本文消費者庁が注目する措置事例について
消費者庁が今注目している表示が何か、事業者にとって最も知りたい情報だろう。確かに措置事例を見ることで、消費者庁が問題視している表示が何かが解るのは事実だ。
実際にNo.1表示の措置事例が立て続けに発表された後は、消費者庁長官が記者会見を行い「No.1表示の実態調査を行う」と発表した。実際に消費者庁が注目している表示を事前に知ることが出来るのか、弁護士や消費者庁から意見を聞き調査した。
弁護士の見解
これまで取材をしてきた複数の弁護士に、同様の質問を投げかけたが「今この表示に注目をしている表示と具体的な表示を知ることは難しい」という答えが返ってきた。
措置事例や注意喚起に挙げられた表示は問題のあるものだが、具体的な表現までは明かされていない。
元消費者庁の担当官であった弁護士であれば、消費者庁が注目をする表示の傾向を掴むことが出来るかもしれないが、断定的な情報ではないという意見が大半を占めた。
むしろ、「〇〇という表示が来年指摘されるので気をつけて下さい」という注意喚起に対しては一定の距離を置いて判断することが重要となるだろう。
消費者庁の見解
注目している表示について、消費者庁はどう回答するか。消費者庁 表示対策課に問い合わせをしたところ、次のような返答が返ってきた。
「ホームページの印象だけを元に実施したイメージ調査を元にしたNo.1表示や、ステマ規制に対し注意喚起を行う場合はありますが、具体的に注目している表示というものはありません。過去の傾向としては、一般消費者から問い合わせのあったものや、世間で興味関心のあるものがその後調査が強化されたことはありますが、来年度はこの表示を厳しくいこうという方針は決めていないとご理解下さい」
やはり、具体的にこの表示に注目をしているという明確な回答を得られなかった。弁護士の見解通り、消費者庁が事前に注目している表示を伝えることはなく、今後も措置事例で判断するのが良さそうだ。
事業者が今すぐ対策すべきこと
では事業者はどのようなことに注意をすべきなのか。これから消費者庁が注目している表示に目を向けるよりも、以下の対応の見直しが必要と言えるだろう。
1.表示の見直し
問題のある措置事例が発表されたタイミングで、自社の表示が問題ないのか改めて確認しておくと良いだろう。直近の例で言えば、二重価格表示に対する措置事例が立て続けに発表されている。期間限定〇〇円と広告を掲載している事業者は、この機に改めて自社の表示が誤解を与えていないか確認しておくと良いだろう。
2.管理措置指針の確認
大前提として消費者庁が事業者に対し定めている7つの管理措置指針に沿った対応を心がけることが重要だ。この指針に沿って対策を行い表示の運用を行っていれば、消費者庁の調査が入る可能性を抑えることが出来る。事業者が管理措置指針に沿った運用をしていても注意すべき点があると消費者庁 表示対策課の担当者は指摘する。
「よくある失敗例として、管理措置指針に沿って適切に運用をしていても、担当者が交代したタイミングで、運用が変わってしまうことがあります。担当者の引き継ぎをしたタイミングで問題のある表示を掲載してしまう事例は多くあるので、注意して下さい」
実際に上記のコメントは消費者庁の別担当者だけでなく、景品表示法に精通している弁護士も指摘していることだ。人事異動で広報担当が変わったタイミングで確認しておくと良いだろう。
3.第三者の表示確認
消費者庁 表示対策課が最も推奨する対策として、全く関係のない人に広告を見てもらうというアプローチを推奨している。なぜ全く関係のない人に判断してもらうのか。景品表示法の特性にある。
「専門家の意見を聞いて判断することも重要ですが、最終的な判断はその広告を見て一般消費者がどう感じたかという感覚が重要視されます。専門家の場合、知識が偏ってしまい、白か黒か判断が難しくどちらとも取れるという表示に対し誤った判断を下してしまうこともあります」
景品表示法は一般消費者に対し不利益を被らせないように定められている法律だ。そのため、部署にとって全く関わりのない第三者の意見が最も重要となる。
仮に部署内で問題のない表示であったとしても、その表示を見た第三者が誤解する表示であれば、優良誤認・有利誤認に該当してしまう恐れがある。
忖度なく客観的な意見を言える人物に表示の判断をしてもらうのが、簡単に出来る対策だ。
まとめ
今回は事前に消費者庁が注目している表示を事業者が知れる方法がないかどうかを調査した。残念ながら、事前に消費者庁が注目している表示を察知する方法は存在しない。
注目している表示かどうかを事前に調べるよりも、消費者庁から指摘を受けない体制を構築することが重要だ。管理措置指針に従って運用を行えば、消費者庁から厳しい目を向けられることはない。
急がば回れという言葉があるように、安易な対策を実施するのではなく、日頃から取り組める対策に目を向けることが重要だ。
本インタビューの監修者
未来トレンド研究機構
村岡 征晃
1999年の創業以来、約25年間、IT最先端などのメガトレンド、市場黎明期分野に集中した自主調査、幅広い業種・業界に対応した市場調査・競合調査に携わってきた、事業発展のためのマーケティング戦略における調査・リサーチのプロ。
ネットリサーチだけなく、フィールドリサーチによる現場のリアルな声を調査することに長け、より有用的な調査結果のご提供、その後の戦略立案やアポイント獲得までのサポートが可能。
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2025年10月31日





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