消費者庁インタビュー「改正景表法への対策」

2024年09月03日

改正景表法までに事業者自身が出来る講ずべき対策とは

インタビュー日 2024年8月1日

景品表示法(以下景表法)は事業者も理解を深めることで企業法務がより強固なものとなる。弁護士、調査会社等の第三者機関と連携を取って適切な運用を実現することも可能だが、限界がある。うっかりミス等のつまらないミスで措置命令となってしまうこともある。

改正景品表示法施行まであと僅か。今こそ事業者はガイドライン作成等を実施すべき時期だ。この時期だからこそやっておくべき対策もある。そこで、今だからこそ出来る2つのアプローチについて紹介しよう。

景表表示法検定を受け確かな知識を習得する

事業者が景表法関連の対策を独自に実施し、より強固なものを構築しようとしているのであれば、表示等管理担当者を配置すべきだ。この役職は消費者庁が、事業者が講ずべき対策の1つとして紹介しているものだ。可能であれば、全国公正取引協議会連合会が実施している景品表示法検定を受験し、景表法の知識の習熟度をアピールするのも良いだろう。

検定は誰でも受験出来るもので、70点以上なら「ベーシック」、80点以上なら「スタンダード」、90点以上なら「アドバンス」と3つのグレードで区分されるようになった。

このグレードの違いは何かについて、全国公正取引協議会連合会担当者に確認したところ、「景表法の知識をある程度持っている方がベーシック、景表法を熟知している方がアドバンスといった形で、点数によってその方がどの程度景表法に対して知識を持っているのか、分かるような形になっています」とのこと。

ベーシック以上であれば、表示等管理担当者として景品表示法の基礎的な知識を有している人物とアピール出来るが、可能であればエキスパートレベルの「アドバンス」の取得を目指すと良いだろう。

試験対策

景表法検定試験の対策をするのであれば何をすべきか担当者に問い合わせをしたところ、基礎的な知識と最新情報の把握が重要とのこと。

「景品表示法(商事法務)」、「景品表示法の法律相談」「広告宣伝・景品表示に関する法律と実務」(日本加除出版)、「令和5年改正景品表示法」の4つの書籍を活用すると良いだろう。

食品事業を取り扱うのであれば、この書籍の「景品表示法(商事法務)」の制作にも携わった辻󠄀本弁護士のインタビューを合わせて読んでおくと、より事業者にとって必要な知識を得られるだろう。

No.1や初表記だけでなく、ステルスマーケティングや消費者庁が発出するガイドラインを参考にしたい場合は、景品表示法関係法令集(一般社団法人全国公正取引協議会連合会刊)も合わせてチェックしておくと良いとのこと。

ここまでは改正景表法以前の対策を学習する方法だ。改正景表法に関する試験対策は不要なのか、あくまで担当者の「個人的な見解」であるが、以下のようにコメントが返ってきた。

「試験が実施される時期には改正景表法がすでに施行されているため、当然改正景表法の問題も出題範囲に該当します。当会が実施しているセミナーに参加したり、消費者庁が発表している運用基準が示されているパンフレットなども参考にしておくと良いと思います」

景品表示法対策セミナーでは景品表示法の定義の説明だけでなく、直近の事例解説や消費者庁の最近の動向等も伝える予定とのこと。試験対策だけでなく実務でも十分使える内容となっているので、受講を検討しておくと良いだろう。

景品表示法検定は、独学で習得するためには高レベルな問題が多数ある。セミナーや弁護士の勉強会等に参加をして試験対策を実施すると良いだろう。

全国公正取引協議会連合会が実施する景品表示法のセミナーは、東京、名古屋、大阪、福岡の4か所で開催される。2024年9月30日〜10月8日の間に4会場で実施されるため、興味を持った事業者はこれを機にホームページをチェックしておくと良いだろう。

消費者庁説明会を参加する

試験を受ける予定のない事業者は、改正景表法に向けて消費者庁がどのような動きをするのか、チェックしておくと良いだろう。

そこで役に立ちそうなセミナーが、消費者庁が主催する令和5年改正景品表示法等説明会だ。9月3日(東京),5日(大阪)、10日(名古屋)の3回に分けて実施される予定だ。

説明会では、消費者庁の職員から新たに導入される確約手続きを始めとした制度の説明など、ここ数年で問題となっている措置命令の解説を実施予定だ。

担当者に確認をしたところ「時間に限りはあるが、質疑応答の時間を設ける予定」とのことなので、事業者が現時点で不明点や不安等があれば、解消出来るかもしれない。

説明会は抽選制。8/13時点で東京会場が申込多数のため受付終了となってしまったため、残るは名古屋、大阪のみ。万が一抽選に外れた場合、説明会の様子を事業者が知る術はないか確認したところ、「事業者の要望の声が多ければ、説明会で使用した資料を掲載する可能性は十分考えられる」とのこと。

8月1日の問い合わせ段階ではあるが、大阪と名古屋は応募状況に余裕があると回答していたため、大阪、名古屋への応募に切り替えても良いかもしれない。

参加出来たことを前提ではあるが、当日の様子を当記事でも詳細にレポートする予定だ。

まとめ

今回は全国公正取引協議会連合会及び消費者庁に問い合わせを行い、改正景表法に向けてどのようなアプローチが出来るかを紹介した。事業者が改正景表法に向けて講ずべき対策は多数ある。これを機に、景表法検定や消費者庁の説明会に参加をして新たな対策を検討しても良いかもしれない。

(記者 山口 晃平)

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