2024年10月11日
海外企業を対象とした競合調査で分かる情報とは?
言葉も文化も違う海外。その市場に何も準備がないまま飛び込むのはあまりにも無鉄砲すぎるといえます。海外市場に進出する際、海外に拠点を設ける際などは、入念にその国の状況を調査し、それに合わせて戦略を立てることが大切です。とりわけ現地市場における競合調査は必須といえます。
この記事では海外調査の種類や海外競合調査でわかることについて解説しますので、海外進出時にはぜひご一読ください。
①海外競合調査で分かること
②海外の競合を調査する重要性
③海外競合調査の難易度
本コラムは、市場調査業界で多くの実績を誇る未来トレンド研究機構が監修しております。
情報収集の重要性が、日に日に増している昨今、少しでも皆様のお力になれればと思い、市場調査やマーケティングに関しての基礎知識や考え方などを紹介しております。
そもそも海外調査とは
海外調査とは現地国の経済状況や市場の動向、消費者のニーズなど、海外市場に関する情報・データを収集するために実施する調査です。また、その国の文化や法規制等も調査対象となります。海外調査の概要についてはこちらの記事でさらに詳しく解説しています。
海外調査の検討時に役立つ基礎知識を網羅的に解説
海外でビジネスを行う場合は海外調査が必須ですが、具体的にどのようなことを行うのか?海外進出を検討されている方のために、海外調査の必要性や方法、費用、注意点について解説。海外調査を成功させるための秘訣についてもご紹介します。
冒頭でも述べたとおり、海外市場に進出するためには現地の状況を把握しなければなりません。海外調査を実施して、そこから得られた情報やデータをもとに戦略を立てることで、ビジネスの成功率が高まります。
海外調査の種類
海外調査と一口にいっても、その目的や収集すべき情報・データ、手法はさまざまです。大きく「海外マーケット調査」「海外者ニーズ調査」「海外競合調査」「海外法令調査」という4種類があります。以下でそれぞれの内容について詳しく見ていきましょう。
海外マーケット調査
海外ではそれぞれマーケットの規模や状況が異なります。日本ではそれなりのマーケットがある分野でも、海外ではまったく市場がないケースもあれば、逆に日本ではほとんどマーケットがない分野でも海外では巨大なマーケットが存在するケースがあります。
ある分野に関してそもそも現地国にマーケットがあるのか、それはどのような規模なのか、どのような企業が参入しているのか、過去にマーケットがどう成長し、今後どうなっていくのかを調査します。
海外者ニーズ調査
日本と海外とでは文化や価値観、風習、生活スタイルやトレンドが大きく異なります。そのため、日本国内向けの商材をそのまま海外に持っていっても売れるとは限りません。やはりこちらも日本では売れているものが海外ではまったく売れなかったり、逆に日本で売れなかったものが海外では非常に需要が高かったりというケースもよくあります。
海外者ニーズ調査とは、現地の方がどのような暮らしをしていてどのようなニーズがあるのか、どんなことに悩んでいるのか、商材に対してニーズが見込まれるのかを調査します。
海外競合調査
競合とは同じ市場の中でビジネスを行っているライバル、自社製品と似たような商材あるいは同じターゲット向けの商材を販売している企業のことを指します。特に海外の場合は、まず現地にどのような競合が存在するのかを把握しなければなりません。また、現地のマーケットに参入している日本企業や他国籍の企業も競合となり得ます。
現地国のマーケットにおいて、現地国内外のどのような企業が競合となりえるのか、その企業の売上規模やシェアはどれくらいなのか、自社はどれくらい売上やシェアを獲得できる見込みがあるのかを調査します。
海外法令調査
日本と海外とでは法律も異なります。日本国内では合法的な事柄でも、現地では違法になるケースもあれば、その逆もしかりです。また、特に日本国内で商品を生産して海外に輸出する場合、規制に抵触するケースもあります。
事業に関連する法律について日本国内と現地国ではどのような違いがあるのか、商材が現地国においても問題なく提供できるのか、どのような法的リスクがあるのかを調査します。
海外の競合調査で分かること
特に海外競合調査では実にさまざまな事柄を調査します。特に以下のような情報やデータは、海外戦略の策定において大きな判断材料となり得ます。
ビジネスモデル
海外では商品やサービスの内容や提供のしかたを、現地のマーケットや消費者のニーズ・動向に合わせる必要があります。競合がどのように商材を消費者に売り込んでいるか、どのような販売形態をとっているかといったビジネスモデルを調査することで、商品開発やマーケティングなどの戦略立案に大いに役立ちます。
