【競合他社の見つけ方】闇雲に同業者をリストアップしても意味はない

2025年05月11日

【競合他社の見つけ方】闇雲に同業者をリストアップしても意味はない

グローバル化や少子高齢化による市場パイの縮小などで、多くの業界で市場の競争が激化しています。
自社のサービスや製品がなぜ選ばれているのか、あるいはどのような競合他社と顧客は比較しているのかを正しく知ることは、営業・マーケティング戦略を立てるうえでは欠かせません

しかし「競合」と一口に言っても、闇雲に同業者をリストアップしても本当の意味での比較や分析にはつながりません。
この記事では、競合他社の見つけ方の基本から実践的な手順まで、現場で役立つノウハウを体系立ててお伝えします。

本コラムで得られる情報

競合を見つけるうえでのポイント

的確な競合他社の特定方法

競合調査について

本コラムは、市場調査業界で多くの実績を誇る未来トレンド研究機構が監修しております。
情報収集の重要性が、日に日に増している昨今、少しでも皆様のお力になれればと思い、市場調査やマーケティングに関しての基礎知識や考え方などを紹介しております。

まずは比較要素の明確化

競合との差別化要素競合他社を正しく見つけるうえで、最初に行うべきは「どこで比較するのか」「何をもって競合とするか」を定義することです。
たとえば、「ドラッグストア」を競合と定めても、日本国内だけで何千店もの店舗が存在します。
BtoBのホームページ制作会社であっても、Web制作という括りだけで競合リストを作れば、膨大な数になります。

そのため、比較要素を具体的に細分化し、「自社と顧客が本当に比較している他社はどこか?」を見極めることが重要です
立地、価格帯、商品ラインナップ、顧客層、サービス内容、強みなど、業界やビジネスモデルごとに“比較される軸”が異なります。
この「比較要素」の明確化が不十分だと、後の競合分析やマーケティング施策も的外れなものになりがちです。

まずは、自社のターゲット顧客がどういう視点でサービスを比較しているのか、どんなニーズで選択肢を絞り込んでいるのかを言語化しましょう。

競合他社の特定方法

比較要素が定まったら、実際に「どこが競合になるのか」を特定していきます。
競合の見つけ方にはいくつかのアプローチがあり、ネット検索やMAP機能、顧客からの情報収集、マーケティングツール、現地調査など、多彩な方法を組み合わせることで、網羅的かつ具体的な競合リストを構築できます。
それぞれの手法で得意・不得意があるため、自社の目的や業種・サービス形態に合わせて選択しましょう。

  • ネット検索

  • MAP機能

  • 顧客からの情報収集

  • マーケティングツール

  • 現地調査

ネット検索

インターネット検索は、競合他社を特定するもっとも手軽かつ即効性のある方法です。
Googleなどの検索エンジンで、自社製品やサービスと同じジャンル、特徴、地域名をキーワードにして検索をかければ、上位に表示されるサイトの企業=競合である可能性が高いと考えられます

特に検索結果の上位はSEO対策に力を入れている企業が多く、実際に顧客から比較対象にされやすい相手です。
加えて、関連する検索ワードやGoogleサジェストを活用することで、意外な競合が見つかることもあります。

ネット検索は広く浅く競合を拾えるのが利点ですが、同時に検索ワード次第で“競合の定義”も変わってくるため注意が必要です

ネット検索で競合を探す際のポイント

競合を探す際は、「自社サービスと比較されるであろうキーワード」を洗い出すことが重要です。
ユーザーがどんな悩みやニーズで検索するかを想像し、その言葉で実際に検索してみると、思いもよらない競合が上位にいる場合もあります

キーワードの設定がずれると、見つかる競合も本来のターゲットとズレてしまいます。
定期的にキーワードを見直し、「本当に顧客が使いそうな言葉」「実際の購入や問い合わせ時に打つであろう言葉」を中心に競合検索を行いましょう

 

MAP機能の活用(店舗のみ)

GoogleマップやYahoo!マップなどのMAP検索機能は、実店舗型ビジネスの競合他社特定に極めて有効なツールです。
店舗名や業種でマップ検索すると、地図上に競合が可視化され、商圏やエリア内でのポジショニングが一目瞭然になります。
さらに、「ユーザーがどのエリアから来店しているか」「通勤・通学沿線で他にどんな選択肢があるか」など、単なる“近隣”だけでなく、広域視点で競合を見つけることも重要です。

口コミ評価やレビューも一緒に確認できるため、競合店の人気や強み・弱みのヒントも得られます

  

MAP機能で競合を探す際のポイント

自店の半径●kmだけでなく、「利用されそうな沿線沿い」「大型施設周辺」など、実際に自店を利用するユーザーの動線を想定して広めにマップ検索しましょう
また、Googleマイビジネスの登録情報や口コミ評価を参考に、「競合店の強み・弱み」「顧客層の違い」なども同時に確認しておくと、より現実的な競合リストを作れます。

 

顧客からの情報収集

現場で実際にサービスや商品を利用している顧客の声は、競合発見のための生きた情報源です。
「他にどの店やサービスと比較したか」「以前利用していた店舗はどこか」など、アンケートや会話を通じてヒアリングすることで、ネット上だけでは見つけられない競合が浮かび上がることもあります

特にBtoBでは「前回発注した会社」や「見積もり依頼した候補」など、具体的な社名を顧客が教えてくれるケースも少なくありません。
ただし顧客の主観や個人の事情が反映されやすいので、複数人の意見を集めて傾向を見極める必要があります。

