籔内俊輔弁護士へのインタビュー「元担当者に聞く景表法」

2024年08月01日

前頁は消費者庁がどのような経緯で行政処分を下すのかについて解説した。

消費者庁の動きを理解し、適切な運用を行えば各事業者が強化すべき対策も見つかるだろう。そこで今回は、事業者が実施すべき不当景品類及び不当表示防止法(以下「景表法」という。)対策は何かについて理解すべく、消費者庁設立前に景表法を所管していた公正取引員会で任期付き公務員として勤務し、その後も事業者側の代理人として景表法の違反事例に対応した経験のある籔内俊輔弁護士に話を聞いた。

事業者が陥りやすい2つのミス

No.1や初の表示を適切に運用する際に意識すべきポイントは、表示の根拠となる調査結果の中身と表示が一致していることだ。この原則に沿って運用を実施すれば、景表法違反を未然に予防することができ、消費者庁の調査対象となるケースはかなり低いと言えるだろう。

しかし、景表法違反の未然予防の対策も、完全に違反を生じさせないようにできる訳ではない。表示を行う事業者の内部でのミスや外部との連携ミス等が原因で景表法違反として措置命令・課徴金納付命令に発展しまうケースもあるとのこと。

「事業者の多くは一般消費者を裏切らないようにビジネスを展開していると思いますが、時には意図せずミスが起こります。気をつけていれば防げたミスが原因となっていることもあり、事業者自身がしっかり対策を検討しておくことが重要です」(籔内弁護士)

籔内弁護士が指摘する「事業者のケアレスミス」とは次の2つ

  • 表示の根拠となる調査の方法や結果についての確認が不十分であったため、表示内容を客観的に実証する根拠と言えない場合
  • 表示の根拠となる調査結果を超える内容を表示において訴求してしまうことによって表示と根拠との間で齟齬が生じた場合

1つ目のケースは、例えば「成分A」という成分が他の製品に比べて最も多く「Aを使った化粧品で含有量No.1」と表示していたが、広告を表示する際に事業者が調査を依頼した調査機関では、各商品の中のAの含有量を測定するための検査方法について、同調査機関が独自に生み出した科学的な裏付けに乏しい方法を採用してしまっていたが、その点の確認が十分ではなかったケースである。

表示がその裏付けとなる根拠なしに行われていれば景表法違反に該当し、措置命令・課徴金納付命令対象になる。このような事例を回避するために、一見もっともらしい調査結果であっても、その結果が客観的に実証されているものであるかどうかが問題となるため、調査機関の説明を鵜呑みにするのではなく、さらに第三者的な立場の専門家等からも意見を聞くといった対応をとることがより良い対応と言える。

2つ目のケースは、上記の「Aを使った化粧品で含有量No.1」と表示していたケースで、例えば調査機関が行った検査方法は客観的に実証されているものであったが、特定の期間に販売されていた商品を対象にしていたため、その後に調査対象にならかったAの含有量がさらに多い商品が販売されているにも関わらず、表示の根拠となる調査の対象期間を明示することなく 「Aを使った化粧品で含有量No.1」という表示を継続してしまったケースである。

「新たに表示を作る際には、その表示の根拠を確認することが必要であり、No.1のような特に強い訴求を行う場合には消費者庁や同業他社から表示の根拠があるのか問われる可能性があることを十分に認識した上で慎重な確認を行うことが必要です。No.1と言える前提となる実績は、時間の経過と共に変化していく可能性もあることから、表示においても調査対象期間を 明示する等しておくこと方が安全であり、そのような表示をしない場合には、その後の変化がないのか定期的なチェックが必要です」(籔内弁護士)

事業者は表示の裏付けとなる根拠の確認と共に、表示がその後どのように使われるのかという視点で、訴求内容や補足しておくべき情報を確認しておくことも必要だ。

事業者が出来ること

景表法違反にならない適切な表示を行うためには、過去の措置命令等を失敗事例として情報収集、分析して、自社で同様の表示ミスを未然に予防できるような対応を検討しておくことが重要だ。景表法違反に該当すると、どのようなペナルティーがあり、事業にどのような不利益があるのか、同業他社の措置命令等も素材として、弁護士など外部専門家等から社内のマーケティング等の担当者に対して、レクチャーをしてもらい、現場担当者のリスクに対する感度を上げることも有益だろう。

「業界内では多数の事業者が行っている表示であっても、たまたま措置命令対象となっていないだけで、実際には景表法違反であるケースもあります。今まで問題視されてこなかったのでこれまで通りの運用で良いという認識ではなく、今のやり方で本当に問題ないか定期的なチェックをするのが良いでしょう」(籔内弁護士)

社内で表示を行う前にリーガル面も含めてチェックすることは必要であるが、それだけでなく、そのチェックが主観的にならないよう外部のアドバイスを受けることも重要だ。社内で適切な体制を構築していれば、景表法違反を未然に予防でき、万が一景表法違反の疑いがある表示を行ってしまったとしても、早期に発見をし、外部専門家等と協力して改善に向けた対応をすることで、消費者庁から処分を受けることなく解決できる場合もあるだろう。

北浜法律事務所
https://www.kitahama.or.jp/

企業法務を中心に国内外の様々な案件を取り扱う総合法律事務所。東京、大阪、福岡の3拠点で事業を展開。M&A、証券、ファイナンス、知的財産、事業再生・倒産、独禁法、国際商取引、訴訟・仲裁をはじめとする各分野のエキスパート弁護士が所属し、ワンストップで包括的なリーガルサービスを提供する。

(記者 山口 晃平)

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(個別相談窓口)

株式会社 未来トレンド研究機構 「No.1」検証調査 業務担当

問い合わせ・相談先 E-mail info@miraitrend.com
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【会社概要】

会社名 株式会社 未来トレンド研究機構
https://www.espers.co.jp
所在地 東京都千代田区九段南一丁目5番6号 りそな九段ビル5階 KSフロア
設立 1999年8月19日
代表者 代表取締役 村岡 征晃(むらおか まさてる)
事業内容 (世界初、アジア初、日本初、業界初)検証調査、No.1(検証)調査、海外調査、競合調査、未来予測のご用命は”未来トレンド研究機構(略称:未来トレンド)”へ!

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