合、広告を取り下げたり訴訟トラブルに発展したりするリスクもあるため、すべての調査について「どうやってリサーチしたのか」を厳格に検証し、信頼できる会社を選ぶことが大切です

「No.1」ではなく”公正な”「No.1」を表示しましょう

これからの時代、単なる「No.1」表示ではなく、“公正なNo.1”の証明こそがブランドの価値を高めます。しっかりとしたリサーチと透明性ある調査設計、誰が見ても納得できる調査結果の公開が不可欠です。自社や製品が本当に消費者や市場から支持されていることを、根拠あるデータとともに誠実に伝えましょう。

公正なNo.1は、消費者との信頼関係を築く最大の武器です。「No.1調査の費用」も、単なるコストではなく未来への投資と捉え、パートナー選びには徹底的にこだわってください。根拠あるデータを示す、誠実なブランドだけが、これからの市場で長く選ばれ続けるのです。

マーケティング戦略のための
市場調査・競合調査にお悩みなら

本コラムの監修者

未来トレンド研究機構 
村岡 征晃

1999年の創業以来、約25年間、IT最先端などのメガトレンド、市場黎明期分野に集中した自主調査、幅広い業種・業界に対応した市場調査・競合調査に携わってきた、事業発展のためのマーケティング戦略における調査・リサーチのプロ。

ネットリサーチだけなく、フィールドリサーチによる現場のリアルな声を調査することに長け、より有用的な調査結果のご提供、その後の戦略立案やアポイント獲得までのサポートが可能。

そんな我々が、少しでもマーケティング戦略や販売戦略、新規事業戦略にお悩みの皆さんのお力になれればと思い、市場調査やマーケティングに関しての基礎知識や考え方などを紹介しております。

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