【No.1調査とは】消費者と事業者を救うために業界を切る

2024年05月16日

【No.1調査とは】消費者と事業者を救うために業界を切る

広告などのキャッチコピーで「No.1」という表記を見たことありませんか?他にも「日本一」「業界トップ」といったさまざまな表現を見かけることがあります。これらの表記の裏付けをするために「No.1調査」を実施することがあります。

この記事ではNo.1調査のメリット・デメリットや依頼する際の留意点について、業界の実態も交えながらリサーチのプロが解説します

本コラムで得られる情報

No.1調査とはそもそもどういうのもなのか

正しくNo.1表記で訴求するためには

No.1に関する業界の動向と消費者庁の見解

本コラムは、市場調査業界で多くの実績を誇る未来トレンド研究機構が監修しております。
情報収集の重要性が、日に日に増している昨今、少しでも皆様のお力になれればと思い、市場調査やマーケティングに関しての基礎知識や考え方などを紹介しております。

No.1調査とは

No.1調査とは対象となる商品やサービス、あるいは会社が特定の事柄、たとえば売上や顧客満足度などが市場の中でNo.1であることを裏付けるために行われる調査です。冒頭のとおり、よくキャッチコピーで「No.1」「日本一」といった表記を見かけます。根拠なくこれらの表記を使用すると景品表示法違反に該当するおそれがあります。No.1表記を行うために調査会社にNo.1調査を依頼する事業者も少なくありません。

そもそもNo.1表記に効果はあるのか

業種や業態、No.1の内容、表記の方法などによって消費者行動は異なるので一概に効果があるとはいえませんが、いくつかのアンケート調査によって、効果は期待できることが示唆されています。

たとえば公正取引委員会が実施した『No.1表示に関する実態調査報告書』ではNo.1を参考にする度合いは「よく参考にする」と回答した人が12.5%、「時々参考にする」と回答した人が67%で、合計80%の人がNo.1表示を参考にしているという結果が出ました。また、一般企業が独自に調査したデータを確認しても、No.1がプラスに働くと考えられる調査結果が出ています。

公正取引委員会

2008.1

■No.1表示に関する実態調査報告書

公正取引委員会の消費者モニター(消費者取引適正化推進員194名)に依頼して、日常,よく目にするNo.1表示をを収集するとともに,No.1表示に対する一般消費者の認識を把握するため,同193名に対してアンケート調査を実施。

No.1を参考にする度合

  • よく参考にする

    12.5%

  • 時々参考にする

    67.7%

  • 参考にしない

    19.8%

株式会社マクロミル

2022.7

■「No.1表示広告」に関する意識調査

調査手法:インターネットリサーチ
調査対象:全国20~69歳の男女(マクロミルモニタ会員)
調査期間:2022/7/27~2022/7/28

No.1表示広告との接触時の印象

  • 好感を持つことが多い

    15.2%

  • 好感・不快感どちらの場合もある

    54.8%

  • 不快感を持つことが多い

    12.7%

  • 特に何も感じない

    17.3%

株式会社まーけっち

2021.9

■No.1表示に関する調査

1,000人へのアンケート

商品を探している際の、No.1表示の参考程度

  • とても参考にする

    10.4%

  • 参考にする

    47.3%

  • どちらでもない

    25.4%

  • 参考にしない

    16.9%

株式会社インテージ

2018.6

■生活者インサイトに関する研修調査

n=275

パッケージの売上No.1を購入の参考にする割合

  • よくある

    3.6%

  • たまにある

    42.6%

  • どちらともいえない

    25.2%

  • ほとんどない

    21.8%

  • まったくない

    6.8%

多くの企業が「No.1」「日本一」を掲げており、キャッチコピーの代表例にもなっていることから、No.1表記はやはり消費者からの商品やサービスに対する信頼性を向上させ、購買意欲を高める効果があると考えられます

No.1調査のメリット

No.1調査を実施することで、会社や商品、サービスが特定の事柄においてNo.1である根拠が得られ、No.1表記を行うことが可能となります。そのために、多くの企業は費用や労力をかけてまで調査を行うのです。

No.1調査の実施、あるいはNo.1表記を使用することで、「一定の販促効果が得られる」「調査結果を有効活用できる」といった2つのメリットが得られます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

 
  • メリット
  • 一定の販促効果が得られる
  • 一定の販促効果が得られる

一定の販促効果が得られる

一概にはいえないものの、No.1表記には一定の販促効果があるのは先ほどご紹介したアンケート調査の結果からも推察されます。とりわけ化粧品や健康食品などの分野ではNo.1表示の効果は高く、パッケージに「No.1」と記載されていれば、半数のユーザーがそれを参考にするという調査結果も出ています

市場調査を行っている弊社でもNo.1調査の需要は非常に高く、BtoC企業様はもちろんBtoB企業様からも多数ご依頼いただいております。

 

