山村真吾弁護士へのインタビュー「中小企業が知るべき景表法対策」

2024年07月23日

炎上リスクを想定した中小企業が知るべき景表法対策

インタビュー日:2024年6月27日

No.1や初の表記を広告として出稿した際に、景品表示法(以下景表法)問題のある表記なのか、それとも適切な表記かについて事業者自身で判断が難しいことがある。表記そのものを事業者自身で判断出来ない時は、客観的な評価ができる第三者の意見を聞くべきだ。
大手企業であれば、弁護士・社内法務と様々な対策を講ずることができるが、中小企業は景品表示法に対してどのような姿勢で向き合えば良いのだろうか。今回は中小企業の事業者と弁護士事務所との関わり方について、中小企業の法律相談を多数引き受け、1人1人の法律相談に丁寧に対応する山村弁護士に話を聞いた。

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中小事業者がやるべき体制づくり

中小事業者は景表法への対策に割けるリソースが限られるため、事業者内で景表法を正しく運用するための制度構築を検討する際は行うべきことを絞る必要がある。その際、どのような視点で取り組むべきか事業者自信で判断がつかない場合は、次の2つの視点「景品表示法への意識改革」と「相談のタイミング」で仕組みを検討すると良いだろう。具体的にこの2つをどのような視点をもって対策すべきかについて紹介していこう。

景表法への意識改革

事業者として行うべき行動は景表法に対しての意識改革だ。「セミナーを受講する」、「消費者庁の発表した措置事例等を確認する」「ガイドラインを確認する」と色々なアクションがあるが、山村弁護士が特に重視すべきことは、業種別のガイドライン(公正競争規約)を確認することだ。

「ガイドラインには業種毎に例えば、「この表記をしてはいけない」というルールが細かく規定されています。広告の表記で相談される事業者さんが頻繁にやってしまうミスとして、ガイドラインの見落としがあります。ガイドラインには表記に対し細かく指示をしていることがあるので、一度しっかり目を通すことが重要です」(山村弁護士)

事業者として初めてその領域で表記をする際は、どのような表記を行うと消費者庁から指摘が入るのかについて確認しておくと良いだろう。但し、ガイドラインをチェックする際に事業者自身が注意すべき点もあると山村弁護士は指摘する。

「ガイドラインに記載されている情報を参考にして「きっとこの表記に関してはここまでなら問題ないだろう」と勝手に解釈したものが誤っていることも考えられます。分からないことや自分達の解釈が正しいものか判断出来ない場合は、景表法に詳しい弁護士に自分たちの解釈を確認し、問題ないかを確認しておくことをお薦めします」(山村弁護士)

例えば医療広告で考えてみよう。クリニックや医療機器等ではNo.1表記をはじめとした最上表現が禁止されている。事業者が「No.1」はダメであるが、意味が近い表記であれば問題ないと解釈してしまうと、「最高」「最大級」「トップクラス」といった、No.1に近い表記を掲載してしまう可能性も考えられる。だからこそ、事業者自身が勝手に解釈をするのではなく、念の為専門家に意見を聞く作業が重要となるのだ。

相談タイミングは調査前と広告出稿時に実施

No.1や初の表記を検討している事業者は、表記に対しどのタイミングで弁護士に相談するか相談タイミングも検討しておくと良いだろう。相談するタイミングは2つ「No.1や初の表記に必要な調査を開始する前」、「No.1や初の表記の調査結果後」に相談するタイミングだ。

いずれの相談タイミングも広告として掲載する前の相談となるので、問題ないように思える。しかし、山村弁護士によれば、可能であれば調査開始前に相談をした方が良いとのこと。

「No.1表記、初表記の裏付けとなる資料を揃えた状態で弁護士に相談をした場合、調査自体に問題があるものは、広告として掲載出来ないためやり直しとなってしまうことがあります。事業者自身が何に対してのNo.1や初なのかを検討している段階で相談してもらえれば、調査が無駄にならないように調査の方法や調査の留意点にアドバイスをすることができます。可能であれば、必要な調査を開始する前に相談をすると良いでしょう」(山村弁護士)

調査前に弁護士に相談するメリットとして、調査自体が無駄にならないよう回避でき、相談費用を比較的抑えた状態で依頼できる。低コストの相談であれば中小事業者でも利用ハードルが下がるだろう。No.1表記や初表記を実施する際は、「どの表記をしたいか」という調査前の相談が弁護士に話すベストなタイミングと心得ておくと良いだろう。

広告表記を評価してもらうメリット

No.1や初の表記では調査前の段階だけ相談をすれば良い訳ではない。調査結果を最終的な表記にどのように反映したか、広告そのものを評価してもらうことも重要だ。

「景表法に違反するかどうかの判断は非常に難しく、慎重さが求められます。例えば、「著しく優良」や「著しく有利」といった基準は、一般消費者が表示を見た際にどう受け取るかが重要とされています。しかし、これらの基準を理解するには、過去の措置命令などを参考にしながら慎重に見極める必要があります。また、近年、広告手法も多様化しており、ご相談を頂く事案においても、前例がなく白か黒かの判断が難しいケースが増えています。弁護士だけで判断がつかないグレーゾーンの表記は、消費者庁表示対策課に事前相談を行い、出稿前に確認してもらうという対応を取ることも考えられます。表示対策課に確認すべきかどのように確認をすべきかどうかも含めて弁護士に相談するのが良いかと思います。」(山村弁護士)

