2025年11月04日 更新日:2025年11月21日
自社の立ち位置を正しく把握し、効果的な経営戦略を描くために「競合調査」は欠かせません。しかし、いざ実施しようとすると「どれくらいの費用がかかるのか」「コストとリターンは見合うのか」といった疑問や不安を感じる方も多いはずです。
この記事では、競合調査にかかる費用の相場やコスト構造、調査方法ごとのメリット・デメリット、調査会社に依頼する場合の費用変動要素など、実践に役立つ情報を詳しく解説します。
この記事のポイント
競合調査の費用は、実施方法とその手法で大きく変わります。また、コストは「お金」「時間」「人」の3つ要素で考える必要があります。費用を最適化するには、「何を目的に、どの程度の精度を求めるか」を明確にすることが重要です。
ちょこっと解説
どれくらいかかるの?
10~200万円程度をひとつの目安です。インタビューなどを含めたより実践的なデータが欲しい場合は300万円以上かかる場合もあります。
なんでそんなに費用が変わるの?
まず調査対象となる競合が国内の企業を指すのか、海外の企業を指すのかでも大きく違います。その他にも対象企業数や調査手法、どんな情報が欲しいかによって調査自体の難易度も変わるため費用も変化します。
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本コラムは、市場調査業界で多くの実績を誇る未来トレンド研究機構が監修しております。
情報収集の重要性が、日に日に増している昨今、少しでも皆様のお力になれればと思い、市場調査やマーケティングに関しての基礎知識や考え方などを紹介しております。
競合調査の方法でコストは全く変わる
競合調査の費用は、実施方法や調査手法、アウトプットのレベルによって大きく異なります。特に「自社で行うか」「調査会社に依頼するか」によって、必要となる予算やリソース配分が全く変わるため、事前に各ターンの特徴とコスト構造をしっかり把握しておくことが重要です。
費用を抑えることだけを重視すると、十分な情報が得られず戦略の質が下がってしまうおそれもあるため、「何を目的にどの程度の精度を求めるのか」を明確にしたうえで最適な調査方法を選びましょう。
コストの考え方を理解する
競合調査にかかるコストは、「お金」はもちろん、「時間」と「人(人材リソース)」という3つの要素で成り立っています。
自社で調査を行う場合、一見すると外注費はかかりませんが、社員の人件費や他業務との兼ね合い、専門知識の有無による効率差といった“見えにくいコスト”も無視できません。一方、調査会社に依頼する場合は、専門家による高品質な調査を“お金”で時間ごと買う形になるため、内部リソースの消耗を防げる反面、予算確保が必要です。最適な選択は「どんな目的・精度・納期で、どのコストを重視するか」によって異なります。
実施方法
競合調査の実施方法は大きく分けて「自社で行う」「調査会社に依頼する」の2通りがあります。自社で行う場合は、社員がネットリサーチや公開資料の分析、現地観察、電話・メールでのヒアリングなどを担うため、コストの大半は「人件費」や「調査にかかる時間」です。
費用面は抑えやすいものの、担当者の知見や経験に大きく依存するため、調査の網羅性や客観性に限界が生じやすい点がデメリットです。一方、調査会社に依頼すると「外注費」はかかるものの、独自の調査ネットワークや専門ノウハウ、第三者視点による精度の高い情報が得られます。人材や時間を自社で捻出できない場合や、戦略的な意思決定に活かせる信頼性の高いデータが必要な場合はアウトソーシングも検討してみましょう。
調査手法
競合調査にはさまざまな手法があり、選択する方法によって費用とアウトプットが変わります。代表的なのは「デスクリサーチ(公開情報や業界レポートなどの机上調査)」「アンケート調査(オンライン・オフライン)」「インタビュー調査(定性ヒアリング)」「ミステリーショッパー(覆面調査)」などです。
デスクリサーチはコストが低くスピーディーに調査を進められますが、得られる情報の深さや鮮度に限界があります。アンケートやインタビューは、調査設計や集計・分析に時間とコストがかかるものの、より具体的な現場感やニーズ把握が可能です。このように、それぞれメリット・デメリットがあるので、どの手法を選ぶかは、調査目的・予算・欲しい情報の粒度で判断しましょう。
競合調査の費用相場
競合調査の費用相場は、調査手法や対象範囲、サンプル数などによって大きく異なります。一般的なネット調査やデスクリサーチは数万円〜数十万円程度で実施できる場合が多い一方、調査会社に依頼して複数国・多様な競合を対象にした大規模調査となると、数十万円から数百万円単位のコストが発生します。
| 社名 | A社 | B社 | C社 | D社 |
|---|---|---|---|---|
| テーマ | 海外競合調査 | 業界比較 | 顧客満足度 | 新興国市場分析 |
| 対象 | 3社 | 10社 | 200人 | 5社 |
| 手法 | デスクリサーチ | インタビュー | アンケート | 現地リサーチ |
| サンプル | – | – | 200 | – |
| 金額 | 300,000円 | 1,200,000円 | 500,000円 | 2,000,000円 |
調査会社の競合調査における費用変動の主なポイント
競合調査を調査会社に外注する場合、見積もり金額は一律ではなく、調査内容や条件によって大きく変動します。ここからは費用に影響を及ぼす代表的な要素を解説します。
-
調査対象国

