2025年05月13日
競合他社の情報収集方法7選

市場が目まぐるしく変化する現代では、競合他社の動向をリアルタイムで把握し、的確に分析する力が企業の成長を大きく左右します。どれだけ自社の商品やサービスが優れていたとしても、ライバルのマーケティングや価格戦略などの動向を知らずにいると、市場での競争に勝つことは難しいのが実情です。
しかし「どんな手法で競合情報を集めればいいのか?」「ネットに載っていることだけで十分なのか?」と疑問を持たれる方も多いのではないでしょうか。本記事では、競合調査の基礎から効率的な情報収集のコツ、最新の調査ツール活用法まで、実践的かつ分かりやすくご紹介します。社内のマーケティングや営業戦略をパワーアップさせたい経営者・マーケティング担当者の方必見です。
・競合調査とは
・自社で競合他社の情報を集める方法
・自社で競合他社の情報を集めるポイント
本コラムは、市場調査業界で多くの実績を誇る未来トレンド研究機構が監修しております。
情報収集の重要性が、日に日に増している昨今、少しでも皆様のお力になれればと思い、市場調査やマーケティングに関しての基礎知識や考え方などを紹介しております。
目次
競合調査とは
競合調査とは、自社が展開する事業分野で競い合う他社の活動や動向について、多角的かつ客観的に情報を収集・分析することを指します。これをいかに活用するかが、経営やマーケティングの鍵です。
調査対象は多岐にわたり、競合商品の仕様や価格、販促施策、ターゲットとする顧客層、販売チャネル、Webや広告活動、経営方針、さらには新規事業やグローバル展開まで多方面に広がります。
「自社の強みを活かすには、まず“競合の現状”を知ることが出発点である」という考え方が今やスタンダードです。市場のトレンドを見極めたり、自社の立ち位置を見直したりするためにも、競合調査は欠かせません。
さらに、調査を通じて新たな脅威や今後の市場ニーズ、意外な隙間市場を発見できることもあります。競合調査は単なる情報収集ではなく、自社の意思決定や事業成長を支える“情報資産”を築く戦略活動なのです。

競合調査とは?実用的な調査方法と成功させるためのポイント
新しいビジネスを立ち上げる際、新商品やサービスを開発・ローンチする際、あるいは競合との競争に勝ち残ってビジネスを存続させるためには競合調査は必須です。この記事では「競合調査とは何か?」という基礎知識から、調査の項目や流れについて解説します。
競合調査には時間とコストがかかる
競合調査は、ネット上の表面的な情報だけで終わるものではありません。本当に有益な情報を得るためには、調査対象や範囲をしっかり設定し、複数の情報源を使い分けながら定点観測や深掘り分析を重ねる必要があります。
たとえば公式サイトの定期チェックやプレスリリース、店舗への訪問、口コミ・レビュー分析、業界誌・有料データの取得など多様な作業を積み重ねることで、はじめて「根拠のある競合像」が描けます。
そのため調査には一定の人手と時間、場合によって有料資料の購入や専門業者へのアウトソーシングなどのコストが発生しますが、この投資は自社の競争力強化や成長戦略の精度を高めるうえでは欠かせません。時間やコストを無駄にしないためにも、調査の目的やゴールを明確にしてから動くことが大切です。
自社で効率よく競合の情報を集めるには
効率的に競合の情報を収集するためには、「どんな情報を、なぜ知りたいのか?」という調査目的を明確にし、優先順位をつけて情報源を活用することがポイントです。
WebサイトやSNS、口コミ、業界レポート、イベント参加、営業リストなど、多彩な情報収集手法がありますが、すべてを同時に追いかけるのは効率がよくありません。「商品価格の変動を知りたい」「競合の新サービス開始時期を調べたい」「ターゲット顧客の評価を知りたい」など、テーマごとに最適な収集ルートを選び、定点観測とスポット調査を組み合わせていきましょう。
リサーチ作業を定期的な業務に組み込み、収集したデータはすぐ社内で共有・活用する仕組みを作ると、調査の効果も格段に高まります。
Webサイト
SNS
口コミ
調査レポート
セミナー
イベント営業リスト
自動化ツール
競合他社のWebサイトを徹底的にチェックする
