【トヨクモ株式会社】トヨクモ式顧客視点のNo.1表記と景表法対策

2024年09月04日

インタビュー日 2024年8月13日

本インタビューの目的

本インタビューは、No.1調査や世界初調査などで多くの実績を誇る未来トレンド研究機構が監修・実施しております。

新たなプロモーションを検討されている皆様のお力になれればと思い、各企業へNo.1表記などのPRに対する考え方や実際の効果など、ここにしかない情報をインタビュー形式でご紹介しております。

「情報サービスを通して、世界の豊かな社会生活の実現に貢献する」を企業理念として、様々なクラウドサービスを提供するSaaS企業トヨクモ株式会社(以下 トヨクモ 敬称略)が手がける「安否確認サービス2」が、国内最大級のIT製品・SaaSレビューサイト「ITreview」が発表する 「ITreview カテゴリーレポート 2024 Summer 安否確認システム部門」 において、法人向けの安否確認システム「安否確認サービス2」が7期連続で顧客満足度No.1に選出された。

このNo.1表記を発表するまでに、事業者が何を考えていたのか、No.1表記に対する問題とどのように向き合っているのかについて、株式会社トヨクモ マーケティング本部プロモーショングループの中井氏・坂田氏にお話を伺った。

安否確認サービス2
https://www.anpikakunin.com/

緊急時の安否確認だけでなく、その後の対応指示まで活用できるサービス。従業員の安否確認の自動化や集計結果の提供、円滑な初動対応を実現するコミュニケーション機能など、事業継続や復旧の効率化を促進する。2024年8月時点で現在契約数は3900社を突破し、継続率は99.8%。SaaSレビューサイト「ITreview」の手がける「ITreview カテゴリーレポート 2024 Summer 安否確認システム部門」※で顧客満足度1位となった。

※出典元 :https://www.toyokumo.co.jp/2024/07/31/itreview-category-report-2024summer

No.1表記を使う理由

No.1の表記は商品の優位性を示すだけでなく、利用者がサービスを検討する際の信頼度として判断材料となることもある。トヨクモでは顧客視点での検討・判断に使える信頼性の高い顧客の口コミ・レビューをベースにしたNo.1表記の掲載を検討したとのこと。実際にどのような効果があったのか。

「ITreviewのカテゴリーレポートで獲得した顧客満足度No.1などに関する表記を使用しているコンテンツは、毎月数千から数万のユーザーが見ています。またそこから、一定数のユーザーが『安否確認サービス2』のトライアルをして、契約しています」(坂田氏)

「坂田が話した通り一定数の方が見てトライアルをして契約に至っていることからお客様が安心して利用してもらえる判断材料になっているのではないかと思います」(中井氏)

No.1表記は他社との差別化を図るものだが、サービスを既に利用している顧客向けにアピールも可能だ。安否確認サービス2は、簡潔かつスピーディーなレスポンスが利用者にとって重要だ。他のツールに比べて使い勝手がよく、実際にサービスを導入した事業者から使いやすいツールとしての評価や利用満足度が高いことを客観的に示すことができるだろう。

顧客満足度No.1表記は消費者庁が厳しく目を向ける表記であるが、トヨクモのように明確に表記の内容を示せば、導入を検討している事業者に向けアピール出来るのだ。

調査機関の選び方と運用方法

トヨクモでは外部に向けて発信をする際は、注意すべきポイントがあるという。1つ目が「事業者選び」だ。

No.1表記のような客観的な資料を用いる場合は、事業者選びの評価方法を独自のもので検討をしている。今回のNo.1表記では調査機関に依頼をするのではなく、大手口コミサイトITreviewを用いて作成した。なぜこの事業者を選定したのか、その理由は「信頼性」だ。

「現在は信頼性の高いITreviewさんに絞っています。使用する際に社内で本当にこの調査レポートを使用して良いか、精査を行います。ITreviewさんも同様に評価をし、信頼度が高い事業者さんとして利用することにしました」(中井氏)

信頼性が高いだけでなく、事業者が安心できる要素があるという。

「 ITreviewでは各種データを用いてコンテンツを作る際のルールが定められています。具体的には、いつ時点のデータで、どのレポートに記載されたどの内容かが分かるように記載すること、またその参照先が確認できるようになっており、それを参照して毎回表記を行うようにしています。」(中井氏)

No.1表記では、いつ、どのような対象者に、どのような調査を実施したのかが重要だ。客観的に評価できる情報が規定として入っているのであれば、景表法に対して知見のない事業者でも安心して利用できるだろう。