差別化戦略
特に競合が多い場合は差別化が必須です。商品の性能やデザイン、サービスの内容、価格、アフターフォローなど、差別化要因は企業によって異なります。他社がどのような差別化戦略をとっているか、あるいはどのような施策を行っているかによって、自社の差別化戦略を考えるヒントになり得ます。
流通チャネル
特に商品を売る際には流通チャネルが重要となります。直販にするのか、代理店や販売店を利用するのかを検討する必要があります。現地にはどのような流通チャネルが存在するのか、競合はどのような販売方式をとっているのか、海外に進出した際に代理店や販売店となり得る業者は存在するのかといった情報も収集しておくことが大切です。
売上比率調査
市場においてどの企業がどれくらい売上を占めているか、どれほどのシェアがあるのかも非常に重要です。1社のみが高いシェアを独占しているのか、複数者がしのぎを削っているのかによっても戦い方が変わってきます。海外競合調査では競合他社の売上状況や市場におけるシェアについても調べることが可能です。
価格(Price)
海外進出においては価格設定も非常に重要です。もちろん、原価に応じて利益が出るような価格を設定する必要がありますが、競合と比較してあまりにも割高である場合は、海外で販売するか否かも含めて再検討が必要となるでしょう。競合商品・サービスの価格や市場の平均価格、想定価格が割高か・割安かを調べることができます。
ターゲティング
「誰に売るか」というターゲットの設定も非常に重要です。特に文化や価値観、ライフスタイルが日本のそれと異なる海外では、国内とは異なる顧客層がターゲットとなり得ます。競合企業が誰をターゲットとして商材を販売しているか、そもそもどのような人がターゲットとなりえるのかを競合調査で調べることができます。
パートナー
海外に進出する際には現地でパートナーを探すことも大切です。先ほど挙げた流通チャネルはもちろん、マーケティング、物流、生産など、さまざまなサポートが必要となります。競合企業がどのような企業とパートナー関係を結んでいるかを調査することで、自社のビジネスをサポートしてくれるパートナーも見つかりやすくなります。
営業・販売手法
文化や価値観、消費者ニーズが異なる海外においては、日本と同じような営業・販売手法が通用しないケースも多いです。競合がどのような営業のしかたや商品の売り方をしているのか、現地にはどのような商習慣があるのかを調査しておくことも大切です。
販売戦略(方法・実績)
上記のような営業・販売に関する具体的な手法はもちろん、もっと大枠でどのようなマーケットに対してどのような販売戦略を展開しているのか、それによってどのような実績を挙げているのかといった事柄も非常に重要な情報となります。競合調査を行うことで、他社の販売戦略の内容や、効果が現れている戦略も知ることが可能です。
マーケティング戦略
マーケティングとは顧客のニーズを探り、商品開発やプロモーションを含む活動のことを指します。やはり海外においてはとるべきマーケティング戦略も日本のそれとは異なります。競合調査によって他社が採用しているマーケティングの戦略や具体的な手法、成功している施策、自社が取りうる戦略などを把握することが可能です。
WEBマーケティング戦略
特に近年ではWEBにおけるマーケティング戦略も非常に重要性が高まっています。なかには日本以上にデジタル化が進んでおり、高度なWEBマーケティング戦略が求められる国も存在します。競合調査によって現地のWEBマーケティングの状況やトレンド、他社が採用している戦略・手法、成功事例などを明らかにできます。
広告・プロモーション戦略
WEBでの広告・プロモーションはもちろん、やはりテレビ・ラジオCMや新聞広告、チラシ、看板などの従来の媒体による広報戦略も欠かせません。デジタルとアナログを組み合わせた戦略がビジネスの成功の鍵です。現地でできる広告・プロモーション戦略や手法、他社が実践している施策、成功している事例などを把握することができます。
ブランディング戦略
商品を販売するうえではブランディング戦略も非常に重要です。特にはじめて参入する市場においては初期にしっかりとブランディングできるかどうかで、今後の成否が分かれます。競合他社がどのように自社商品やサービスのブランド(品質、フォロー、価格など)を構築しているかを知ることで、自社の方向性を模索することができるようになります。
ユーザー・顧客囲い込み戦略
ビジネスを安定的に・継続的に行っていくためにはいかにリピーターを確保していくかが鍵となります。一度利用した顧客に対してどのようなプロモーションをしているか、アフターフォローや保証をつけているのかを探ることも重要です。