調査結果を有効活用できる

No.1調査では消費者に対してアンケートを実施します。それはNo.1である根拠を明らかにするという目的があるわけですが、調査結果から「商品・サービスのどの点が気に入ってるのか?」「どこに不満があるのか?」「競合他社も含めてどのような商品・サービスが売れているのか?」といった消費者のさまざまなニーズもわかってきます。

No.1調査から得られた情報はただ単にNo.1表記の根拠とするだけではなく今後の商品開発やマーケティング戦略立案にも大いに役立つはずです。

No.1調査のデメリット

No.1調査を行うことで以上のようなメリットが得られますが、デメリットもあります。「費用対効果が読みづらい」「すべてのNo.1調査を行う会社が信用できるとは限らない」といった点には注意が必要です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

 
  • デメリット
  • 費用対効果が読みづらい
  • すべてのNo.1調査を行う会社が信用できるとは限らない

費用対効果が読みづらい

裏付けがあるNo,1表記は販促効果がある程度見込めるものの、必ずしも売上が上がるとは限りません。業界や業態、商品・サービス、訴求の仕方などによって効果が大きく変わってくるからです。

また、No.1調査を実施するには費用がかかります。効果があるかないか、あるいはどれくらいの効果が現れるかわからないなか調査を実施しても、調査費用をペイできる、十分な費用対効果が得られるとは限らない点に注意しましょう

 

すべてのNo.1調査を行う会社が信用できるとは限らない

近年では消費者庁の規制も厳しくなり、景品表示法に違反した状態でNo.1表記を使っている企業が摘発される事例が相次いでいます。No.1である根拠が不明確であったという理由で摘発されたケースはもちろん、調査結果の信憑性が不十分であることから摘発を受けてしまったケースも非常に多いです。

不完全な調査手法で得た、あるいは根拠としては不十分なデータをNo.1の根拠としている調査会社も少なからず存在します。せっかく費用を支払って調査を行ったのにも関わらず、摘発されてしまっては意味がありません。しっかりと依頼する調査会社を見極めましょう。

相次ぐNo.1表記の景品表示法違反

昨今インターネットの普及もあって企業間の競争も激化しています。その中でもなんとか見込み客の目を惹こうとキャッチーな広告やコピーで商品やサービスを売り込もうとしている企業も多くなってきています。No.1表記も見込み客にインパクトを与える手法の一つですが、それだけに当局の規制や取り締まりも厳しくなってきているのが現状です。

根拠に乏しい不適切なNo.1表記を行った結果、景品表示法違反で消費者庁から摘発されるケースが非常に多くなってきました。

2024年のNo.1表示摘発に関するネット記事

  • 「No.1広告」摘発ラッシュ わずか2週間で12社 消費者庁が本腰

    消費者庁は2024年2月末から3月中旬のわずか2週間あまりの間に、12社の「No.1広告」について、景品表示法違反(優良誤認)…

    2024.3.26
  • 「満足度No. 1」広告 客観的裏付けなく 6社に再発防止命じる

    客観的な裏付けがないにもかかわらず、広告で「満足度No. 1」などと表示していたのは景品表示法に違反するとして、消費者庁はWi-Fi…

    2024.3.1
  • 「No.1」表記で景表法違反 太陽光発電システム事業者2社に措置命令

    消費者庁は2月27日、福岡市の太陽光発電システム事業者2社に対し、景品表示法に基づく措置命令を出した。命令が出されたのは新日…

    2024.2.28

弊社では消費者庁に直接インタビューを行い、最近の動向を伺いました『消費者庁インタビュー「No.1調査における景品表示法」』。過去の違反事例などもまとめていますので、ぜひご一読ください。

【事業者へ】No.1調査を依頼する際の留意点

しっかりとした根拠にもとづいてNo.1表記をしないと景品表示法に抵触して取り締まりの対象になる可能性もあります。悪質とみなされた場合には何千万円もの課徴金納付命令が下されるおそれもあるので、決して軽視してはいけません。

しかし、自社では気をつけていても調査会社が不完全な調査を行ったことによって、知らず知らずのうちに法律に抵触してしまうケースもあり得ます。ここからはNo.1調査を外部に依頼する際の留意点について見ていきましょう。

  1. ① ”適正な”No.1調査の実績
  2. ② イメージ調査
  3. ③ 成果報酬型

”適正な”No.1調査の実績

消費者庁では過去に景品表示法違反で摘発した企業をホームページで公開しています。違反企業が調査を依頼した調査会社は不適切な調査を行っている可能性があります。たとえば候補となる調査会社の実績と消費者庁のホームページを照らし合わせることで、適切な調査を行っているかどうかがわかります。