競合調査の第一歩は、やはりWebサイトの徹底的なチェックからです。公式サイトには、その企業が現状で提供しているサービスや商品のラインナップと特徴、キャンペーン、導入事例、サポート体制、採用情報など、今まさに展開しているビジネスのすべてが詰まっています。
また、定期的な更新頻度やデザイン変更、SEO対策の状況からも競合のマーケティング意図を読み取ることができます。競合サイトの全ページを一度くまなくチェックし、「どんなページが強みになっているか」「どんな新しい取り組みをしているか」に注目しながら、変化があれば速やかに記録・分析しましょう。
見るポイント
特に注目したいのは、ニュースリリースやプレスリリース、お知らせやイベント情報など公式が発信する“フレッシュな情報”です。PRtimesや@pressなど外部のプレスリリースメディアへの投稿もチェックしましょう。
新商品発表、業務提携、組織再編など重要な動きはここでいち早く告知されるケースが多いです。また、IR情報(決算発表や業績予想)は、競合企業の財務戦略や今後の投資方針を知るヒントになります。これらは表層的な情報よりも、競合の本気度や方向性が見えやすい要素です。
ソーシャルメディアを活用する
X(旧:Twitter)、Instagram、Facebook、YouTubeなどのソーシャルメディアは、競合企業やその製品・サービスについての生の声や反響を素早くキャッチできる情報源です。SNS公式アカウントの発信内容やフォロワー数の増減、投稿頻度、エンゲージメント率などから、どんな施策が反応を集めているかを分析することができます。
さらに、一般ユーザーの投稿や関連するハッシュタグ、シェア・リポストの動きも合わせてウォッチすることで、話題化や炎上の兆しも分析することが可能です。特にSNSで発信される情報は即時性が高く、競合が力を入れているプロモーションや新たなマーケティング施策も見抜きやすくなります。
見るポイント
注目すべきは、ユーザーのコメント欄やリツイート、引用ポストの内容です。「どんな層が、どのような意見を投稿しているのか」を丁寧に見極めて、実際の消費者の満足度や課題、口コミの傾向を把握しましょう。
一方で、SNSには根拠のない噂や虚偽情報も紛れ込んでいるため、ひとつの投稿だけを鵜呑みにせず、複数の投稿や媒体で内容を検証することが不可欠です。特に炎上事例や企業への批判投稿などは、リアルタイムで企業イメージに直結するため、早期対応や情報発信の参考にもなります。
オンラインのクチコミサイトやレビューを確認する
価格.com、Googleマップ、食べログ、Amazonレビューなどの口コミサイトや評価プラットフォームは、競合商品やサービスの実際の利用者の声が集まる貴重な情報源です。
ユーザーが感じているメリット・デメリット、サービス改善要望や他社との比較評価など、ネット上の口コミは、競合調査に欠かせない“生の情報”が詰まっています。レビュー件数や評価点の推移など、定量的なデータも組み合わせて分析することで、消費者が何を評価し、どこに不満を持っているのかをつかみやすくなります。
見るポイント
口コミは個人の感想であり、すべてが事実とは限りません。そのため、「頻繁に登場するワード」や「複数人が指摘しているポイント」に着目し、全体傾向をつかみましょう。高評価レビュー・低評価レビューどちらも必ず読み比べ、単なる悪評だけでなく、具体的な改善要望や評価ポイントを抽出していくことが重要です。
また、口コミの投稿日や頻度、評価の変化があったタイミングを観察することで、新製品の反応やキャンペーン効果も測定できます。
業界レポートや調査資料を活用する
業界団体や調査会社が公開している業界レポート、市場動向資料は、競合各社のシェアや成長率、あるいは業界全体の動向を俯瞰的に把握できる非常に有効な情報源です。無料で公開されているものもありますが、有料レポートはより深い定量・定性分析や専門家コメントなど、独自の価値ある情報が詰まっています。
市場規模の推移、今後のトレンド予測、主要プレイヤーの強み・弱みなど、中長期の経営判断やマーケティング戦略の根拠データとして重宝します。
見るポイント
