小倉佳乃弁護士インタビュー「No.1における景品表示法」

2024年06月18日

『松田綜合法律事務所 小倉佳乃弁護士へのインタビュー』「No.1」「初」に関する景品表示法対策:事業者が1からできる企業法務の心得とは?

インタビュー日 2024年5月23日

No.1表記に関連する措置命令を確認すると気になる表記がある。それは「利用者・事業者等の確認をせずに調査を実施」「実際に利用したことがある者かを確認せずに調査を実施」という記載だ。なぜ事業者は調査会社に依頼をしながら不適切な調査に気付くことができなかったのか。その問題を掘り下げていくと、社内の景品表示法(以下 景表法)に対する企業法務の在り方に問題があると考えられる。事業者はどのような制度作りを社内で行うべきかについて、幅広いビジネス法務に精通している松田綜合法律事務所で企業法務に知見のある小倉佳乃弁護士にインタビューを行った。

<弁護士事務所紹介 松田綜合法律事務所>

https://jmatsuda-law.com/

企業法務、労務、知的財産法、不動産取引、国際取引などのビジネス・ロー分野をはじめ、多くの倒産案件、訴訟案件及び一般民事、刑事、家事事件等を取り扱うだけでなく、特許・商標等申請や不動産・商業登記申請まで行うワンストップ型法律事務所。弁護士の他、弁理士、社会保険労務士等の有資格者が在籍し、依頼者の幅広いリーガル・ニーズに対応している。

1.事業者が知るべき「No.1」「初」に関する調査の流れ

事業者が自社の広告に「No.1」や「初」を表記したい場合、大前提として押さえておくべきポイントが2つある。

1)何に対しての「No.1」、「初」なのか

2)広告等の表記を見た消費者がどう感じるか

「No.1」や「初」の表記を記載すると、一般消費者は他の製品と比べて最も優れているものと判断し購買行動を決定する。小倉弁護士によれば「『No.1』や『初』で何を伝えたいのか具体的なイメージを持つことが重要です。具体的なイメージがあれば、誰に対しどのようなデータを収集すれば良いかが明確になり、表示したい内容とかみ合わない調査を回避出来ます」とのこと。

もう1つの視点、消費者がその表記を見てどう感じるかの印象も重要だ。小倉弁護士によれば、「例えば『顧客満足度No.1』とだけ記載された表記を見れば、消費者は『利用者に対する調査結果から、その満足度が高い商品である』と判断します。そのため、その根拠となる調査は利用者に対して行われる必要があります」とのこと。

消費者庁へクレーム等の指摘が多く入り、問題のある表記と判断されれば調査対象となり、事業者が表記した「No.1」や「初」がどのような根拠に基づくのかを確認されることになる。消費者庁の調査で明確な根拠を示せなければ、表記した内容が客観的な調査に基づくものではないと判断され、措置命令等の対象となる可能性がある。

表記したい内容とかけ離れた調査を回避するためには、何に対しての「No.1」や「初」なのか、一般消費者がその表記を見てどのように感じるのかを事業者は必ずチェックしておくべきだ。

2.調査会社との関わり方

改正景表法が施行されると、景表法違反行為に対する事業者への罰則等の規制が厳しくなる。また、「No.1」や「初」表記が客観的な調査に基づいていなければ、措置命令の対象となる可能性が高い。適切な表記を実施するためには調査会社選びが重要だが、景表法の知識が無ければ問題のある調査に気付けないこともある。

「私が法務レビューをする表示物の中には、満足度No.1の表示をするものやアンケート調査に基づく表示したものを見かけますが、その根拠となる調査を確認すると、表示したい内容と調査内容がかけ離れていることがあります」(小倉弁護士)。

事業者が調査過程で意識すべきことは何か。小倉弁護士によれば、「調査の実施後に表示したい内容とかみ合わないことが判明すると、調査をやり直すことになり二度手間になるため、どのようなプロジェクトでも調査の設計段階から関わることが重要です」とのこと。

仮に調査会社から「◯◯No.1という表記であれば可能です。うちに任せてください」と提案された時に、事業者が景表法に精通していれば、調査の対象者が恣意的かどうかや、調査項目が適切かどうか等を判断できる。事業者は、調査会社に依頼するだけでなく、調査会社の調査内容や過程が問題ないのかをダブルチェックする視点も必要になるだろう。

3.景表法に対応した企業法務を構築するために行うべきこと

景表法に則り、適切に表示物の作成や調査を実施するためには、担当者一人ではなく、複数名で担当することが重要だ。小倉弁護士によれば「担当者一人に任せてしまうと調査の設計、調査過程、表記作成の中で間違いがあることに気づけないまま進んでしまう可能性があります」とのこと。

