弁護士プロフィール
プロスパイア法律事務所
光股 知裕弁護士
みつまた ともひろ
プロスパイア法律事務所
ベンチャー企業法務、インターネット・IT企業法務、風評被害対策法務、インフルエンサー法務等を中心的な取扱分野とし、「求められたことよりも一歩踏み込んだ120%の仕事をする」「受動的に受けた依頼をこなすのではなく、積極的に前向きな提案を行う」を理念に、クライアントの繁栄と成功を引き出すリーガルサービスを提供している。
光股知裕弁護士(東京弁護士会)
https://prospire-law.com/professionals/
IT・インターネット領域に精通している。特にスタートアップ企業への法務対応に注力し、ベンチャー・中小企業が陥りがちな問題をサポートし、長期に渡り成長できるような支援をしている。
| 2015 | 明治学院大学法学部法律学科 卒業 |
|---|---|
| 2017 | 慶應義塾大学法科大学院 修了 |
| 2018-2019 | 小出剛司法律事務所 所属 |
| 2019-2024 | 弁護士法人モノリス法律事務所 所属 |
| 2022 | ネクタル株式会社 代表取締役就任 |
| 2024 | プロスパイア法律事務所 設立 |
本文景表法に強いフローチャートの作り方
事業者がNo.1表記や初の表記を適切に広告へ反映するために出来ることは、問題のある表記に対し事業者自身がストップをかけられる環境の構築だ。No.1表記や初の表記に対応したガイドラインを構築することで、消費者庁に指摘される可能性のある広告を掲載前に発見し、表記の改善が期待できる。ガイドラインの形式は事業者によって様々だが、属人化に対応出来るフローチャートを使うのがお薦めだ。
今回はNo.1表記や初の表記に対応したフローチャートを作成する際の注意点や考え方について、インターネット法務に精通しているプロスパイア法律事務所の光股知裕弁護士に話を聞いた。
事業者が知るべき No.1表記に対する考え方
No.1表記の掲載を検討している事業者は、アンケート調査を実施する際に「No.1表記に必要なサンプル数」、「アンケート調査にふさわしい調査対象者」、「調査対象者への適切な設問」の3つのポイントが重要となる。これらの条件が全て満たされていれば、その調査結果は客観的な調査結果と言えるだろう。しかし、調査過程や結果が適切であっても、表記の内容次第では消費者庁から指摘を受ける可能性が高くなると光股弁護士は指摘する。
「過去の「No.1」に関する措置命令の事例を比較すると、調査そのもの自体に問題があるのではなく、表記と調査結果の乖離が問題になっているケースが目立ちます。特にWEBサイトの印象を聞いた調査結果を、商品やサービスを利用した感想を聞いた結果という文脈で「顧客満足度」として掲載する表記が、調査結果と表記が乖離している代表的な事例であり、このような表記は今後も措置命令対象となるでしょう」(光股弁護士)
No.1や初の表記を検討する事業者は、「適切な調査方法を実施するために何ができるか」という視点で調査過程に注目しがちだが、最も重要なのは最終的な表記である。そのため、表示したいNo.1が最終的にどのような表記になるのかを調査過程の段階からイメージしておくと良いだろう。
事業者が「WEBサイト好感度No.1」と表記したい場合、WEBサイトの印象を尋ねるアンケート結果を基に表記することが可能だ。「顧客満足度No.1」と表記したいのであれば、調査結果と表記の乖離が生じないよう、事業者は調査会社に依頼する際に細かく説明をしておくことをお勧めする。
調査結果を評価するタイミング
事業者が調査会社に依頼した調査結果に対して、疑問を抱くこともある。このような場合には、弁護士などの専門家に表記を評価してもらうことも1つの手だ。光股弁護士によれば、専門家に評価をしてもらう際は次のポイントに注意しておく必要があるという。
「No.1の調査結果だけを弁護士に判断してもらう際、仮に調査結果が問題ないと判断されたとしても、最終的な広告表現に問題があれば消費者庁の調査が入ってしまう恐れがあります。ただ、調査結果を弁護士に評価してもらっても、消費者庁の調査が入らない訳ではないので、その点を考慮して相談するようにしてください」(光股弁護士)
勿論、全く効果が無い訳では無い。広告掲載前に表記を確認してもらうことで、誤った調査結果が発見され、掲載前にストップをかけることができる。しかし、最終的な判断は掲載後の広告表現だ。広告表現が商品をアピールする枠に収まっているか、それとも一般消費者を誤解させてしまう可能性があるものかの判断は、最終的な広告表記を見なければ弁護士でも判断が難しい。