  

顧客からの情報収集で競合を探す際のポイント

顧客の話をそのまま鵜呑みにせず、「なぜその競合と比較したのか」「どんな要素が決め手になったのか」を深掘りしましょう。

一部の顧客だけの意見では偏りが出るため、定期的に多様な顧客から情報を集め、主観と客観のバランスを意識して競合情報を検証しましょう

 

マーケティングツール

SEOツールやMEOツール、Webアクセス解析などのデジタルマーケティングツールは、オンライン上の競合を素早く発見する強力な手段です。
たとえば、SimilarWebやahrefs、SEMrushなどを使うと、「自社と類似するWebサイト」「キーワードごとに上位表示される企業」などが一目で分かります

さらにMEO(Map Engine Optimization)ツールなら、Googleマップ内で競合店舗の順位やレビュー数、掲載情報の充実度を自動で抽出でき、戦略立案の根拠データとなります。
ただし、ツールのアルゴリズムやデータソースには限界もあるため、鵜呑みにせず使い分けが大切です。

  

マーケティングツールで競合を探す際のポイント

ツールで得た情報は「なぜその会社が競合判定されたのか」「データの信頼性は十分か」を必ず検証しましょう。

データの取りこぼしや誤判定も起きるため、ツールの結果だけでなく、その裏付けや実際の顧客ニーズと合っているかも必ずチェックしましょう

 

現地調査 

実際に現地に足を運び、店舗やサービスの様子を自分の目で確認する現地調査も、競合発見のうえで非常に有効です。
特に「どんな顧客が利用しているか」「スタッフの対応や店舗の雰囲気」「営業時間や価格設定」など、Webだけでは分からないリアルな情報を直接収集できます
BtoBサービスの場合も、展示会やイベントで競合企業のブースを訪れ、サービス内容や強み・弱みを把握することができます。

現地調査は手間がかかりますが、実際の顧客動線や利用状況の把握、競合がどんな販促を行っているかを“肌感覚”で理解できる貴重な機会です。

  

現地調査で競合を探す際のポイント

現地調査では、自店のターゲット顧客が本当に利用しそうな店舗・エリアまで広く視野を持つことがポイントです。
単に近隣だけでなく、顧客の動線や“競合になりうるサービス”を広めに見て回ることで、Webだけでは発見できない潜在競合を洗い出せます。

競合店舗のフレームワーク(強み・弱み・接客・販促・立地等)を使い、現地で情報を整理しましょう。

選定した競合を対象に調査を実施

競合が特定できたら、次はその競合を具体的に調査・分析する段階です。
比較する要素ごとに、サービス内容、価格、店舗立地、集客方法、広告戦略、口コミ評価などを多角的に集めます。

情報源は公式Web、チラシ、レビューサイト、現地観察、決算書、有価証券報告書なども幅広く活用し、「自社とどこがどう違うか」「どの部分が強み・弱みなのか」を客観的に比較できる形にまとめましょう
調査時はできるだけ最新のデータを使い、時系列での変化も見逃さないようにすることが調査の精度を高めるコツです。

 

店舗の場合

実店舗なら、実際に店舗を訪れてみる、周辺でフィールド調査を行うことが不可欠です。
陳列や接客、キャンペーン、集客の工夫など、現地でしかわからない要素を“足で稼いで”データ化します
競合他社と自店を並べて比較しやすい調査フォーマットを用意し、情報の抜け漏れを防ぎましょう。

 

店舗を持たないその他のサービス

非店舗型サービスの場合は、公式サイトや業界誌、プレスリリース、専門誌、有価証券報告書などさまざまな公開情報を使い、サービス内容や料金体系、実績、顧客層などを比較します。

さらに、オンラインセミナーやウェビナー、SNS上での評判なども分析対象に加えることで、より立体的な競合調査が可能です。

正確な競合選定が重要

競合調査でもっとも大切なのは、「本当に比較すべき相手」を正しく選ぶことです。
競合がズレていると、せっかく集めたデータも戦略の根拠として弱くなり、施策が的外れになってしまいます。
競合選定では、顧客視点・自社視点・業界視点の3つの軸を意識しながら、現実的かつ実態に即した競合リストを作ることがポイントです。

また、競合は市場や時代の変化とともに入れ替わるため、定期的な見直しや新規競合の発見・入れ替えも大切です。
競合分析フレームワーク(SWOT分析、3C分析、4P分析など)を使い、客観的なデータと主観的な感覚の両方を検証しながら、根拠ある競合リストを構築しましょう
正確な競合選定こそが、自社の強みの発見や成長のための“最初の一歩”となります。

マーケティング戦略のための
市場調査・競合調査にお悩みなら

本コラムの監修者

未来トレンド研究機構 
村岡 征晃

1999年の創業以来、約25年間、IT最先端などのメガトレンド、市場黎明期分野に集中した自主調査、幅広い業種・業界に対応した市場調査・競合調査に携わってきた、事業発展のためのマーケティング戦略における調査・リサーチのプロ。

ネットリサーチだけなく、フィールドリサーチによる現場のリアルな声を調査することに長け、より有用的な調査結果のご提供、その後の戦略立案やアポイント獲得までのサポートが可能。

そんな我々が、少しでもマーケティング戦略や販売戦略、新規事業戦略にお悩みの皆さんのお力になれればと思い、市場調査やマーケティングに関しての基礎知識や考え方などを紹介しております。

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