消費者庁は表示を厳しく罰するのではなく、正しい表記を行おうとしている事業者には柔軟なアドバイスを常日頃から実施している。そのため、グレーゾーンの表記の問い合わせに関しても柔軟に回答してもらうことが可能だ。

広告の評価は表記の白黒をはっきりさせるだけでなく、別のメリットもある。炎上リスクの有無を確認してもらえるという点だ。

「No.1や初表記が消費者庁の措置命令対象にならない適法な表記であったとしても、SNSで広告を見た消費者が、事業者の掲載した広告表現に対して何らかの不快感を示し炎上へと発展してしまうケースも考えられます。広告が炎上すると、広告の取り下げはもちろんのこと、最悪の場合は商品・サービスの販売中止をせざるを得なくなることもあります」(山村弁護士)

このような事態を避けるためにできることは、広告の適切な表記の確認・炎上リスクの回避という観点から、広告入稿前に表記を評価してもらうことだ。景表法だけでなくインターネット法務に強い弁護士に相談すれば、一般消費者では見落としてしまいそうなリスクをあらかじめ指摘してもらうことが出来るだろう。

事業者が絶対にやってはいけないこと

事業者が絶対にやってはいけないこともある。競合事業者の表記を見て「大手企業・競合企業が行っているからうちの表記も問題ないと判断する」ことだ。

「業界大手が措置命令等の対象となっていないから、この表記の調査方法も真似てみようという感覚でプロジェクトを進める行為はとても危険です。消費者庁は、現在、No1表示の実態調査に乗り出しており、消費者庁が業界大手の当該表記に対し水面下で調査を進め措置命令・課徴金納付命令の対象にしていることも考えられます。仮にこのような事態となっていれば、事業者自身の表記も合わせて問題の事案として取り扱われる可能性があります。業界大手や競合企業が同じような表記を行っていても安心材料にはならないと認識することが大切です」(山村弁護士)

景表法で責任を負うのは事業者だ。他の事業者が行っているから問題ないという認識ではなく、事業者自身が自覚を持って、表記に対して考えておかなければならない。

まとめ

景表法は時代と共に問題となる表記が変化する。2023年度にこれまで措置命令・課徴金納付命令の対象として問題視されていなかった表記が問題視されたように、今後も景表法に対する考え方が変化していくだろう。

新聞やテレビだけでなく、WEBを中心に広告を気軽に出稿できるようになったからこそ、事業者は景表法の対策を合わせて考えておくことが重要だ。本コラムではNo.1や初表記だけでなく、景表法に関するコンテンツを豊富に扱っているので、ぜひ他記事も参考にして欲しい。

弁護士プロフィール

山村真吾弁護士(大阪弁護士会)

ベンチャー精神を基に何事にもフレキシブルに創造性高く挑戦し、個々の依頼者のニーズを深く理解し、最適な解決策を共に模索。IT、インターネットビジネス、コンテンツビジネスに精通しており、各種消費者関連法、広告・キャンペーン等のマーケティング販促法務や新規サービスのリーガルチェックを得意としている。

(記者 山口 晃平)

㈱未来トレンド研究機構の方針

㈱未来トレンド研究機構では、調査会社(累計25年のキャリア・実績)としての豊富な経験を活かして、今後も「No.1」検証調査、「初(世界・アジア・日本・業界)」検証調査に関する受託業務を本格的に展開していく。クライアント企業のお悩みや課題、不安を一つ一つ解消し、「No.1」検証調査や「初(世界・アジア・日本・業界)」検証調査事業の可能性を広げていく方針である。引き続き、「No.1」検証調査、「初(世界・アジア・日本・業界)」検証調査それぞれで300件/年の受注を目指していく方針である。

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12)「No.1調査」×B2B分野(メガトレンド分野)では業界No.1
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(個別相談窓口)

株式会社 未来トレンド研究機構 「No.1」検証調査 業務担当

問い合わせ・相談先 E-mail info@miraitrend.com
問い合わせ・相談先 TEL 03-6801-6836

【会社概要】

会社名 株式会社 未来トレンド研究機構
https://www.espers.co.jp
所在地 東京都千代田区九段南一丁目5番6号 りそな九段ビル5階 KSフロア
設立 1999年8月19日
代表者 代表取締役 村岡 征晃(むらおか まさてる)
事業内容 (世界初、アジア初、日本初、業界初)検証調査、No.1(検証)調査、海外調査、競合調査、未来予測のご用命は”未来トレンド研究機構(略称:未来トレンド)”へ!

【未来トレンド研究機構 中核サービス】以下5つのサービス↓↓↓

  • No.1<検証>調査Ⓡ<商標登録 第6763351号> ※No.1調査、ナンバーワン調査(年間売上・販売数量実績<累計or年間>・シェア・伸び率など)
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    (競合調査・公開調査・知財調査など)
  • 競合調査Ⓡ<商標登録 第6763354号>
    https://espers.co.jp/competitor/
    (SWOT分析・競合戦略分析・4P&3C分析など)
  • 海外調査Ⓡ<商標登録 第6763353号>
    https://espers.co.jp/global-research/
    (グローバル調査:主要プレイヤー・ベンダへのヒアリング調査/顕在&潜在ユーザーへのアンケート調査:パネルヒアリングなど)
  • %(パーセンテージ)調査、シェア調査、市場占有率調査Ⓡ<商標登録 第6800111号>
    (%調査、パーセンテージ調査、シェア調査、市場占有率調査など)

本件に関する報道関係からのお問い合わせ先

窓口 株式会社 未来トレンド研究機構 「No.1」検証調査 担当部門
TEL 03-6801-6836  FAX : 03-6801-6066
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