調査を依頼する前に調査会社の実績などの情報をホームページや資料などで確認し、慎重に精査しましょう。

 

イメージ調査

No.1調査の手法の一つとして「イメージ調査」というものがあります。これ自体はなんら不適切なものではなく、多くの企業が実施しています。

しかし、実際に商品やサービスを利用したことがない消費者に対してイメージで「おすすめできる点」や「信頼性」を尋ねて、それを根拠にNo.1であると強引に裏付けるといった手口が横行しています

調査会社に依頼する際には調査の手法についてもしっかりと着目し、特にイメージ調査が含まれている場合はどのように実施するのか?詳細を確認しておきましょう。

イメージ調査とは
消費者が企業やサービス・製品について抱いている印象を測定する市場調査の一種。

 

成果報酬型

「No.1を取得できなければ、全額返金いたします」という宣伝文句を一度は見聞きしたことがあるかもしれません。もちろん、こうした打ち出し方をしている調査会社がすべて悪いというわけではありません。

しかし、本来No.1の根拠を明確にするためには、調査設計を万全にした上で慎重に調査を進める必要があります。それ故にNo.1調査にはコストが非常にかかるので、「成功報酬で調査を行う=No.1でなかった場合は無料にする」というサービスは通常あまり考えられません

【消費者へ】No.1表記を見た際の確認事項

消費者の視点からも、「No.1」あるいは「日本一」という表記を見た際には注意が必要です。これまでご説明したように、根拠が曖昧なままNo.1を謳っているケースもあります。安易に商品やサービスの購入を決めるのではなく、まずは以下のような事柄を確認しましょう。

  1. ① ”何の”No.1なのか
  2. ② No.1表記の注釈
 

”何の”No.1なのか

まずは「何においてNo.1なのか?」をしっかりと確認しておきましょう。ただ「業界No.1」「日本一」のみ表記されたキャッチコピーを見かけます。根拠が曖昧だから、表現も曖昧になっている可能性があります。

また、「〇〇だと思うNo.1」「〇〇と期待できるNo.1」という表記も消費者の参考になるとは言い切れません。「だと思う」「期待できる」というのは調査対象者の主観によるものなので、必ずしも商品やサービスの実態とはマッチしていない可能性があります。

 

No.1表記の注釈

No.1表記には調査に関する注釈が記載されているのが一般的です。注釈なくNo.1と表記されているケースは論外で、到底信用に値するものではありません。

また、注釈にはNo.1の内容や調査機関、調査の方法や対象者などが記載されていますので、これらの情報をもとに、そのNo.1が本当に信用できるものなのかどうかを確認しましょう。

昨今の「でっち上げ」No.1についての警鐘

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消費者庁への独自インタビュー

これまで繰り返しご紹介してきたとおり、根拠がないNo.1表記は景品表示法違反です。しかし、根拠に乏しいままNo.1表記をして摘発される事例は後を絶ちません。調査の手法が間違っていた、不完全なものではなかったというケースも多いのですが、最近では“でっちあげNo.1調査”を実施してNo.1の根拠を捏造するケースも横行しています。

たとえば特定の商品やサービスが選択されるようアンケートの設問や選択肢で誘導する、商品やサービスのユーザーではない人にイメージ調査を実施する、回答やデータを捏造する、そもそも調査をしていないのに調査したように装うなど、手口は枚挙に暇がありません。

もちろん、調査を実施している調査会社が大多数ではあると思われますが、悪質な調査会社が非常に多いのも事実です。

No.1調査の依頼先は慎重に検討しましょう

No.1表記はユーザーの目を惹き、購買意欲を高める効果が期待できます。それ故に採用している企業も多いのですが、根拠もなく安易にNo.1表記を採用することで景品表示法違反に該当するおそれもあります

ご自身で調査をされる際には、しっかりとしたデータにもとづく根拠を用意し、注釈に調査に関する内容を記載しましょう。また、調査会社に依頼する際には、その会社の調査手法や実績についてしっかりと確認し、信用できるかどうかを見極めましょう。

マーケティング戦略のための
市場調査・競合調査にお悩みなら

本コラムの監修者

未来トレンド研究機構 
村岡 征晃

1999年の創業以来、約25年間、IT最先端などのメガトレンド、市場黎明期分野に集中した自主調査、幅広い業種・業界に対応した市場調査・競合調査に携わってきた、事業発展のためのマーケティング戦略における調査・リサーチのプロ。

ネットリサーチだけなく、フィールドリサーチによる現場のリアルな声を調査することに長け、より有用的な調査結果のご提供、その後の戦略立案やアポイント獲得までのサポートが可能。

そんな我々が、少しでもマーケティング戦略や販売戦略、新規事業戦略にお悩みの皆さんのお力になれればと思い、市場調査やマーケティングに関しての基礎知識や考え方などを紹介しております。

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