事業者が理想の体制を構築するためには、景表法の知識をどのようにして蓄えるべきか。小倉弁護士によれば「現行の担当者が交代になっても対応できるよう、組織全体で共通認識を持ちスムーズに運用できるシステム作りを心がけることをお薦めします」とのこと。景表法アップデートの流れを説明して頂いた。

1)STEP1 社内全体で景表法に関する知識を底上げする

まずは、景表法に関する知識を研修やメール等で社内に共有し、景表法の優良誤認表示や有利誤認表示のルール、景表法違反をするとどのようなリスクがあるのかといった景表法に関する知識の底上げを行う。自社商品に置き換えて適切な表記例を具体的な事例に沿って説明を入れると効果的である。

2)STEP2 マニュアルの作成

景表法の知識の底上げと同時進行で、正しい表記をするためにはどのような制度作りが必要なのかを社内で議論し、社内向けのマニュアルを作成する。「No.1」や「初」等の表示内容の社内チェック体制、根拠資料の保管方法、消費者庁から調査が万が一入った場合の相談先まで確認しておくと良い。

3)STEP3 定期的な情報のアップデート

社内で景表法の知識が広まり、マニュアルが完成したら景表法に関する対策が終わりになる訳ではない。「景表法に違反するかはグレーな領域も多い中で、実際の違反事例を確認することは非常に有益です。そのため、措置命令等の最新情報や事例を常日頃からチェックし、社内メール等で情報をアップデートしておくことが重要です」(小倉弁護士)。定期的に情報をアップデートするために、消費者庁の資料をチェックするだけでなく何故消費者庁の調査対象となってしまったのかについて、弁護士と連携して勉強会を開催するのも良いだろう。

4.弁護士への依頼タイミング

大企業のように人手が足りていれば対応可能だが、規模の小さい事業者は景表法の知識を持つ企業法務の担当者がいないか、不足している場合もあるだろう。社内向けに一から仕組み作りをアップデートするのであれば、小倉弁護士のような景表法と企業法務に精通している弁護士に相談するのも一つの手だ。

両方の領域に精通している弁護士に相談することで、景表法でおさえておかなければならない知識はもちろんのこと、景表法に適した正しいマニュアルを第三者の視点で作成できる。

小倉弁護士によれば「表示物を作成したり調査を行う際は、後戻りができるタイミングで、弁護士にチェックしてもらう方がリスクを最小限に抑えられる」とのこと。

景表法に違反しないようにするためには、各事業者の商品・サービスを前提として個別具体的に表示内容が適切かを検討する必要がある。トラブルを未然に防ぐためには、マニュアル等で誰もが運用できる体制を構築し、判断に迷う際は社内で相談しあえる環境を作るべきだ。社内で景表法に精通している担当者が不在の事業者は、小倉弁護士のような景表法に強い弁護士と連携を取り、景表法に則った体制をどのような段階を経て導入するかを相談しておくと良いだろう。

5.まとめ

  • 「No.1」や「初」では具体的に表示したい内容と読み手の感じ方を想定することが重要
  • 適切な調査を実施するためには事業者が調査の内容を確認すべき
  • 社内で景表法の知識を浸透させ、表示内容のチェック体制を構築しておくことでトラブルを回避できる

弁護士プロフィール

小倉佳乃(東京弁護士会)

https://jmatsuda-law.com/members/kano-ogura/

株式会社ファーストリテイリングでの企業法務経験を活かし、企業法務〜景表法など様々な領域を担当。「依頼者が満足し、笑顔になれる丁寧な接客」をモットーに。依頼者目線の寄り添った相談を行っている。

<経歴・主な業務>
東京大学法学部卒業
東京大学大学院法学政治学研究科法曹養成専攻修了
2015年12月 松田綜合法律事務所
2020年5月 株式会社ファーストリテイリング 法務・コンプライアンス部 グローバル法務チーム
2024年1月~ 松田綜合法律事務所

(記者 山口 晃平)

㈱未来トレンド研究機構の方針

㈱未来トレンド研究機構では、調査会社(累計25年のキャリア・実績)としての豊富な経験を活かして、今後も「No.1」検証調査、「初(世界・アジア・日本・業界)」検証調査に関する受託業務を本格的に展開していく。クライアント企業のお悩みや課題、不安を一つ一つ解消し、「No.1」検証調査や「初(世界・アジア・日本・業界)」検証調査事業の可能性を広げていく方針である。引き続き、「No.1」検証調査、「初(世界・アジア・日本・業界)」検証調査それぞれで300件/年の受注を目指していく方針である。