有料レポートを活用する場合は、必ず調査対象や手法、集計時期、データの信頼性をチェックしましょう。提供元の実績や、第三者による分析コメントも有益です。さらに「自社が知りたいテーマと合致しているか」「競合と自社のポジション比較ができる内容か」も必ず確認しましょう。
必要に応じてレポートの著者に追加質問をしてみる、他の調査資料と突き合わせて内容を検証するなど、慎重な姿勢が信頼性の高い競合分析につながります。
セミナーやイベントに参加する
業界セミナーやカンファレンス、展示会、ビジネスネットワーキングイベントなどは、競合他社の最新動向や新規事業のヒント、リアルな業界課題を直接キャッチできる貴重な場です。
新商品や新技術の発表、経営層のパネルディスカッション、現場スタッフの本音トークまで、Web情報だけではわからない裏話やトレンド情報が得られます。また、直接競合企業の担当者と会話できるチャンスもあるため、人脈作りや次のリサーチテーマの発見にもつながります。
見るポイント
イベントやセミナーは事前に目的と質問事項を決めて参加することが大切です。ただ名刺交換をするだけでなく、「競合はどんなブースを構えているか」「来場者の関心はどこに集まっているか」「どの新技術やテーマが盛り上がっているか」など、自分なりの注目ポイントを意識しながら観察・記録しましょう。
また、むやみやたらに参加するのではなく、得たい情報や業界課題にマッチしたイベントに絞って行動することで、より効率的に有益な情報が集まります。
営業リストの入手と分析
競合他社の顧客リストや営業リストを入手・分析することで、その企業がどんな業種・エリアを重点的に攻めているのか、営業戦略の特徴や強み・弱みを可視化できます。特に新規参入やエリア拡大を狙う場合、既存の競合リストは「自社のホワイトスペース(未開拓領域)」発見の大きなヒントになります。
また、営業リストの変化や追加動向を追うことで、競合の攻勢強化・弱体化などもつかめるようになります。
見るポイント
営業リストは入手時点の情報であることが多く、すぐに陳腐化してしまうリスクもあります。常に最新の情報にアップデートしておくこと、取得元や取得方法の信頼性を確認することが大切です。
また、リストに掲載されている取引先や顧客の属性を細かく分析し、自社にとって“未開拓のターゲット層”がどこにあるかを探る視点も忘れないようにしましょう。
情報収集を自動化するツールの活用
WebスクレイピングツールやSNSモニタリング、Googleアラート、ニュース配信サービスなど、情報収集を自動化できるツールはどんどん進化しています。これらのツールをうまく活用すれば、大量の競合情報を効率よく定点収集し、速報性の高いデータ分析も実現できます。
ただし、ツールだけに頼ると「ノイズ情報の蓄積」や「本当に必要なデータの見落とし」というリスクもあるため、最終的な分析や判断は必ず“人の目”で行うことが不可欠です。
見るポイント
自動収集した情報は、「どこまで正確か」「自社の目的と合致しているか」を必ず検証しましょう。たとえば自動で集めた競合ニュースも、重要度や信頼性の判断まではツールができません。
また、不要な情報ばかりが溜まりすぎると社内での共有・分析効率が下がってしまうので、「本当に必要な情報だけをピックアップして活用する」フィルタリング設計もあわせて考えておくと良いでしょう。
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本コラムの監修者
未来トレンド研究機構
村岡 征晃
1999年の創業以来、約25年間、IT最先端などのメガトレンド、市場黎明期分野に集中した自主調査、幅広い業種・業界に対応した市場調査・競合調査に携わってきた、事業発展のためのマーケティング戦略における調査・リサーチのプロ。
ネットリサーチだけなく、フィールドリサーチによる現場のリアルな声を調査することに長け、より有用的な調査結果のご提供、その後の戦略立案やアポイント獲得までのサポートが可能。
そんな我々が、少しでもマーケティング戦略や販売戦略、新規事業戦略にお悩みの皆さんのお力になれればと思い、市場調査やマーケティングに関しての基礎知識や考え方などを紹介しております。