事業者の考える景表法対策

ここ数年、杜撰な調査結果を事業者に提供してしまう調査機関が登場したことで、No.1表記のハードルが下がってしまった。その結果消費者庁はNo.1表記を問題視しこれまで以上に厳しいチェックを実施している。

このような状況に対し、トヨクモは次のような対策を講じているという。

「昨年のステルスマーケティングの規制を受けて、プロモーショングループ全体に情報周知を行いました。公開しているコンテンツに 消費者に誤解を与えるような表記がないかを確認し、あった場合には削除するようにしました。当社では大切な価値観を5つ定義しており、その中に公明正大というものあり、規制以前から誤認させる表示はしないことを徹底していたので表記の修正はほとんどありませんでした。」(中井氏)

トヨクモが行った対策は、絶対に安全と言えるものだけを残し、判断が見解によって異なるようなものはストップをかけたことだ。主なものは次の通りである。

  • 比較サイトの運用を廃止
  • 製品HPやオウンドメディア、サービス資料などのコンテンツチェック

ここ数年で措置命令が出された事例を確認し、自社の事例に少しでも該当しそうなサービスがあれば排除する徹底した対応方法だ。この対策をプロモーショングループで1つずつ丁寧に実施することで、景表法に則った適切な維持を目指すことができるという。

「最近は企業法務が強い担当者がグループ内に配置されたので、その担当者が中心となって景品表示法など、マーケティングに関連する法律の研修を定期的に実施しています。No.1表記では、調査会社の運営方針や評価方法などを徹底的に確認し、「調査会社がメーカーを公平に評価しているか」「その表記を使って顧客のためになるのものか」という軸でプロモーションで使う、使わないの判断をしています」(中井氏)

実績や価格でサービスを判断しているのではなく、不法行為の有無や消費者がそのNo.1表記を見てどのような印象を受けるのか、景表法の強化を事業者側の視点に立って行うのではなく、消費者側の視点にも立って精査を行っていることが分かった。

No.1調査に注視していること

トヨクモは顧客が安心してサービスを利用できるよう、No.1表記だけでなくブランド調査にも力を入れているとのこと。

「ブランド調査はお客様がどのように当社のサービスを認識しているのかを知るために定期的に実施しています。経年比較をして成長度合いを見たり、社会情勢を受けて、その時その時に実施した施策がどのように影響したのかもチェックしたりします。さまざまな側面からサービスのブランドを形成する要素を調査し、消費者がどのような調査を認識しているかを把握するようにしています」(坂田氏)
ただし、ブランド調査では満足に測定出来ていないものもある。

「KPIの設定や競合比較をどのようにすべきか、プロモーション施策がどのように実施したのかなどの見えない数値もあります。調査機関はNo .1だけでなく、成約率につながるようなデータも調査してもらえると、事業者としては分析しやすいので助かるのではないかと思います」(中井氏)

これからの調査会社にはNo.1表記結果をただ提示するだけではなく、成約率にどのような形で影響したのか、成約までのデータを示すことが求められているのかもしれない。

まとめ

トヨクモの取り組みから分かることは、顧客がどうサービスを見ているのか、という視点で運営をしていることだ。利用者が誤解することがないよう、表記に対しきめ細やかな配慮が出来ているからこそ、サービス継続率99.8%、満足度使いやすさNo.1という表記に繋がっているのだ。

トヨクモのように、自分等のアクションがどのようなことをすれば、消費者がどのように受け止めているのか、景表法の対策の第一歩は常に顧客意識をしながらサービスと向き合うことだと言えるだろう。 景表法のプロフェッショナルに社内全員がなれなくても、プロモーショングループで意思疎通がしっかり取れていれば、トヨクモのように信頼性の高い企業への成長が期待出来る。トヨクモ式の「顧客がどう見ているのか」という視点で表記を検討してみてはいかがだろうか。

トヨクモ株式会社(リンク:https://www.toyokumo.co.jp/

「情報サービスをとおして、世界の豊かな社会生活の実現に貢献する」を理念に掲げ、ビジネス向けのクラウドサービスを提供するトヨクモ株式会社。安否確認サービスやサイボウズ社の「kintone」に連携するクラウドサービス、日程調整が簡単にできるグループスケジューラーなどの提供を行う。

2020年9月24日に東京証券取引所マザーズ市場(現:東証グロース市場)に上場。

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