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調査対象数
(企業数・人数)
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調査手法

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調査項目数

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難易度

-
報告書レベル

対象国
調査の対象国によってコストは大きく変わります。日本国内であれば比較的低コストですが、海外、特に新興国や情報インフラが整っていない国、リサーチャーの人材確保が難しい地域ではコストが跳ね上がります。現地パートナーや翻訳・通訳、現地事情に精通したリサーチャーをアサインする必要があるため、対象国によっては2〜3倍のコスト差が生まれるケースもあります。
競合数
調査対象となる競合企業の数が多くなるほど、調査の労力と時間が増え、費用も比例して上昇します。たとえば主要3社のみか、業界全体10社以上かによって、必要なデータの深さや報告書の分量も大きく異なります。どの範囲まで網羅するかは目的と予算のバランスで検討しましょう。
調査手法
費用を最も左右するのが調査手法です。デスクリサーチ(公開情報中心)はコストを抑えやすく、オリジナルのインタビューやミステリーショッパー、現地フィールド調査、定量アンケートなどは設計・実施・集計・翻訳・分析まで多くの工数が発生し、費用も高額になりがちです。自社でできる範囲と、外部に任せるべき工程を切り分けることも大切です。
項目数
調査項目(知りたい内容)が多く、詳細になるほどリサーチの設計・データ収集・レポーティングの負担が増え、コストも上昇します。たとえば価格・商品・販促・流通など多岐にわたる場合、項目ごとに追加費用が発生することもあります。目的に照らして本当に必要な項目を絞ることが、コストを抑えるコツです。
難易度
調査対象が一般的な公開情報ではなく、入手が困難な非公開データや現地独自情報、業界のインサイダー情報などの場合、調査難易度が上がり費用も割高になります。新規市場や未開拓業界、特殊な技術分野、現地での直接取材が必要な場合は、特にコストが高くなりやすいです。
報告書レベル
提出される報告書のレベル・内容・分析深度によっても費用が異なります。要点をまとめた簡易レポートであれば低コストで済みますが、グラフや図解、具体的な示唆・提案を含む詳細分析レポート、プレゼンテーション対応まで求める場合は追加費用が必要です。どこまでを求めるのか、事前に明確にしておくことが大切です。
各コストを考慮して進めましょう
競合調査は安く済ませることが最適とは限りません。自社の課題や目的、事業規模、経営判断の重要度に合わせて、必要な精度や情報レベルを見極め、予算と労力のバランスを最適化しましょう。
「目的に合った情報を、適切なコストで得る」ことが競合調査の本来のあるべき姿です。費用だけでなく、納期や活用シーン、調査の再現性も考慮しながら、戦略的な意思決定に活かせる調査設計を心がけましょう。
よくある質問
そもそも競合調査とは?
競合調査とは競合の状況や状態、あるいは競合商品・サービスをさまざまな観点から調査し、自社あるいは自社の商品・サービスと競合を比較して強みと弱みを分析することです。効果的な差別化戦略やベンチマーク戦略の立案を目的として実施します。
BtoB企業の競合調査も可能?
もちろん可能です。ただ、BtoBは非公開情報も多く、オープンソースの情報だけで十分な場合もあれば、どうせない場合も多くあります。しかし、見えない情報を調べるには一定以上のノウハウが必要になるため、調査会社に依頼するのが一般的です。

本コラムの監修者
未来トレンド研究機構
村岡 征晃
1999年の創業以来、約25年間、IT最先端などのメガトレンド、市場黎明期分野に集中した自主調査、幅広い業種・業界に対応した市場調査・競合調査に携わってきた、事業発展のためのマーケティング戦略における調査・リサーチのプロ。
ネットリサーチだけなく、フィールドリサーチによる現場のリアルな声を調査することに長け、より有用的な調査結果のご提供、その後の戦略立案やアポイント獲得までのサポートが可能。
そんな我々が、少しでもマーケティング戦略や販売戦略、新規事業戦略にお悩みの皆さんのお力になれればと思い、市場調査やマーケティングに関しての基礎知識や考え方などを紹介しております。

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