弁護士プロフィール中本総合法律事務所
佐藤 碧 弁護士
さとう みどり
まっすぐ。をモットーに、景品・表示規制をはじめとする消費者法全般、民事、商事一般、少年事件、労働事件を取り扱う。2011年〜2014年には、消費者庁に出向し、消費者制度課において消費者の財産被害に係る行政手法の検討等、表示対策課において景品表示法違反事件の調査等を行う。
本文競合相手等から表示について指摘を受けた場合、どう対応したらよいのか。今回は数多くの景品表示法のセミナーに登壇し、企業法務に精通している佐藤弁護士に見解を求めた。
指摘が入った場合出来る事は
例えばNo1表示について、競合他社等から指摘が入ってしまった場合、どのような対処方法が最善か。
表示後に出来る対策は、即調査を行い、指摘に根拠がある場合には、まずは「すぐに取り下げる」以外にないとの事だ。
「競合他社等が指摘をしてくる場合、いくつかのパターンが考えられます。No1調査にあたって比較対象を恣意的に選定して調査を実施してしまっており、それを指摘されとします。この場合、消費者庁の報告書(No.1表示に関する実態調査報告書)における考え方に照らしても、比較対象が適切に選定されていないという事になり、過去の措置命令と同様に優良誤認表示や有利誤認表示に該当します。No.1表示を取るための恣意的な調査はそもそも問題があるので速やかに取り下げる必要があります」
「No.1表示は訴求力が高い一方で、反証もしやすい表示です。根拠を覆すような資料があれば、そこから指摘が入ってしまう恐れがあります。No.1表示のために裏付けとなる調査資料が適切な場合でも、最終的な表示で誤解を招くような表示をしていた場合は、先述した消費者庁の考え方から、表示内容と調査結果が適切に対応していないとして、やはり違反となってしまう可能性があります」
競合他社等から指摘を受けた場合、次に想定される対応として、消費者庁への情報提供が行われたり、不正競争防止法違反等を理由に訴訟へ発展したりする恐れがあるという。表示を修正したとしても、過去の不当表示を理由に上記のような動きを取られる可能性がある。事後的に有効な対策を講じる事が難しいため、十分な注意が必要だ。
取り下げ後の適切な対応
表示を取り下げて終わりではない、それ以外の行動も必要であると佐藤弁護士は説明する。
「表示を取り下げた後に、実際にその表示を見て購入等した消費者がいる可能性がありますので、可能な限り被害回復を自主的にする必要があります。そうでない場合でもHPにて、表示に関するお詫び文書を掲載するなどして、消費者に認知してもらう事も重要です」
事業者からすると負担に感じうるが、このような行動はなぜ必要なのか。もちろん被害回復は必要だが、結果的に、事業者自身のアピールにも繋がる。
「問題のあった表示に対し競合他社等から指摘が入った場合、消費者庁へ通報される事も考えられます。事業者へ調査が入り行政処分をするか、それとも注意・指導で留まるか微妙なケースの場合、自主的に被害回復をしていた事が分かれば、行政処分までは必要ないという判断に繋がる可能性があります。」
勿論、被害回復の措置やお詫びの文章をHPで掲載しても、行政処分に至ってしまうケースもあると佐藤弁護士は説明する。しかし、誤った表示を掲示してしまった事実は厳然たる事実であるため、改善を図る必要はありそうだ。
事業者が講じるべき対策
事後的に事業者が出来る事は、取り下げや被害回復など、対応が限定的なものばかりである。それ以外に出来る事は、調査前の事前準備に尽きると佐藤弁護士は説明する。
「No.1表示は、消費者庁の公表している上記報告書に則って表示が運用されているかを厳しくチェックされます。調査会社に依頼した調査結果を元にNo.1を記載しても、最終的な表示の判断は事業者が下したものと捉えられます。適切にNo.1表示を行っているか改めて見直す事が重要です」
No.1表示を掲載する際に確認すべき項目はいくつかあるが、最低限確認しなければならない項目は以下の通り。
- 比較する商品等が適切に選定されていること - どのようなものに対するNo.1か
- 調査対象者が適切に選定されていること - 調査範囲はどのようなエリアか
- 調査が公平な方法で実施されていること - どのような方法で調査をしたか
- 表示内容と調査結果が適切に対応していること - No.1である事を裏付ける資料は適切に提示出来るか
上記の項目に事業者として漏れがある場合は、今一度表示の運用体制を見直す事が重要だ。また、調査会社に依頼する前に、消費者庁が推奨する7つの管理措置指針に沿って運用をしているかどうかを見極めておくと良いだろう。
まとめ
掲載したNo.1表示が何らかの問題で指摘を受ける可能性は十分ある。調査会社の選定は勿論だが、掲載前に調査の内容や、表示が適切かを判断する事も重要だ。第三者に表示を確認してもらうだけでなく、調査内容が恣意的になっていないか等を事業者自身で判断すると良いだろう。
未来トレンド研究機構では、調査を初めて依頼する事業者のために、競合相手の選定方法などを説明する取り組みを実施している。また、措置事例等のトラブルが事業者で発生しないよう、消費者庁の動きを見ながら随時体制の改善を実施している。
本インタビューの監修者
未来トレンド研究機構
村岡 征晃
1999年の創業以来、約25年間、IT最先端などのメガトレンド、市場黎明期分野に集中した自主調査、幅広い業種・業界に対応した市場調査・競合調査に携わってきた、事業発展のためのマーケティング戦略における調査・リサーチのプロ。
ネットリサーチだけなく、フィールドリサーチによる現場のリアルな声を調査することに長け、より有用的な調査結果のご提供、その後の戦略立案やアポイント獲得までのサポートが可能。
そんな我々が、少しでもマーケティング戦略や販売戦略、新規事業戦略にお悩みの皆さんのお力になれればと思い、市場調査やマーケティングに関しての基礎知識や考え方などを紹介しております。
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2026年05月28日





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