弁護士プロフィール
林邦彦法律事務所
林 邦彦弁護士
はやし くにひこ
林邦彦弁護士のウェブサイト
https://khayashilaw.com/
林邦彦(第一東京弁護士会)
https://khayashilaw.com/
弁護士登録後(第一東京弁護士会所属)、横木増井法律事務所において約8年間勤務。 同事務所での勤務時に健康・美容関連商品の広告関連業務やソフトウェアの不正利用関連業務をはじめとして多様な業種の企業法務を取り扱った後に独立する。現在、健康食品・化粧品の販売会社、デザイン会社、メーカー、測量会社、建設会社等の全国の多数の企業の顧問弁護士を務める。
本文健康食品業界が知るべき「初表記」の難しさと意識改革
健康食品業界は参入障壁が低く、小規模事業者が多くビジネスを展開している。同類商品も多く、競合企業との差をつけるため、No.1表記や初表記を反映させたいと考える事業者も多い。
健康食品関連の事業者がNo.1や初の表記について注意すべきことは何かについて、健康食品・美容品を日頃から手がける事業者にアドバイスを行っている林邦彦弁護士に話を伺った。
一般民事〜相続まで様々な領域を担当しているが、特に健康・美容等の広告分野に精通している。広告のリーガルチェック、薬機法・健康増進法の広告規制違反からソフトウェア不正利用の損害賠償対応まで、幅広く事業者をサポートする。
初表記の難しさ
健康食品業界は製品の差別化を図るため初表記を掲載しようと検討する事業者が多い。しかし初表記にはNo.1表記よりも専門的な調査が必要で、事業者は十分理解を持って表記する必要があると林弁護士は指摘する。
「事業者さんからよくある相談事例が、自社調べで作成した資料を元に初表記が出来ないかと打診されるものです。WEBサイトや特許庁の検索を行うことで、「初」と言える場合もあるかもしれませんが、当然のことながら網羅的な調査が必要な表記です。このようなケースは本当に初表記が言えるか検証すると、そうではないケースが多いのでその点を注意して事業者は初表記の検討をしておく必要があります」(林弁護士)
初表記の自社調べにおけるよくある失敗事例が、特許庁が提供する特許情報プラットフォームJ-PlatPatを活用した簡易検索だ。この検索方法は操作性が難しく、研修を受けなければ正しく活用出来ない検索システムと事業者が理解しないと誤った解釈をしてしまう恐れがある。
「仮にJ-PlatPatを正しく活用して競合相手が特許権や商標権を取得していないことが判明したとしても、先行する競合相手が特許権や商標権をただ取得していないだけである場合には初表記が出来ないことも考えておかなければなりません。仮に自社調べだけで初表記を進めていくと、既に先行事例があることが判明した場合、消費者庁の指摘に対して弁明するのはかなり難しくなるため、優良誤認として見なされる可能性が高くなります」(林弁護士)
どうしても初を表記したいのであれば、自社調べで調査を進めて行くのではなく、特許に詳しい弁護士や弁理士、調査会社に依頼をし、網羅的な調査を行ってもらうのが賢明だ。
また初調査の場合、調査会社に依頼をしてしまえば全て解決するという訳ではない。事業者が実施した調査過程が本当に問題ないか、セルフチェックが重要になるとのこと。
「過去に消費者庁がNo.1表記について措置命令の対象としたケースと同様に、他の事業者の調査過程を十分に精査せずにそのまま表記を掲載することを検討している事例がありました。初表記もNo.1表記と同様に、事業者が提示した初が本当に問題ないかきちんと精査しておく必要があります」(林弁護士)
No.1や初表記について第三者機関に調査を依頼するのであれば、必ずセルフチェックを行い掲載予定の表記が本当に問題ないかの確認を行うと良いだろう。
素材メーカーの資料を精査する
健康食品・ペットフード業界の場合、No.1や初の表記で注意すべきポイントがもう1つあると林弁護士は指摘する。それは、素材メーカーから提案された原材料を元に商品を開発するケースだ。
