消費者庁インタビュー「事業者のための改正景表法」

2024年06月20日

『消費者庁 表示対策課へのインタビュー』事業者のための改正景表法~確約手続の特徴・デメリットを解説!~ No.1、国内初 「改正景品表示法新制度確約手続について」

インタビュー日 2024年6月10日

2024年4月18日、消費者庁より改正景品表示法に新たに組み込まれる「確約手続に関する運用基準」という資料が発表された。確約手続は措置命令対象の事業者が制度を利用し表記等を改善することで、措置命令・課徴金納付命令対象を免除するという制度だ。

事業者の自主的な取り組みを促し景品表示法(以下景表法)を正しく運用するために設けられる制度だが、「措置命令と同様に注意すべき制度」、「事業者にとって優しい措置」と意見が分かれる。 そこで今回は消費者庁 表示対策課指導係の担当者(以下表示対策課担当)に確約手続に関する問い合わせを実施した。

1.改正景表法より始まる確約手続とは?

確約制度とは措置命令・課徴金納付命令対象になった事業者が、措置命令・課徴金納付命令を免除する代わりに表記等の改善を実施する制度だ。

この制度は措置命令・課徴金納付命令の対象となった事業者全員が利用できる訳ではない。過去10年以内に措置命令・課徴金納付命令の対象となった事業者や、消費者庁が悪質と判断した事業者は対象外となる。

悪質かどうかの判断基準について表示対策課担当に確認をしたところ「事業者自身が表記する内容を不当表示と認識していながら広告を出稿すると、悪質な事業者と判断される可能性が高いとのこと」 どのような形で悪質かどうかを判断するかまでは分からないが、不当表示の広告を多数出稿している事業者は対象となる可能性が高い。

「この制度は景品表示を正しく運用する気持ちのある事業者が、誤って不当表示をした場合に救済できる制度でもあります。イエローカードのような役割を担う制度と理解してもらえれば良い」(表示対策課担当)

2.確約手続の大まかな流れ

消費者庁が発表した確約手続に関する運用基準は抽象的な表現が多く、事業者自身がイメージできないこともあるかもしれない。そこで、事業者が確約手続の具体的な流れを以下のA社を元に紹介していこう。

A社の情報

  • 健康食品を販売
  • 業界で中堅クラスの事業者
  • No.1表記を得意とする調査会社から「この表記ならNo.1表記可能」という営業を受け調査を依頼する
  • 調査過程を精査せずそのまま広告を作成
  • 法務部門担当が表記に対し警告したが、営業担当との協議の結果、問題無いと判断
  • 広告効果もあり売上1億円達成

1)消費者庁からの連絡

消費者庁よりA社に措置命令、課徴金納付命令の可能性のある事業者であることを通知される。その際に救済措置として確約手続が利用できることを案内される。この時事業者は確約手続を利用しない選択もできるが、利用しなければ措置命令・課徴金納付命令となるため注意が必要だ。

確約手続はイエローカードのような制度ですが、「注意してくださいね」というものではなく、何もしなければ措置命令・課徴金納付命令の対象となると覚えておくと良いだろう。

2)確約計画書の作成

消費者庁が提案した確約手続を利用する場合、通知を受けた日から60日以内に確約計画書を作成しなければならない。確約計画は不当表示に対し改善を求めるものだ。A社の場合は以下の行動を改善する必要がある。

  • No.1表記を得意とする調査会社から「この表記ならNo.1表記可能」という営業を受け調査を依頼する
  • 調査過程を精査せずそのまま広告を作成
  • 法務部門担当が表記に対し警告したが、営業担当との協議の結果、問題無いと判断

この上記3つを解決するために、A社は3つの対策案を検討した。

  • 景表法に関する理解を深めるため定期的な研修を実施
  • 調査会社に依頼をする前に社内で精査を行う
  • 担当者だけで判断するのではなく、社内全体で客観的に評価する仕組みを作成する

これらの改善案を確約計画に織り込み提出すれば終わりではない。確約計画では該当商品の売上金額も大きく関係している。

「確約計画は不当表示をした表示に対し改善策だけでなく、利用者への返金対応等にも応じなければなりません」(表示対策課担当者)
つまり、A社の場合景表法違反に該当した商品で売上1億円を達成した。そのためこれまでの購入者に対し返金対応をしなければならない。返金対応についての計画も取り入れる必要がありそうだ。

確約計画は事業者ごとに作成すべき項目が異なり、知見のない事業者にとって作成ハードルが高いと感じるかもしれない。計画書の作成について表示対策課担当者に問い合わせをしたところ、「計画案は表示対策課の担当者が欲しい書類等を細かく共有します。計画書作成過程で困ったことがあれば、その都度サポートすることも可能なので、その点は安心して頂ければと思います」

3)確約計画の精査

消費者庁の指摘通りに作成した計画書を提出すれば、措置命令・課徴金納付命令を完全に回避できる訳ではない。提出された計画書が適切に実行されているかを消費者庁が精査を行う。

A社が計画書通りに体制作りを見直し、返金対応を実行していれば問題ないが、計画書通りに実行されていなければ、確約手続が利用できなくなってしまう。

消費庁が認めなければ、そのまま措置命令・課徴金納付命令の実行となるため確実に計画通りに出来る計画書作りが必要だ。

4)公表

確約手続は事業者にとってデメリットもある。措置命令・課徴金納付命令対象となった事業者と同様に、公表リスクがある点だ。

確約手続を利用する事業者は、措置命令対象となった事業者と同様に報道発表資料として公表される。この点は措置命令・課徴金納付命令を受けた事業者と変わらないため、公表リスクを覚えておくと良いだろう

「確約手続は事業者への救済措置の役割もありますが、デメリットもあります。日頃から適切な広告運用を心がけておくことが重要です」(表示対策課担当者)
以上が確約手続の流れだ。公表リスク等の観点から考えると措置命令・課徴金納付命令と変わらないと考えるかもしれない。しかし、措置命令・課徴金納付命令の対象とり10年以内に対象となれば、課徴金納付が1.5倍になってしまう。

仮にA社が10年以内に措置命令対象となり同様の問題を起こしてしまった場合は1億円の売上の3%分、3,000万円が4,500万円になってしまう。

これまでと違い、改正景表法は不当表示を行う事業者に対し厳しいペナルティが待っていることも認識しておくと良いだろう。

3.事業者ができること

新聞・広告だけでなく簡単に広告が出稿できるようになり、事業者はこれまで以上に景表法に則った適切な運用が求められる。

改正景表法の制度を知るだけではなく、適切な運用を行うために何ができるかを社内で慎重に考えながら、景表法に対する意識を強めていく必要がありそうだ。

これから対策として何ができるか、表示対策課に聞いたところ「些細な問題が起きた時にどう対処するか」が重要とのことだ。

「個人的な感覚ではありますが、景表法に対する意識の高い事業者は営業担当もレピュテーションリスクを理解しているように感じます。事業者をサポートすることも私達の役割です。分からないことがあれば些細なことでも構いません。遠慮なく問い合わせをしてください」(表示対策課担当者)

景表法は事業者を取り締まるのではなく、一般消費者が不利益にならないようにするための法律だ。一般消費者に誤解を与える表記になっていないか、社内体制を刷新する必要があるのかなど、改正景表法施行前に改めて検討しておくと良いかもしれない。

(記者 山口 晃平)

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