張﨑弁護士へのインタビュー「BtoB事業者にとってのNo.1表示」

2025年07月28日

弁護士プロフィール

弁護士法人 直法律事務所

張﨑 悦子 弁護士

はりさき えつこ

略歴

弁護士法人 直法律事務所
張﨑悦子 東京弁護士会

https://nao-lawoffice.jp/lawyer/#a03

インハウスローヤーとしての経験を活かし、依頼者にベストな解決方法を提供。緻密なリサーチを武器にお客様の利益を最大化することを目指し、日々業務に取り組む。景表法だけでなく、企業法務からM&Aまであらゆる領域を柔軟に担当。

主な取り扱い分野

  • ベンチャー企業の法務相談
  • 新規事業の適法性リサーチ(民法、会社法、金融商品取引法、個人情報保護法、景表法、下請法、著作権法、各種業法など)
  • 契約書、利用規約、就業規則など各種規程のレビュー及び作成
  • ベンチャーファンド組成業務(契約書作成、登記、届出、組成に関するリサーチ、その他法的助言)
  • PEファンドに関する法的助言(契約書レビュー、セミナー講師)
  • 訴訟・紛争対応(企業間紛争、労働事件、証券会社における立替金請求事件など)
  • M&A法務(法務デューデリジェンス、各種契約書の作成、その他法的助言など)
本文

BtoB事業者が確認すべきNo.1表示に関する考え方

SNSでの発信が当たり前のように出来るになり、BtoB企業が一般消費者へアプローチをする機会が増えている。その中で、一般消費者向けと事業者向けで表示を切り替えなければ誤認やトラブルになる可能性がある。

今回は、BtoB事業者向けの表示について、直法律事務所の張﨑弁護士に話を伺った。

BtoB事業者が注意すべきこと

BtoBの事業者に対して広告等を発信する場合は、基本的には景品表示法の対象外となり、排除措置命令等の対象になる可能性は低いと言う。

「仮にBtoB事業者向けに一般消費者の目に止まらない場所で広告を展開する場合、相手にはある程度知見があるため、排除措置命令の対象となる可能性が低いかと思います」

景品表示法は一般消費者を守る観点から設計された法律のため、広告の受け手が事業者であれば対象外となる。例えば、メルマガで事業者向けに商品の広告を掲載した場合、表示に対して消費者庁の処分対象となる可能性は低い。しかし、SNSをはじめ一般消費者の目に留まる場合は異なる。

「これまで事業者に対してしか商品を販売していなかったBtoB事業者が一般消費者に対して販売を行う場合、広告の表示を確認する相手がそもそも専門知識が無い一般消費者となると考えられます。そのため、このような場合の広告は景品表示法に則って同様の見方を消費者庁がすると考えておいた方が良いでしょう」

BtoB事業者が一般消費者へビジネスを展開する際は、広告を景品表示法に則って運用する必要がある。仮に「No.1売上商品」とBtoB事業者向けに表示していた場合は、景品表示法に則って適切な根拠を示す必要がある。

「No.1表示を行う際は、自社の判断のみでNo.1と表示することは出来ません。「何と比較してNo.1表示をしたのか」という視点を明確にすることが重要です。調査内容によってNo.1表示は異なると思いますが、地理的範囲に対してNo.1表示なのか、競合の事業者を全て調査してNo.1なのか、消費者に対してどこに対するNo.1なのかを明確に示しておく必要があります」

張﨑弁護士によれば、過去の措置辞令を定期的に確認しておくことも良いとのこと。

「過去の処分事例を確認して頂くと、どのような表示に対して消費者庁が注目をしているのか学べます。No.1表示に関する措置事例は定期的に発表されているため、どのような表示が問題ないかを確認しておくことも重要です」

No.1表示に関する措置事例はいつ発表されるか明確には定まっていない。過去の傾向を見れば1ヶ月1回程度の頻度で、表示に関する措置事例が発表されている。1ヶ月1回、消費者庁のページをチェックするだけでも十分である。定期的に情報をアップデートして、対策を把握しておくことも重要だ。

表示の確認と同様に重要な点が法務との連携だ。事業者の中には法務と連携せずに広告を出す事業者も少なくはありません。しかし、このような状況を改善せずにいると万が一のトラブルが発生した際にリスクがある。

「営業部門が積極的な表現を用いたい場合でも、表示を正しく運用しなければ景品表示法の違反として、排除措置命令や課徴金納付命令の対象となるリスクがあることを理解しておく必要があります。特に課徴金の金額は利益ベースではなく、対象商品の売り上げに対して3%課されるため、場合によっては利益が全て失われるリスクがあります」

一般消費者向けに表示を行うのであれば、排除措置命令や課徴金納付命令の対象となるリスクを想定して適切に運用をしておく必要がある。過去の事例を見ると、事業の大小に限らず措置事例の対象となっているケースもある。そのため、一般消費者の購入を促すための安易な表示は避けておくと良いだろう。

改めて管理措置指針の見直しを

表示を適切に運用する際は、消費者庁が定める管理措置指針の確認が重要だ。当メディアではこれまで何度も取り上げてきた項目であるが、改めて掲載する。

  1. 景品表示法の考え方の周知・啓発
  2. 法令遵守の方針等の明確化
  3. 表示等の根拠となる情報の確認
  4. 表示等の根拠となる情報の共有
  5. 表示等を管理するための担当者等を定めること
  6. 表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置をとること
  7. 不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応

全ての項目が重要だが、事業者によって強化すべき項目も異なる。そのような場合は社内の着手しやすいところから対応を進めることが重要とのこと。

「会社の成熟度やフェーズによって様々だと思います。その会社において、着手しやすいものから着手して、最短で7つの項目を網羅出来る体制を作ることが重要です」

管理措置指針は景表法を適切に運用するために重要な項目であるが、弊社に問い合わせを行う事業者の中には、措置指針を理解していない事業者もいる。今後、㈱未来トレンド研究機構では、景品表示法に知見のない事業者でも一から学べるコンテンツを、随時提供していく予定だ。

本インタビューの監修者

未来トレンド研究機構 
村岡 征晃

1999年の創業以来、約25年間、IT最先端などのメガトレンド、市場黎明期分野に集中した自主調査、幅広い業種・業界に対応した市場調査・競合調査に携わってきた、事業発展のためのマーケティング戦略における調査・リサーチのプロ。

ネットリサーチだけなく、フィールドリサーチによる現場のリアルな声を調査することに長け、より有用的な調査結果のご提供、その後の戦略立案やアポイント獲得までのサポートが可能。

そんな我々が、少しでもマーケティング戦略や販売戦略、新規事業戦略にお悩みの皆さんのお力になれればと思い、市場調査やマーケティングに関しての基礎知識や考え方などを紹介しております。

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