「健康食品やペットフード業界では原材料を提供するメーカーから商品開発を提案され、新商品を開発するケースが多くあります。一般的には原材料の情報を事業者自身が把握しているため、広告に誤った情報を掲載すれば誰かが気づくはずです。しかし、このケースでは原材料メーカーが提出した営業資料が情報源ということもあります。このようなケースで営業資料をそのまま鵜呑みにしてNo.1や初を掲載してしまうと、消費者庁の措置命令対象となってしまう可能性があります」(林弁護士)
メーカーが提案した営業資料にNo.1や初の表記がもし存在するのであれば、事業者がその表記に対して質問してみると良いだろう。メーカー側の解釈が事業者の解釈と異なる場合は景品表示法(以下 景表法)違反に該当すると考えておけば、未然にトラブルを防ぐ事が出来るだろう。
健康食品業界に求められる意識改革を
健康食品業界は競合相手が多いため、広告やWEBサイトも多岐にわたって掲載されているケースが多い。消費者庁や厚生労働省などの行政機関はマンパワーが限られているため、多少の表記違反は問題ないと考えている事業者もいるが、この考えは非常に危険だと林弁護士は指摘する。
「健康食品関連の商品は景表法違反だけでなく、薬機法違反で最悪の場合は刑事罰も考えられます。消費者庁や厚生労働省などの行政機関は事業規模の大小や商品・サービスの売り上げの規模に関わらず調査対象を選定しています。最悪の場合、刑事罰が科されることもあると考え、高い意識を持って事業者が運用を心がけなければなりません」
続けて林弁護士は景表法の意識改革の際に、やってはいけないアクションもあると解説した。
「事業者自身が作成した表記が問題ないかを検証する際に、他の事業者の広告やホームページと比較して問題ないと判断してしまうこともありますが、このアクションはお勧め出来ない検証方法です。競合他社の表記がたまたま消費者庁に見つかっていないだけで、問題ある表記の可能性も考えられます。今掲載されている全ての表記は消費者庁が問題ない表記とお墨付きを与えているわけではないため、自社として表記が問題ないかの検証が必要です」
事業者が出来る景表法の対策は、消費者庁の調査対象となる前に実施すべきものばかりだ。だからこそ日頃から景表法に対する意識改革を強くし、適切な運用が行われているかの確認を行う必要がある。
「意識改革をする上で、健康食品関連の規制、ガイドライン規制を確認するだけでなく、法改正や措置事例の確認などやるべきことが多数あります。最新の情報を入手し、これらを常にキャッチアップしていく姿勢が、事業者が常に求められる姿勢だと考えます」(林弁護士)
景表法違反に該当する表記は時代と共に変化していく。消費者庁に指摘されないから問題ないと解釈するのではなく、事業者自身が常に最新の情報を反映し適切に運用していくことが重要だ。
まとめ
No.1や初の表記は競合他社との差別化を図ることができる魅力的な表記だ。その一方で、注意すべきことも多い。景表法違反は事業規模ではなく、消費者が社会的な問題と判断すれば措置命令の対象とする可能性が十分考えられる。自社の広告を掲載する際どのような対策が必要かをこの機会に検討しておくと良いだろう。
本インタビューの監修者
未来トレンド研究機構
村岡 征晃
1999年の創業以来、約25年間、IT最先端などのメガトレンド、市場黎明期分野に集中した自主調査、幅広い業種・業界に対応した市場調査・競合調査に携わってきた、事業発展のためのマーケティング戦略における調査・リサーチのプロ。
ネットリサーチだけなく、フィールドリサーチによる現場のリアルな声を調査することに長け、より有用的な調査結果のご提供、その後の戦略立案やアポイント獲得までのサポートが可能。
そんな我々が、少しでもマーケティング戦略や販売戦略、新規事業戦略にお悩みの皆さんのお力になれればと思い、市場調査やマーケティングに関しての基礎知識や考え方などを紹介しております。

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2024年07月09日





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