㈱未来トレンド研究機構における「No.1」検証調査 受託業務の強み・ポイント

1)累計1000件(テーマ)以上、年間平均100件(テーマ)/年 の受託件数
2)No.1(検証)調査は、30年以上のキャリアを持つベテラン・リサーチャを中心に徹底調査 ※シェアNo.1、販売数量実績No.1など
3)レポート体制
・インタビュー・ヒアリングチーム
・アシスタント
・テープ起こしスタッフ
・レポート・スタッフ
4)プロのコンシェルジュが無料相談!
5)徹底した事前相談対応(無料)!
6)丁寧な調査・ヒアリング!
7)記録技術(会話速記)/テープ起こし(レポート
8)レポート品質UPに対する強い意識!
9)フォロー・サポートはエンドレスに!
10)ご依頼頂いた内容の守秘義務は徹底致します!
11)累計25年以上の豊富な調査キャリア
12)「No.1調査」×B2B分野(メガトレンド分野)では業界No.1
13)常に調査記録をバックアップ・テープ起こし(会話速記を徹底化)

㈱未来トレンド研究機構における「初(世界・アジア・日本・業界)」検証調査 受託業務の強み・ポイント

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2)初(世界・アジア・日本・業界)検証調査は、30年以上のキャリアを持つベテラン・リサーチャを中心に徹底調査 ※世界初、アジア初、日本初、業界初など
3)レポート体制
・インタビュー・ヒアリングチーム
・アシスタント
・テープ起こしスタッフ
・レポート・スタッフ
・知財専門スタッフ
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5)徹底した事前相談対応(無料)!
6)丁寧な調査・ヒアリング!
7)記録技術(会話速記)/テープ起こし(レポート
8)レポート品質UPに対する強い意識!
9)フォロー・サポートはエンドレスに!
10)ご依頼頂いた内容の守秘義務は徹底致します!
11)累計25年以上の豊富な調査キャリア
12)「初(世界・アジア・日本・業界)調査」×B2B分野(メガトレンド分野)では業界No.1
13)常に調査記録をバックアップ・テープ起こし(会話速記を徹底化)

(個別相談窓口)

株式会社 未来トレンド研究機構 「No.1」検証調査 業務担当

問い合わせ・相談先 E-mail info@miraitrend.com
問い合わせ・相談先 TEL 03-6801-6836

【会社概要】

会社名 株式会社 未来トレンド研究機構
https://www.espers.co.jp
所在地 東京都千代田区九段南一丁目5番6号 りそな九段ビル5階 KSフロア
設立 1999年8月19日
代表者 代表取締役 村岡 征晃(むらおか まさてる)
事業内容 (世界初、アジア初、日本初、業界初)検証調査、No.1(検証)調査、海外調査、競合調査、未来予測のご用命は”未来トレンド研究機構(略称:未来トレンド)”へ!

【未来トレンド研究機構 中核サービス】以下5つのサービス↓↓↓

  • No.1<検証>調査Ⓡ<商標登録 第6763351号> ※No.1調査、ナンバーワン調査(年間売上・販売数量実績<累計or年間>・シェア・伸び率など)
    https://espers.co.jp/no-1/
  • 初(世界・アジア・日本・業界)<検証>調査Ⓡ<商標登録 第6763352号> ※世界初調査、アジア初調査、日本初調査、業界初調査
    https://espers.co.jp/first-research/
    (競合調査・公開調査・知財調査など)
  • 競合調査Ⓡ<商標登録 第6763354号>
    https://espers.co.jp/competitor/
    (SWOT分析・競合戦略分析・4P&3C分析など)
  • 海外調査Ⓡ<商標登録 第6763353号>
    https://espers.co.jp/global-research/
    (グローバル調査:主要プレイヤー・ベンダへのヒアリング調査/顕在&潜在ユーザーへのアンケート調査:パネルヒアリングなど)
  • %(パーセンテージ)調査、シェア調査、市場占有率調査Ⓡ<商標登録 第6800111号>
    (%調査、パーセンテージ調査、シェア調査、市場占有率調査など)

本件に関する報道関係からのお問い合わせ先

窓口 株式会社 未来トレンド研究機構 「No.1」検証調査 担当部門
TEL 03-6801-6836  FAX : 03-6801-6066
E-mail info@miraitrend.com

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