弁護士プロフィール
Authense法律事務所
森田 雅也弁護士
もりた まさや
事務所紹介 Authense法律事務所
様々な士業のプロフェッショナルを総結集し、あらゆる依頼にワンストップで対応していくサービスを提供している。法律事務所だけでなく、税理士法人、社会保険労務士法人など、様々なサービスも展開している。
森田雅也弁護士(東京弁護士会所属)
東京弁護士会所属。千葉大学法経学部法律学科卒業、上智大学法科大学院法学研究科修了。
賃貸管理を中心に数多くの不動産案件を取り扱い、当所において建物明け渡し訴訟の分野で国内トップクラスの実績を誇る礎を築いた。多数の不動産賃貸管理トラブルを解決へと導いた実績から、国内総合デベロッパー、大手証券会社、不動産協会からのセミナー依頼も多く、積極的に講演活動も行っている。
本文Authense法律事務所 森田雅也 弁護士 へのインタビュー』No.1表記をする際に注目すべき項目
事業者が景品表示法(以下景表法)違反に該当しないNo.1や初表記を目指すためには、景表法に定められた表記ルールに沿って表示したい広告を検討しなければならない。しかし、景表法に記載されている情報は抽象的であるため、自社の商品・サービスに当てはめて検討すると具体的なイメージが湧かないこともある。
そのような場合は業界が定める自主規制や表記ルール参考にすると、景表法違反を避けた表記を実現することも可能だ。
今回は不動産業界に取り巻くNo.1表記について、様々なビジネス法務に精通しているAuthense法律事務所の森田弁護士に不動産業界におけるNo.1表記についてインタビューを実施した。
不動産業界におけるNo.1、初表記で注意すべきこと
不動産業界では、不動産公正取引協議会連合会が作成した「不動産の表示に関する公正競争規約」18条2項には、No.1や初表記をする際の考え方について次のとおり定められている。
18条2項
事業者は、次に掲げる用語を用いて表示するときは、それぞれ当該表示内容を裏付ける合理的な根拠を示す資料を現に有している場合を除き、当該用語を使用してはならない。この場合において、第1号及び第2号に定める用語については、当該表示内容の根拠となる事実を併せて表示する場合に限り使用することができる。
⑴ 物件の形質その他の内容又は価格その他の取引条件に関する事項について、「最高」、「最高級」、「極」、「特級」等、最上級を意味する用語
―不動産公正取引協議会連合会 不動産の表示に関する公正競争規約」18条2項 より
https://www.sfkoutori.or.jp/webkanri/kanri/wp-content/uploads/2019/01/h_kiyaku.pdf
裏付けが無ければ表記できないものは、「日本一」、「最高級」、「最上級」とNo.1に近い意味を示すものと、「業界初」等の初に関する言葉も該当する。さらに、「超」「当社だけ」といったNo.1や初を間接的に示す意味の言葉も、その表示内容の根拠となる事実を併せて表示することが必要だ。
森田弁護士によれば「不動産業界では景表法から派生した公正競争規約に則って広告を表記しなければなりません。不動産業界の領域で初めて広告表示を検討している方は、不動産の表示に関する公正競争規約・同施行規則を参考にすると良いと思います」とのこと。不動産業界のように公正競争規約に表記ルールを設けている場合は、No.1や初に対してどのように捉えているのかを確認しておくと良いだろう。
不動産業界特有の表記で注意すべき項目はないか。森田弁護士によれば「不動産業界でこの表記に必ず気を付けなければならないものはありません」とのこと。私達がよく目にする表記として限定するのであれば、「賃貸物件数No.1」という表記を見かけたことはあるだろう。
自社調べで表記する場合は、どのようなことに注意をするべきか。森田弁護士によれば、「調査したエリアや、調査時期を明記していないケースも見受けられます。No.1や初の表記は客観的な根拠が必要になる場合があるので、目に見える場所に裏付けの根拠となる事実を表示した方が良いでしょう」とのこと。不動産業界だけでなく、他の業界も同様にNo.1や初の表記は必ず「エリア」「調査時期」を調査した上で表記を心掛けることをお勧めする。
“調査後の仕組み作りも重要”
No.1や初に関する表記はECサイト、チラシ等の表記として活用されるが、不動産業界のような営業担当が直接「No.1」「初」に触れる機会のある場合は注意が必要だ。例えばアパート経営希望者向けに無料相談会を開催し、営業担当が「当社は投資物件数No.1」と口頭でセールストークを展開したとしよう。
森田弁護士によれば「口頭でセールスをした場合でも、景表法の規制を受ける「表示」に該当し、なぜNo.1や初と言えるのかを裏付ける根拠が必要になる可能性があります。裏付けの根拠となる事実が記載されているチラシ等を提示しながら営業トークを展開するのであれば問題ないですが、根拠となる資料を提示できない場では過大な表現は避けた方が良いでしょう。」とのこと。
他社と差別化を図るために、No.1や初を営業で活用し購買行動を後押しする行動は決して間違ってはいない。しかし、営業で有利な情報を提示するために恣意的なアンケートを実施していれば、客観的な根拠を示す資料とは言えないだろう。
「自社の商品・サービスを説明する立場にある営業担当者に、景表法違反の有無を個別に判断させることは現実的ではありません。従って、そういった営業担当者が使用する営業資料の表記が景表法に違反していないことを社内で確認するためのルール作りや、顧客から根拠を質問された際に誤った事実を伝えないようなトークスクリプト作りを、社内で事前に検討しておくことが理想的といえます。」(森田弁護士)
景表法に記載されていた条件だけで判断するのではなく、業界内におけるNo.1や初表記に対しての定義付けについて、事業者はその都度確認しなければならない。業界内でガイドラインが作られていないようであれば、社内で景表法違反に対するガイドラインを構築することをお勧めする。
本インタビューの監修者
未来トレンド研究機構
村岡 征晃
1999年の創業以来、約25年間、IT最先端などのメガトレンド、市場黎明期分野に集中した自主調査、幅広い業種・業界に対応した市場調査・競合調査に携わってきた、事業発展のためのマーケティング戦略における調査・リサーチのプロ。
ネットリサーチだけなく、フィールドリサーチによる現場のリアルな声を調査することに長け、より有用的な調査結果のご提供、その後の戦略立案やアポイント獲得までのサポートが可能。
そんな我々が、少しでもマーケティング戦略や販売戦略、新規事業戦略にお悩みの皆さんのお力になれればと思い、市場調査やマーケティングに関しての基礎知識や考え方などを紹介しております。

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2024年05月24日





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