CRM戦略
CRMとは顧客を管理して満足度を上げるための取り組みのことを指します。先ほどご紹介したユーザー・顧客囲い込み戦略とも密接に関係してきます。競合他社はどのように顧客情報を管理してそれを活用しているか。既存顧客の満足度を向上させるためにどのような施策を行っているかも競合調査でリサーチします。
組織・人事
以上にもとづいて戦略を立て、施策を決定したとしても、それを実行するのは組織であり人です。組織づくりや人事も海外進出を行う上では非常に重要となってきます。競合企業がどのような組織体制や人事体制をとっているのか、どの部分にリソースを割いているのか、どのような人材を採用し教育しているのかも重要な調査項目です。
海外競合調査の重要性
以上で海外競合調査で調査すべき内容・調査して得られる情報やデータについてご紹介しました。そもそもなぜ海外調査を時間や人手、コストをかけて行うべきなのでしょうか?その必要性について確認しておきましょう。
- 海外進出成功確率の向上
- 調査データの有効活用
- 進出後の販促戦略
①海外進出成功確率の向上
ビジネスを展開するうえでは市場の状況を把握することは必須ですが、同時にそこで戦うライバルの状況も把握しておかなければなりません。相手の出方を知ることで、はじめて有効な戦略が立てられ、戦い方がわかり、同じ土俵に立てるのです。
3C(市場、顧客、競合)分析という言葉もあるほど、競合調査は肝となります。逆に競合の動向さえ掴んでおけば、ビジネスの成功率は格段に上がるはずです。
②調査データの有効活用
情報やデータをどのように収集し、どのように活用するかは事業者次第です。十分な調査結果が得られたとしても、それを十分に活用できない可能性もあります。
競合の戦略や動向を把握し、それと市場調査の結果を組み合わせれば、どこに勝ち筋があるのかも見えてきます。たとえばある商品やサービスの需要が高いという調査結果が出たのにもかかわらず、他社がその市場に進出していない場合、単にニーズに気づいていないか、現状では商売につなげにくいなどの何らかの事情があって進出できていないことが考えられます。そこで、自社がそのニーズを満たせる商品やサービスを提供できるようになれば、競合と比較して大きな成果が出せる可能性があります。
③進出後の販促戦略
前述のとおり、日本国内の販売戦略をそのまま海外に持ち込んでも成功するとは限りません。むしろ文化や生活スタイルが異なる海外では失敗する可能性すらあります。
商品開発やマーケティング、販売、WEB、既存顧客の囲い込み、CRMなどにおいて、競合がどのような戦略を採用しているかをリサーチしておくことで、進出後の販促戦略がうまくいきやすくなります。
海外の競合調査の難易度は高い?
言葉の壁や文化の壁が大きく立ちはだかるため、海外における調査は容易ではありません。たとえば市場調査によく用いられるアンケートひとつとっても、設問の内容や表現方法、順序や実施時期など、さまざまな事柄に配慮する必要があります。
海外の競合企業について詳しく調べようと思うのであればなおさらです。文献や資料を読み解いたり関係者にヒアリングするなどしなければならず、相当な難易度となります。また、オープンソースからわかることは限られているため、内部の情報に詳しいキーマンに協力を得て調査を実施し、その内容と現地の事情を鑑みて戦略を策定する必要があります。
海外の競合調査なら未来トレンド
海外の市場調査・競合調査なら未来トレンド研究機構にお任せください。これまで25年間で57カ国5,000件以上の実績あり。各国に現地リサーチャーが在籍しているので、現地の事情を盛り込んだリアルな調査結果をご提供可能。人脈も豊富なため、競合企業の動向や戦略などもリサーチできます。また、ただ調査を実施するだけではなく、情報やデータの活用や戦略立案についてもサポートいたします。
無料相談も実施しておりますので、海外進出を控えられている企業様、現地調査でお困りの企業様はぜひご相談ください。
本コラムの監修者
未来トレンド研究機構
村岡 征晃
1999年の創業以来、約25年間、IT最先端などのメガトレンド、市場黎明期分野に集中した自主調査、幅広い業種・業界に対応した市場調査・競合調査に携わってきた、事業発展のためのマーケティング戦略における調査・リサーチのプロ。
ネットリサーチだけなく、フィールドリサーチによる現場のリアルな声を調査することに長け、より有用的な調査結果のご提供、その後の戦略立案やアポイント獲得までのサポートが可能。
そんな我々が、少しでもマーケティング戦略や販売戦略、新規事業戦略にお悩みの皆さんのお力になれればと思い、市場調査やマーケティングに関しての基礎知識や考え方などを紹介しております。