弁護士プロフィール
松田綜合法律事務所
小倉 佳乃 弁護士
おぐら かの
小倉佳乃(東京弁護士会)
https://jmatsuda-law.com/members/kano-ogura/
株式会社ファーストリテイリングでの企業法務経験を活かし、企業法務〜景表法など様々な領域を担当。「依頼者が満足し、笑顔になれる丁寧な接客」をモットーに。依頼者目線の寄り添った相談を行っている。
<経歴・主な業務>
| 東京大学法学部卒業 | |
| 東京大学大学院法学政治学研究科法曹養成専攻修了 | |
| 2015年12月 | 松田綜合法律事務所 |
|---|---|
| 2020年5月 | 株式会社ファーストリテイリング 法務・コンプライアンス部 グローバル法務チーム |
| 2024年1月~ | 松田綜合法律事務所 |
本文買取サービスに関する実態調査報告書から見えてきたこと
令和6年4月、買取サービスも景品表示法の規制対象になり得る事を明確化した。消費者庁はどのような表示が問題と考えているかをまとめた「買取サービスに関する実態調査報告書」を発表した。
今回は弁護士視点で注意すべき事は何かについて、松田綜合法律事務所 小倉佳乃弁護士にお話をお伺いした。
弁護士事務所紹介 松田綜合法律事務所
https://jmatsuda-law.com/
企業法務、労務、知的財産法、不動産取引、国際取引などのビジネス・ロー分野を始め、多くの倒産案件、訴訟案件及び一般民事、刑事、家事事件等を取り扱うだけでなく、特許・商標等申請や不動産・商業登記申請まで行うワンストップ型法律事務所。弁護士の他、弁理士、社会保険労務士等の有資格者が在籍し、依頼者の幅広いリーガル・ニーズに対応している。
買取サービスはトレンド表示と受け止める
なぜ措置事例が立て続けに出ていない買取サービスに対し、実態調査報告書が発表されたのか。
「昨年4月に、『景品類等の指定の告示の運用基準について』の改訂がされました。それに合わせて消費者庁が実態調査を発表した事を考えると、昨年のNo.1表示、ステマ規制のように、消費者庁の温度感が高く、注目している表示ではないかと考えられます」(小倉弁護士)
現時点で買取サービスの表示に関し、措置事例は確認されていないが、今後は厳しくチェックする可能性があるとの事。
「報告書の最後には、以下のような記載があります」
未然防止の取組を進めると共に、買取サービスにおける不当表示等が疑われる事案に接した場合には、迅速に指導を行い是正を図ることを含め、景品表示法に基づき厳正に対処していく。
「厳正に対処すると明確に予告されています。そのため、特に消費者庁が実態調査報告書に挙げた5つの類型の表示は、問題があると判断されれば、現実に措置事例の対象になる可能性があると思います」(小倉弁護士)
買取サービスの事業者は、次に当てはまる5つの類型の表示を確認しておくと良いだろう。次のとおり、問題となる表示内容の例が実態調査報告書に挙げられている。
(1)買取参考価格・買取実績価格(有利誤認表示例)
ある商材について、過去に買い取った事のある価格の中でも最も高い買取価格(例えば、未使用品の場合の買取価格)をはるかに上回る高い金額を「買取参考価格」や「買取実績価格」として表示する場合。
(2)買取価格アップ(有利誤認表示例)
通常の買取価格が1万円のところ、「買取価格20%アップキャンペーン」と表示しながら、実際には、アップせずに1万円で買い取る場合。
有名ブランド腕時計の買取価格を10%アップするキャンペーンを1月末まで実施すると表示していたにも関わらず、2月以降も同じ内容のキャンペーンを継続する場合。
(3)買取価格保証(有利誤認表示例)
有名ブランドバッグを1万円以上で買い取る旨を強調して表示しながら、実際には、汚れがある事等を理由に5,000円で買い取る場合。
(4)何でも買取り(優良誤認表示)
「どんな商品でも・どのような状態でも買い取ります」などと、何でも無条件で買い取る旨を強調して表示しながら、実際には、取扱商材ではない事や汚れがある事等を理由に買い取らない場合。
(5)どこよりも高く買い取り(有利誤認表示)
買取価格地域No.1と表示しながら、実際には、同一地域内の競合他社の買取価格を何ら調査していない場合。
詳しい解説は、下記の資料を参考にしておく事をお勧めする。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/survey/assets/representation_cms201_250430_02.pdf
買取サービス事業者が今後注意すべき事
買取サービスを提供する事業者は、今後特に消費者庁が注目している5つの類型の表示と、これまで指摘のあった表示に対し注意する必要がある。
「例えば、『どこよりも高く買い取ります』という表示や、『No.1買い取り実績』という表示を掲載する場合、杜撰な根拠を基に表示をすると、調査対象となってしまう恐れがあります。このような事態に陥らないようにするために、No.1表示をする場合は、表示したい内容に対応する客観的な調査が実施されているか否か、表示内容自体が適切か否か等の確認体制が必要になると思います」(小倉弁護士)
特に買取サービスに関するNo.1表示は、客観的な根拠の調査方法がサービスによって異なり専門性が高い。そのためNo.1表示を行いたい場合は、必要に応じて弁護士と連携を取る事も重要との事。
「今回の消費者庁の報告書では、具体的にどこまでの調査を実施すれば、No.1表示として適切かまでは明確に示している訳ではないため、地域を限定したり、競合商品のどの商品をリサーチしておくべきかなど、慎重に考えて表示内容や調査の対象を設定しておく必要がありそうです」(小倉弁護士)
まとめ
過去の措置事例を確認すると、問題のある表示をきっかけに、他の表示も適切に運用されているかを精査され、結果的に措置事例対象となってしまった事例も多数ある。No.1表示だけを適切に運用していれば良いのではなく、最終的な広告を消費者がどのように受け止めるかという視点で各表示を確認しておく事も重要だ。
本インタビューの監修者
未来トレンド研究機構
村岡 征晃
1999年の創業以来、約25年間、IT最先端などのメガトレンド、市場黎明期分野に集中した自主調査、幅広い業種・業界に対応した市場調査・競合調査に携わってきた、事業発展のためのマーケティング戦略における調査・リサーチのプロ。
ネットリサーチだけなく、フィールドリサーチによる現場のリアルな声を調査することに長け、より有用的な調査結果のご提供、その後の戦略立案やアポイント獲得までのサポートが可能。
そんな我々が、少しでもマーケティング戦略や販売戦略、新規事業戦略にお悩みの皆さんのお力になれればと思い、市場調査やマーケティングに関しての基礎知識や考え方などを紹介しております。

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2025年05月16日





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