確実な評価を受けられる一方、掲載前にNo.1の表記に問題があれば、これまで実施した調査が無駄になってしまう。
「調査前から評価を受けるのであれば、その業界の広告を多数チェックした実績のある弁護士に相談してください。業界に対する知見のある弁護士であれば、どのような表記を事業者が求めているのか、相談段階である程度イメージ出来るため、調査過程のアドバイスも的確に行うことができます」(光股弁護士)
相談の無駄を無くし、コストを少しでも抑えるのであれば景表法の分野に精通し、特定の業種で実績が豊富な弁護士に相談すると、事業者が知りたい情報を得ることが出来るだろう。
景表法全般に強い景表法対策の考え方
事業者が景表法に対して適切な運用をするためには、制作する広告の全ての領域で活用出来る強固なガイドライン作りが重要だ。事業者がガイドラインを作る際に失敗しがちなものもあると光股弁護士は解説する。
「現場を知らない管理職クラスの人間が主導となり、NGリストやOKリストを作成する場合がありますが、このようなアプローチはあまりお薦めできません。広告には白黒で判断出来ないグレーゾーンも存在します。その結果、チェックリストが現場に対応したものではないことも考えられるため、結局、具体的な広告表現が、社内NGリスト内の特定の表現に該当するか否かで迷う事態となり、結果的にガイドラインとしてあまり意味のないものになってしまう恐れがあります」(光股弁護士)
ではNo.1や初の表記の場合、どのような対策が適切なのか。光股弁護士はフローチャートが効果的だと説明している。
「フローチャートを作成すると事業者が作業工程毎に機械的に判断出来ます。No.1の事例で言えば、「まずどういうNo.1なのか」、ここで売上ではなく満足度であれば、「自社調べでできるか、調査会社を選ぶか」、となり、「調査会社は本当に使っているサンプル数を集められそうか」といった形で、その都度チェック出来る体制ができます」(光股弁護士)
フローチャートは機械的に判断が可能となる一方で、事業者が誤った解釈のまま全体像を作成してしまうと、誤った表記に事業者が気付けないことも考えられる。このような事態を回避するために出来ることは、完成したフローチャートを弁護士にチェックしてもらうと良いだろう。
「弁護士がフローチャートをチェックすると、No.1の運用に当てはめたものではなく、景表法全体に対応したものとして構築することが可能です。No.1表記はNo.1そのものだけ見ても適切とは言えません。広告表記として問題がないかを全体を通してチェック出来るフローチャートを作成することが、事業者には求められます」(光股弁護士)
No.1表記は、表記としての白と黒のラインが時代と共に変化する。フローチャートの定期的なアップデートも必要だ。定期的にアップデートをする場合は、どのタイミングで見直すべきなのか。
「見直す時期は事業者によって異なりますが、分からなければガイドラインが刷新された時や、事業者の領域に近いもので措置命令の対象となってしまったタイミングで見直すと良いでしょう」(光股弁護士)
No.1に関しては現在消費者庁が調査を進め、2024年秋頃に最新の実態報告書が発表されると言われている。新しい報告書が作成されたタイミングで、事業者は運用方法を見直すと良さそうだ。
No.1や初の表記は調査過程が重視されるが、調査過程だけでなく最終的な表記までの確認が重要であることが理解できた。景表法を正しく運用しようと検討している事業者には、景表法全体を俯瞰・確認出来るフローチャートの作成が求められるかもしれない。
本インタビューの監修者
未来トレンド研究機構
村岡 征晃
1999年の創業以来、約25年間、IT最先端などのメガトレンド、市場黎明期分野に集中した自主調査、幅広い業種・業界に対応した市場調査・競合調査に携わってきた、事業発展のためのマーケティング戦略における調査・リサーチのプロ。
ネットリサーチだけなく、フィールドリサーチによる現場のリアルな声を調査することに長け、より有用的な調査結果のご提供、その後の戦略立案やアポイント獲得までのサポートが可能。
そんな我々が、少しでもマーケティング戦略や販売戦略、新規事業戦略にお悩みの皆さんのお力になれればと思い、市場調査やマーケティングに関しての基礎知識や考え方などを紹介しております。

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2024年07月03日





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